39-2 野盗の襲撃。
旅は順調に進んだ。
途中、各都市に寄って補給も忘れない。
都市に寄った際のみ、高級宿屋にて宿泊していった。
野営の場合は、テントで休むことになる。
割合としては、テントで休む回数が多かったのだ。
ちなみに、テントを張る役割を担うのは、護衛役である騎士たちである。
テントは、貴族用が1つ、メイド用が1つ、御者用が1つ、騎士たち用が4つである。
護衛の騎士は、20名いるため、全員が眠りにつくわけではない。
毎夜、4~8名程度が交代で、テント周囲を護衛するのだ。
残念ながら、護衛は全員騎士であるため、魔法使いは存在しない。
よって、周辺警戒は、目視のみが頼りであった。
魔法使いがいれば、“情報収集”にて、周辺警戒できるのだが。
その辺は、ルークがこっそり行っていたりするのであった。
そんな中、事件が起きる。
残り10日程度の距離に至った時だ。
野営となり、テントが張られ、ルークたちはテントの中で休んでいた。
その時だった。
外が騒がしくなったのだ。
ルークは目を覚ますと、レーヴァテインを手にする。
テントの外に出ると、護衛の騎士がルークに気が付く。
「どうしました?」
「はい、野盗と思われる集団に出くわした模様です。
今、対処していますので、閣下はご安心ください。」
だが、その騎士は周囲が暗いため、状況がつかめていないようだ。
ルークは、すぐに“情報収集”を開始する!
すると、野盗が10名いた!
現在、全員騎士と戦っていたのだ。
こちらの騎士は総勢20名だ。
眠っていた者も、起きて交戦しているようだ。
その時だった!
一人の野盗が斬られると、次々と斬られていったのだ!!
しかも、かなりの速さで!!
10人の野盗は、あっという間に倒されたのだった!!
ルークの出番はなかった。
珍しいこともあるものだ。
しかし、この動き、まさか・・・
ルークは一人思い当たる人物がいたのだ。
ということで、明日確認することにした。
騒ぎが収まったので、ルークは再び眠ることにするのだった。
翌日。
ルークは食事の時、その人物を見つけていた。
「やはりいたのですね、メリッサ殿。」
そう、昨日活躍したのは、メリッサだったのだ。
「ルーク様、おはようございます。」
メリッサは頭を下げる。
「おはようございます。
昨日は大活躍でしたね。
ありがとうございます。」
「いえ、この程度。
今回は、騎士たちの取り纏め役で参りました。」
メリッサは畏まった表情で告げる。
「そうなんですか。
では、しばらくの間、お願いしますね。」
「はい、お任せください。」
メリッサは敬礼を行うのであった。
野盗に襲われたのは、この一回のみであった。
例の宝珠があっても、野盗はなくならないのだ。
ルークとしては、いずれ一掃されることを願うばかりだった。