35-8 南方3つ目の都市を制圧。
翌日。
早速、破城槌を用意し、城外門の破壊行動を開始する。
破城槌の威力に、門が大きくひしゃげる。
敵軍は、打って出るほどの数もいない。
この門を破壊した後、乗り込めば、城外門の制圧は簡単なことになるのだ。
破城槌は城外門を破壊していく!
穴が開いたところへ、騎士や兵士がなだれ込んでいく!!
そして、城外門が内側より開けられる。
一つの城外門が、制圧された瞬間だった!
途端、兵士が都市内になだれ込み、他の城外門の制圧へと動く。
夕方前には、すべての城外門が制圧された。
残りは、城のみだった。
一方、ルークたちは、東方四つ目の都市を制圧していた。
そして、軍議を開いていた。
「これで、四つ全ての都市が制圧できましたな。
あと残りは、王都のみとなりましたな。」
マクドフェルド伯爵は地図を確認しながら述べる。
「残りは、展開している3万の軍勢と王都ですね。
メリッサ殿、どの程度で会敵しそうですか?」
ルークは会敵時期を確認する。
「そうですね、まだ王都前に展開していますので、三日後となる予定です。」
「ならば、ちょうどいいですな。
敵軍を殲滅し、王都に乗り込む形になりそうですな。」
マクドフェルド伯爵はそう言ってうなずく。
「そうですね。
南方侵攻軍の動きはどうでしょうか?」
「現在、三つ目の都市を攻略中です。
おそらく、明日には城を攻略するものと思われます。」
メリッサの回答に、ルークがうなずく。
「となると、約1日遅れとなるか。
王都攻略の際、同時に侵攻する可能性がありそうですね。」
ルークは、白い駒を二つ、王都に移動させる。
「そうなりますと、殿下と軍議を開くことになりそうですな。」
「そうなりますね。
ただ、王城に乗り込むのは、僕が決めたメンバーのみで行います。
これは変更なしです。」
「例の魔法騎士ですな?」
マクドフェルド伯爵の言葉に、ルークはうなずく。
「未だ謎の存在である、魔法騎士がいます。
しかも複数人です。
どの程度の実力か不明なため、
安易に兵士を内部に突入させるわけには参りません。
選ばれたメンバーのみで突入する予定です。」
「なるほど。
しかし、ルーク様と同等の実力でないといいのですが・・・」
マクドフェルド伯爵の言葉に、ルークもうなずく。
もしもの時は、最終手段を使うが、できれば使いたくはないのだ。
「グレッグ団長、クロウ殿とゼルディア殿を呼んでもらえますか?」
「承知しました。
今、呼んでまいります。」
グレッグ団長はテントを出ていく。
「しかし、ルーク様たちだけの突入部隊で大丈夫でしょうか?」
マクドフェルド伯爵は心配していた。
もし万が一にでも、ルークが敗れるようなことがあっては、対応策が無いからだ。
「大丈夫ですよ。
念のため、全員強化してから突入する予定ですから。
油断することなく、しっかり準備してから乗り込む予定です。」
ルークはそう言うものの、マクドフェルド伯爵の心配は晴れないようだ。
その時、三人の騎士がテントに入ってきた。
グレッグ団長、クロウ、ゼルディアの三人であった。
「お呼びでしょうか?」
そう述べたのは、クロウだった。
クロウとゼルディアは立ったまま、敬礼を行う。
ルークらは、敬礼を返す。
「わざわざ来ていただき、すみません。
実は、王城に乗り込む際、あなたたち二人に、
突入部隊として参加してもらいたいのですよ。」
「我らがですか?
自分は問題ありません。」
クロウは先に宣言する。
「自分も問題ありません。
ですが、何故、我らを?」
ゼルディアは問題ないことを告げた後、質問する。
「王城に、魔法騎士が守護している可能性があるためです。
実力がどの程度か、未だわかっていません。
そこで、腕利きである君たちと、ここにいるメリッサ殿、
そして僕の四人で乗り込みます。
無論、下準備はしっかり行いますので、安心して頂きたい。
我ら四人で、その魔法騎士を打ち倒すのです。」
「・・・なるほど。
ルーク様以外にも、魔法騎士が存在していたのですね。」
ゼルディアは納得したようだ。
「ルーク様、自分に任せてください。
必ずや、魔法騎士を討って御覧にいれましょう!」
クロウは自信満々だった。
「私も、お二人ほどの剣の腕はありませんが、
ルーク様のために戦う所存です。」
メリッサは控えめに述べた。
「この三人には、魔剣を授けています。
使いこなしている以上、敵に簡単に負けることはないでしょう。
それに、僕がいますので、負けはないと思ってますよ。」
ルークもまた、自信ありげの発言を行う。
「では、四人にて王城突入は決定ですな。
ですが、その前に、展開している3万の軍勢を倒すこと、
こちらが先決ですな。」
マクドフェルド伯爵は地図を見ながら、述べる。
「そうですね。
ここで、敵の魔法騎士が出てくれれば、楽なのですが。」
ルークはそう言うものの、出てこない可能性もあるのだ。
いつ遭遇するかわからない以上、常に警戒をしておくべきだった。
「では、もろもろ決まったということで、軍議は終了しましょう。
明日から三日間は、移動になります。
油断しないように。」
ルークの言葉に、皆がうなずくのだった。
翌日。
クリシュナら陣営は、軍議を開く。
「ルークたちは、四つ目の都市を制圧したそうだ。
我らも、本日、城を落とすつもりで臨んでもらいたい。」
クリシュナの言葉に、皆がうなずく。
「では、作戦は、いつも通りで進めますが、問題ありませんな?」
クロムワルツ侯爵の問いに、クリシュナはうなずく。
それ以外に上策はないからだ。
「では、皆、頼んだぞ。」
クリシュナの一言で、軍議が終わる。
いよいよ、最終局面だった。
城を囲んでいた騎士たちは、城門の内側に魔法による攻撃を仕掛ける!
敵は残り100名足らずだったこともあり、門から打って出てくる気配が無かった。
そこで、破城槌の出番だ。
破城槌により、門を破壊する!
そして城門内へと兵士が乗り込んでいくのだが、中にはわずか数名の敵しかいなかった。
そのほとんどが、魔法の攻撃にさらされ、被害を受けていたのだ。
敵を倒した後、城内へと侵攻する。
城主とその家族は全員捕らえられ、城地下の牢に閉じ込められることになった。
これにて、制圧完了であった。
「殿下、制圧が完了したとの報告が入りました。」
レヴィからの報告に、クリシュナは大きく息を吐く。
「次は王都か。
ルークたちが先に着いているとよいが。」
王都ミルディアには、3万の軍勢が控えていた。
先にルークたちが王都に到着する予定なので、3万の軍勢と戦うのはルークたちになるだろう。
ルークならば、そのまま王都攻略に乗り出すだろう。
自分たちの出番はないかもしれなかった。
それでも、王都ミルディアで落ち合う予定なのだ。
そして、西方の対応をしなくてはならないのだ。
まだまだ、戦争は終わっていなかった。
「全員に通達。
ここを守護するもの以外は、休息を取るように指示してくれ。」
「承知しました。」
レヴィがテントより出ていくのを確認し、クリシュナは大きく息を吐くのだった。
戦いは佳境へと向かって進んでいた。
だが、クリシュナとルークは油断なく、前へと突き進むのであった。