4-4 街へ行こう。
翌日、朝。
ルークは朝食を済ませると、防寒用のマントを羽織り、剣を佩き、袋を背負って、外に出る。
いつもの通り、村長宅を訪れ、しばらく留守にすると伝えて出発する。
夕方に街に到着する予定で、出発するのだった。
夕方に、クーラクの街に到着した。
今日は、夕食をとって、宿屋で一泊するだけだ。
ルークは決めた通りに、行動をおこすのだった。
翌日。
大衆食堂で朝食を済ませると、教会へと足を向ける。
教会は街の中心付近にあった。
教会に入ると、そこに、アリアがいたのだ。
「あら、ルーク様。
お久しぶり・・・でもないですね。
どうかされましたか?」
「あ、はい、おはようございます。
実は、ちょっと勉強したいことがあって、来たんですが。」
「勉強したいこと?」
アリアが疑問符を浮かべる。
「はい、神聖魔法についてです。
実は、教本で勉強した上で、回復魔法を使えるようになりまして・・・」
とここまで言いかけて、アリアが「すごい!!」と叫んだのだ。
「神聖魔法を使いこなせるようになったんですか?
一般の方が使いこなすことはほとんどないんですよ。
どの程度まで使えるようになったんですか?」
「あ、はい。
そのぉ、確認できたのは3つでして。
“癒し”、“回復”、“光収束弾”です。」
それを聞いて、アリアが固まっていた。
さすがに、ルークは心配になって声をかける。
「あ、あのぉ、大丈夫ですか?」
「は、はい、大丈夫です。
“回復”を使えるのですか!?
あれは、中等魔法で、神父様や司祭様しか使えないんですよ!?」
それはルークの知らない情報だった。
アリアのようなシスターは、“癒し”くらいの初級程度までしか覚えていない。
“回復”はその上位互換であり、覚えるのが難しいのだ。
「もしかして、ルーク様って、教会関係者なんですか?」
それを聞かれ、ルークは困る。
「いえ、そんなわけないですよ。
僕は教本に載っていた魔法を覚えただけで。」
「それにしても、中等魔法なんですよ、“回復”は。
はっ、もしかして、神聖魔法の最大の奇跡と呼ばれる
“復活”まで使えるとか?」
聞いたことのない魔法だ。
「いえ、そのリザレ・・・なんとかは使えませんよ。」
ルークは焦っていた。
なんか、神聖魔法について聞いただけなのに、関係者扱いされたり、奇跡の魔法が使えるのかとか聞かれたりしたからだ。
訳がわからない状況だったのだ。
ちなみに、ルークは教会のことについては、全く知らないのだ。
だからこのような反応をするのだった。
「あ、そうなんですね。
失礼いたしました。
もし使えていたら、教会の本部に問い合わせるところでした。」
なんだか、犯罪者扱いみたいな感じである。
「その、話を戻してもいいですか?
僕はもう少し神聖魔法について勉強したいんですが、
何か参考になる本とかってありますか?」
ルークは、とりあえず話の本題に戻すことにした。
「神聖魔法に関する書籍ですか?
ここにはあるかどうか、わかりません。
神父様に聞いてみましょうか?」
「はい、是非お願いします。」
アリアは、教会の正面横の扉を開け、姿を消す。
しばらく座って待っていると、アリアが戻ってきた。
その手には、書籍があった。
「神父様に聞いたところ、神聖魔法の初級の教本ならあるということで、
お借りしてきました。
ここで読みますか?」
「はい、お借りするのも悪いですし、ここで読ませてもらいますね。」
それからルークは、教本を読んでいく。
こちらの本は、ルークが購入したものと異なり、本当の意味で初心者向けの内容となっていた。
字は全然細かくなく、そこそこ大き目で書いてあった。
書かれている魔法の内容は、知っているものばかりだった。
どうやら、自宅にある教本と同じ魔法しか書いていない。
ただし、“回復”のような中等魔法は書いていない。
となるとこれは、シスター向けの教本のように思われた。
ページもそれほどなく、1時間程度で読み終えた。
「何か、勉強になりました?」
「あ、いえ、僕が持っている教本とほとんど同じ内容でした。」
今回は残念ながら新しい魔法に関する情報はなかった。
「例えばの話なんですが、神聖魔法の高等魔法って、
どこで学ぶことができるんですか?」
アリアは首をひねって考えてみる。
だが、回答が出ないようだ。
「わかりません。
ごめんなさい。」
「あ、いいんですよ。
神父様ならご存知でしょうか?」
「おそらくご存知かと。
お呼びしますね。」
そう言って、アリアは再び扉の先に消えていく。
数分後、神父と一緒にアリアが姿を現す。
「神聖魔法を学びたいということですが、司祭でも目指しているんですか?」
神父の質問に、慌ててルークは首を横に振った。
「いえ、興味本位で聞いただけです。
神聖魔法に興味があって、書籍とか、学ぶ方法とかを知りたかっただけで。」
「なるほど、そういうことですか。
もし学ぶとしたら、王都の大教会で勉強する方法があります。
ただし、司祭候補生しか受け入れてませんから、一般の方は難しいですね。
書籍については、詳しくはわかりませんが、司祭級の方なら所持しているかと。
もしかしたら、本屋に置いてあるかもしれませんね。」
となると、やはり本屋を当たるのが早そうだ。
なければ致し方ないが。
「・・・そういえば、一つ思い出しました。
実は、王都に届けて欲しい手紙がありまして。
ルーク殿、王都に向かわれる予定はありますか?」
「いえ、予定はないんですが・・・重要な手紙なんですか?」
「いえいえ、そこまで重要ではないんですが。
冬になりましたから、ここから王都に行く者がなかなかおりませんから、
どうしたものかと思いまして。」
冬になると、雪が降り積もる。
王都は意外と雪深い都市なのだ。
ただ、今は初冬である。
雪が降り積もるのはもっと先だ。
そこで、ルークは考える。
「王都に行けば、神聖魔法に関する書籍が手に入る可能性ってありますか?」
「そうですね・・・司祭様にお願いしてみましょうか?
タダで譲ってくれるかどうかはわかりませんが、
お願いしてみることにしましょう。
手紙とは別に、書き添えておきますが、行ってくださるのですか?」
「その、王都には行ったことがないんですよ。
いつか行こうと思っていたのですが。
この機会に行ってみようかと。」
「なるほど、よい心がけかと思います。
では、旅支度をしなくてはなりませんね。」
「それは自分で用意します。」
ルークは慌てて手を振った。
「そうですか。
では、お手紙を持ってまいります。
少々、おまちください。」
そう言って、神父は扉の先に消える。
「少しくらいの準備はこちらで用意しますよ。」
「それなら、必要な物を教えてもらえますか?
ここから王都へは5日かかると聞きますし。」
「いいですよ。
じゃ、メモして持ってきますね。」
そう言って、アリアも扉の先に消えていく。
ルークは再び待ちぼうけをくらうのだった。
結局、ルークは予定外の王都に向かうことになった。
神父より、大教会宛の手紙を預かる。
アリアからは、旅に必要な道具のメモをもらった。
ルークは、道具屋を回って、道具をかき集めて、旅の準備をするのだった。
そして、一泊した後、王都に向けて出発するのだった。




