4-8 王都散策。
ルークは王都での用事を済ませたため、何をしようか考える。
その前に、お腹が空いているのに気が付いたのだ。
ここ王都なら、おいしいものが食べられるかもしれない。
と言っても、贅沢をするつもりは、ルークにはなかった。
大衆食堂を探し出すことにしたのだ。
10分後、人に聞きつつ、大衆食堂に到着する。
お店に入ると、客の姿はあまりない。
まだ、忙しい時間帯ではないようだ。
「いらっしゃいませ、何にしますか?」
店員さんがやってきた。
「その、王都に初めて来たんですが、お勧めの料理ありますか?」
「うーん、お勧めですか。
じゃ、肉乗せ麦チャーハンなんていかがでしょう?」
「麦チャーハン?」
ルークは初めて聞いた。
「はい、男性には大人気の商品なんですよ。」
「じゃ、それで。」
ちょっと不安ではあるが、店員さんのお勧めを注文することにした。
注文が来るまでの間、他の人の食べ物を覗いてみる。
何か、変わった物を食べている人が多い。
まず、パンを食べている人が少ないのだ。
パンではないもの、スプーンでよそって食べるものらしいが、それを食べている。
数十分後、店員さんがやってくる。
「はい、お待ちどうさま、肉乗せ麦チャーハンです。」
それは、炒められた麦ごはんに肉が2枚載っていたのだ。
肉はかなり分厚い。
皿には、大き目のスプーンが乗っていたのだ。
未知の料理を前に、ルークは驚くより他なかった。
だが、とてもいい匂いがするのだ。
早速スプーンを手に取り、麦チャーハンに差し込んで、よそって口に運ぶ。
そして、よく噛んで食べる。
初めての食感だった。
ルークは初めて麦チャーハンを食べたのだ、そう感じてもおかしいことではない。
味は、とても良く、噛むたびに甘く感じたのだ。
肉も食べてみる。
干し肉より柔らかい。
鹿肉とは違い、脂が濃いのだ。
とても食べ応えがあるのだ。
それからルークは無心で食べた。
食べ終わった瞬間、こんなにおいしいものがあるんだという感想を抱いた。
「王都に来てよかったぁ。」
すっかり満足していたのであった。
食事を終えた後、本屋を探すことにした。
また道を尋ねつつ、本屋に到着する。
本屋に入ると、誰もいなかった。
と思った瞬間、白髪の老人が姿を現したのだ。
「いらっしゃい。
何をお探しかな?」
魔導衣を着た老人だった。
一目で、魔導士と判断できる。
「はい、魔術書を探しに来ました。
ありますでしょうか?」
「あぁ、あるとも。
君は魔導士なのか?」
「いえ、まだ駆け出しの魔法使いです。」
「そうか、すっかり剣士かと思っていたよ。
どんな書籍をご所望かな?」
そこでルークは考える。
精霊魔術の初級と中級は既に習得済と考えて良い。
後は、上級クラスになると思ったのだ。
そこで、相談してみることにした。
「実は、魔術書で勉強をして、
精霊魔法の初級と中級の魔法はマスターしたんです。
そんな自分にお勧めの魔術書はあるでしょうか?」
「なるほど、まだ若いのに、中級までマスターしたとは、素晴らしいな。
では、上級の魔術書を勧めるとしよう。
君は、何系統の魔法が得意かね?」
「実は、得意不得意がなくて、全系統がうまく使えるんです。
特定の系統って必要ですか?」
「ほう、珍しい。
普通、人によって、系統に偏ることが多いのだ。
例えば、私は風系統に偏った魔導士なんだよ。」
「自分はその辺を意識したことが無いので、よくわからないんです。」
「そうか、では、扱いやすい火系統の上級魔術書をお勧めするよ。
かなり高価だが、お金は大丈夫かね?」
そう言われて、ルークは袋からお金を取り出す。
「金貨100枚ほどあるんですが、足りますか?」
「あぁ、十分だ。
1冊金貨50枚だ。
少々、待ちなさい。」
店主はそういうと、奥に姿を消す。
数分後、分厚い書籍を持って、店主が姿を現す。
「これが、火系統の上級魔術書だ。
これを使いこなせば、君は魔導士になれるが、
魔導士を目指しているのかね?」
「はい、できれば、魔導を極めたいと思ってます。」
そう聞いて、店主がにこりと笑みを浮かべる。
「では、魔導士の試験も受けるのかね?」
「魔導士の試験?」
「そうか、知らないのか。
王都には、魔導士協会というものがある。
そこで、上級魔法が使えるようになったら、申請するといい。
上級魔法を実演できるようになった時点で、君は魔導士の称号を得られる。
なお、登録が済むと、たまに王都に招集をかけられるのが難点だがね。」
「そうなんですか?」
「あぁ、魔導士の数はそれほど多くはないからね。
招集の多くは、戦争への参加だ。
あまりお勧めはできないが、魔導士になりたかったら、
回避はできないがね。」
「その、店主さんも、戦争に参加を?」
そう聞いた時、店主は笑った。
「はっはっは、おまえさん、面白いことを言うな。
もはや、こんな年寄りは戦争に出られんよ。
ここで、魔術書を売って暮らすのが、やっとなのさ。」
「そうなんですか?
とてもお元気そうに見えますが。」
「そうか、元気に見えていれば、それはありがたいな。」
そう言うと、本を差し出す。
ルークは慌てて、金貨50枚を差し出す。
「金貨50枚ちょうどだな、まいどあり。」
「あの、また来て相談に乗ってもらってもいいですか?」
「あぁ、構わんよ、いつでもおいで」
「ありがとうございます。」
ルークは魔術書を袋に詰めると、店を後にした。
外はすっかり夕方になっていた。
ルークは、宿を探し歩くことになった。
そして、そこそこの値段の宿にて一泊することになった。
クーラクに比べると、少し値段が高い。
部屋の内装はクーラクと変わりなかった。
王都だからちょっと期待したのだが、残念な結果に終わった。
そして、ここで休むことになるのだった。




