表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創造系魔法使いのスローライフ!?  作者: 稀硫紫稀
第37章 引っ越しすることになりました。
382/526

37-4 皇帝陛下からの褒美。②

「さて、ルークよ、貴殿には褒美をやらねばならん。

 しかも、今回の活躍は見事であった。

 よって、領地を替えることとする。

 現領地ルクサスメリルから、ミルディアに変更することとする。

 よって、その西方と南方をそなたの支配下に置くことを許す。

 西方の五都市と、南方の三都市には、伯爵を配置する。

 その伯爵たちを、貴殿の手足として扱うことを許す。」


これは、かなりの大判振る舞いであった。

ルークはルーニア皇国西側を牛耳ったも同然だったのだ。

これには、クリシュナも含め、皆驚くのみであった。

しかし、一番困ったのは、ルークだった。


「陛下、それは、さすがに領地をもらいすぎなのではないでしょうか?」


だが、皇帝陛下は笑みを浮かべつつ、言い寄る。


「そなたの功績は、この程度でも不足しているくらいだ。

 ラインクルド王国の件も含めてあるのだ。

 受けてもらうぞ、ルークよ。」


ルークは回避不能であることを悟り、諦めることにした。

これには、マクドフェルド伯爵は拍手を送りたい気分になっていた。

マクドフェルド伯爵にとって、ルークは尊敬に値する騎士であったからだ。

しかも、西方の大半をルークが治めるとあって、喜ばずにはいられなかったのだ。


「さて、マクドフェルド伯爵、そなたにも褒美を与えねばならん。

 聞けば、軍略において優れていると聞く。

 ルークの補佐を見事にこなしたのであろう。

 よって、貴殿には、『侯爵』の爵位を授ける。

 そして、領地替えだが、都市ルクサスメリルの支配を許す。

 都市メリアードは別の伯爵に任せることとする。」


マクドフェルド伯爵は突然のことに、驚き固まっていた。


「わ、私がよろしいのですか??

 ルーク様の領地を賜るというのは・・・!!?」


「本来であれば、貴殿にも引き続き西の守りを任せるべきなのだろうがな。

 人材がそれほど豊富ではないのだ。

 中央部を守る貴族も必要だ。

 そこで、貴殿に白羽の矢が立ったのだ。

 貴殿には、王都守護を命じる。」


「承知致しました。

 ルーク様の領地及び王都を、必ずや守り抜いて見せます。」


マクドフェルド伯爵は頭を深く下げるのだった。



さて、残りは、クロムワルツ侯爵とミルドベルゼ子爵のみであった。

一応クリシュナもいるのだが、クリシュナは別格の褒美がもらえるはずだった。

皇帝陛下はまず、クロムワルツ侯爵を見る。


「クロムワルツ侯爵よ、貴殿は見事クリシュナを助け、戦争を勝利に導いた。

 その功績は大きいものだ。

 よって、貴殿には、王都守護と中央部の取り纏めを担ってもらう。

 更に、『公爵』の爵位を与える。

 領地はそのままだが、中央部の貴族たちを取り纏める役を担うことになる。

 よいな。」


「はっ、ありがたく、『公爵』の任、務めてまいりまする。」


クロムワルツ侯爵は念願だった、『公爵』の地位を手に入れることに成功したのだった。



次に皇帝陛下は、レイヴンを見やる。


「さて、ミルドベルゼ子爵、貴殿にも褒美を授ける。

 貴殿は、西方の守護に着くことを命じる。

 ルークより一つの都市を賜ると良い。

 ルークよ、どこが良い?」


ルークは最もミルディアに近い都市名を告げることにした。


「では、都市アーデアでいかがでしょうか?」


「うむ。

 では、ミルドベルゼ子爵よ、貴殿には、『伯爵』の爵位を与える。

 都市アーデアの地を守護せよ。」


「承知しました。

 必ずや、西方の地、守り抜きましょう。」


これで、レイヴンも昇進が決定したのだ。

念願の昇進だった。



皇帝陛下は最後に、クリシュナを見る。


「クリシュナよ、貴殿にも褒美を与えねばな。」


「父上、私は、皆の助けあって、戦争に勝てたのです。

 私への褒美は、大したものでなくて結構です。」


クリシュナは遠慮がちに言った。

だが、クロムワルツ侯爵がすぐに口を挟む。


「いやいやお待ちくだされ、殿下。

 殿下の采配なくば、今回の戦、勝てなかったかもしれませんぞ。

 のう、ミルドベルゼ子爵殿。」


「そうですね。

 殿下の見事の采配があったからこそ、

 我らは生きていると思っておりますとも。」


クロムワルツ侯爵とレイヴンの追撃に、クリシュナは苦笑を浮かべる。

皇帝陛下はそれを聞き、笑みを浮かべる。


「家臣というのは、しっかりと見ているものだからな、諦めよ。

 では、褒美を授けよう。」


皇帝陛下は大きな声で宣言したのだ。


「クリシュナよ、貴殿には二年後の春に、王位を譲ることとする。

 まずは、これが一つ目よ。」


これには、皆固まる。


「ちょ、ちょっとお待ちください!!?

 何故、今その宣言をなさるのですか??」


クリシュナは慌てふためく。

突然のことに、驚き過ぎていたのだ。


「余も歳だ。

 最近、疲れやすくてな。

 そろそろ執政をクリシュナに譲るつもりだったのだ。

 その準備に二年あれば十分だと判断したのだ。

 よって、本日より、王の仕事を担ってもらうぞ。」


これは決定事項だったようだ。

クリシュナは驚くものの、回避不可能だった。


「それともう一つだ、

 ラインクルド王国の姫を貴殿の嫁として迎え入れることにした。

 いい加減、結婚せよ。」


これもまた、クリシュナにとっては衝撃的な事実だった。


「嫁ですか・・・わかりました。」


これには、折れるしかなかった。


「それとだ。」


皇帝陛下はまだ続ける。


「レヴィも側室として、もらっておくがいい。」


これには、レヴィが固まった。


「父上!!?」


クリシュナは思わず叫んでいた。

だが、皇帝陛下は涼しい顔だった。


「おまえたちは、好きあっているのであろう。

 いつも一緒にいるのだ、なんとなくわかる。

 いい加減、妻帯し、身を固めよ。

 そして、子孫を残せ!」


これには、言い返す言葉がなかったのか、クリシュナはだんまりとなる。

ルークとしては、クリシュナとレヴィが両想いであることに、納得したのだ。

いつもこの二人は、一緒にいる。

ならば、好き同士になってもおかしくはなかった。

レヴィはというと、どう言っていいのか、困惑している状況だった。

こんなに焦るレヴィも珍しい。


「というわけで、クリシュナの結婚式は、来月執り行うことにした。

 これが最大の褒美じゃ。」


皇帝陛下は笑う。


「殿下、おめでとうございます。」


マクドフェルド伯爵は、すぐに拍手をして喜んだ。

クリシュナは複雑な表情だった。



「ルーク、貴殿は幾つになった?」


皇帝陛下の言葉に、ルークは自分の年齢を数える。


「今年で17になります。」


「では、貴殿の結婚式は、来年だな?

 花嫁が四人いると聞いたが、誠か?」


「はい、四人います。」


これには、マクドフェルド伯爵とクリシュナが驚く。

クロムワルツ侯爵とレイヴンは既に知っていることだった。


「ルーク様も、来年結婚式ですか。

 いや、めでたいことです。」


マクドフェルド伯爵は大いに喜ぶ。

皇帝陛下も、笑みを浮かべている。


「クリシュナよ、これくらい嫁を貰っておけ。

 ルークはしっかりと、嫁を迎えておったぞ。」


「見習うべきなのでしょうか・・・」


クリシュナは困惑気味だった。



そんなわけで、ルーク達全員に褒美が与えられた。

ルークは今後を含め細かいことを皇帝陛下に質問することにした。


「陛下、我らは敵軍を壊滅したことにより、

 西方側は軍事力が大きく落ち込んでおります。

 どう対処致しましょうか?」


「そうだな。

 王都からも兵を派遣する手はずとなっている。

 中央部の貴族たちからも、半数近くの軍を派遣する予定だ。

 特にミルディアは要だ。

 都市ルクサスメリルの軍の半分を駐留させることを許す。」


「承知しました。

 一旦、兵をルクサスメリルとメリアードに引き上げます。

 そして、ミルディアに派兵することにします。」


「うむ。

 小国連合も攻める気配はないだろう。

 手早く進めると良い。」


「承知しました。」


それからは雑事を話した後、解散となった。

ルークとマクドフェルド伯爵は王城を去り、急ぎミルディアへと転移するのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ