4-9 帰るはずだったんだけど!?
翌朝、昨日寄った大衆食堂へ行き、また同じ注文を行う。
他にも変わった食べ物があるにも関わらず、昨日の味が忘れられなかったのだ。
そして、おいしく頂くと、王都を出るべく、巨大な門を目指すことになった。
門に向かう途中、ルークは声をかけられた。
「ルーク殿ではありませんか。」
その声には聞き覚えがあった。
ミレーナの執事のポールだ。
「ポールさん、昨日ぶりです。」
「もうお帰りなのですか?」
「あ、はい、王都での用事も終わりましたので、帰ろうかと。」
そこでポールは両手を貝のように合わせる。
「既に用事を済ませたということはお暇ではありませんか?」
「はい、暇と言われれば、暇なんですが。」
「では、お嬢様のお屋敷にいらっしゃいませんか?
是非とも助けて頂いたお礼をしたいのです。」
「えっ?
いや、お礼なんて、そんな。」
ルークは躊躇した。
ルークとしては、大したことをしたつもりが全くないのだ。
「いえいえ、お礼をさせてください。
お嬢様も、お礼しておけばよかったと後悔されておりましたから。」
「はぁ・・・
そこまで言われてしまうと、断れないんですが。」
思わず本音を漏らす、ルーク。
「では、参りましょう。」
ポールは、ルークの右腕を掴み、引っ張り出す。
ルークに逃げられないための措置だった。
ルークは引っ張られるがままに、ついていくのだった。
やがて、大きな屋敷が見えて来た。
「へぇ、大きいなぁ」
大きな屋敷を見るのは初めてだった。
クーラクの騎士隊舎並みの大きさがある。
こんなところに住むということは、大貴族なんだろうなと、ルークはふと思った。
ところが、時間が経つにつれ、この屋敷に近づいているように見えたのだ。
もしかして・・・
「ポールさん、もしかして、あの大きなお屋敷に向かってるんですか?」
「はい、そうですが?」
そこで、ルークは固まる。
まさかのまさか、ミレーナの家がこんなに大きい屋敷とは思いもしなかったのだ。
お嬢様と呼ばれていたから、貴族の出なのだろうとは思っていたが、まさか。
ルークはしばし思考停止したまま、ポールに連れられていくのだった。




