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創造系魔法使いのスローライフ!?  作者: 稀硫紫稀
第49章 冬の日常を過ごしました。
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49-6 クリシュナの苦難。①

翌日。

クリシュナは政務に勤しんでいた。

既に皇帝陛下の政務をこなしていた。

かなり慣れてきた。

仕事量は多い訳ではない。

だが、判断に迷う内容が多いため、かなり慎重に考えなければならない。

父親である皇帝陛下の判断能力の高さに、舌を巻いたくらいだ。

だが、負けるわけにはいかない。

今度は、自分が皇帝になるのだ。

ここで、挫折する訳にはいかなかった。

だからこそ、クリシュナは努力するのだった。



政務が終わると、一息ついた。

その時、レヴィが執務室に現れたのだ。


「お、レヴィか。

 どうした?」


「その、クリシュナ様にお話しがありまして。」


「ん?

 何の話だ?」


「その、よろしければ、トリニア様のお部屋で

 お話ししてもよろしいでしょうか?」


クリシュナは疑問に思った。

ここでは話せない内容なのだろうか?


「わかった。

 じゃ、行こうか。」


クリシュナは立ち上がり、レヴィと共に、トリニアの部屋へと移動するのだった。



トリニアの部屋に移動すると、トリニアとレヴィが並んでソファに座った。

対面には、クリシュナが座る。


「さて、話とは何だ?

 聞こう。」


トリニアとレヴィは顔を見合わせると、うなずく。

トリニアが口を開く。


「クリシュナ様、よくお聞き下さい。

 私たち、懐妊しました。

 クリシュナ様のお子様を妊娠したのです。」


その言葉に、クリシュナが固まった。


「そ、その、二人ともなのか?」


「はい、私とレヴィ、二人ともです。」


レヴィもうなずく。

これはある意味、大快挙である。

だが、クリシュナは何故か困った。

というのも、彼は喜んでいいのか、わからなかったのだ。

トリニアは立ち上がると、クリシュナの隣に座る。

そして、クリシュナの手をとり、自分のお腹に当てたのだ。


「ここに、あなた様のお子様がいらっしゃるんですよ。

 生まれるのは来年の秋になる予定です。

 それまで、頑張って育ててまいりますね。」


トリニアはやる気に満ちていた。

レヴィも、自分のお腹に触れていた。

彼女のお腹にも、クリシュナとの子供ができていたのだ。

大事に育てる覚悟を持っていたのだ。


「そ、そうなのか。」


クリシュナはどうしていいのかわからず、混乱していた。

トリニアのお腹に触れた手をじっと見る。


「旦那様、嬉しくはないのですか?」


トリニアに聞かれて、クリシュナは、はっとする。


「その、済まない、二人とも。

 実は、父親になるのは初めてなのだ。

 だから、喜んでいいのか、わからないのだ。」


クリシュナは本音を述べた。

彼には実感が沸かなかったのだ。

だから、現実を受け止められなかったのだ。

その時、トリニアの手が、クリシュナの手を握る。


「旦那様!

 そんなことでどうするのですか!」


突然の言葉に、クリシュナは驚く。

トリニアの言葉はまだ続く。


「このお腹の子は、クリシュナ様と私の子供なのですよ!

 その子供の誕生をお祝いしない親がどこにいますか!

 子供は親があってこそ、幸せに暮らせるのですよ!

 そして、親は愛がないと子供が創れないのですよ!

 だから、喜んであげてください!!

 子供を愛してあげてください!!

 この子は、あなたに愛されたいからこそ、生まれるのですよ!!」


その言葉に、クリシュナは衝撃を受ける。

それと同時に、トリニアがこれほどしっかりとした物事の考えを持っていることに驚いたのだ。

いつも、にこやかに笑みを浮かべている優しい女性なのだ。

ちょっとまっすぐな部分もあるが、それを抜きにしても、良い女性だった。

その彼女に、説得されていた。

いや、叱られていたのかもしれない。

だから、クリシュナは、理解したのだ。


「・・・あぁ、そうだな。

 私は、そんなことにも気づいていなかったのだな。

 ありがとう、トリニア。

 ありがとう、レヴィ。

 生まれてくる子供の名を考えてあげないとな。

 それに、部屋も用意しないとな。

 二人か。

 賑やかになるな。」


クリシュナは、心の底から嬉しくなっていた。

自分が父親になる。

二人の子供の父親になるのだ。

子供をしっかり守ってやらねばならなくなる。

責任重大だった。


「レヴィ、こちらへ。」


クリシュナが、レヴィを呼び寄せる。

レヴィが隣に座ると、クリシュナは二人を抱き寄せる。


「ありがとう、二人とも。

 元気な子を産んでくれ。」


「はい、旦那様。」


「必ず、元気な子を産みます。」


三人はしばらく、そのままで過ごすのだった。

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