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創造系魔法使いのスローライフ!?  作者: 稀硫紫稀
第35章 ミーディアス王国侵攻編・侵攻。
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35-7 3万の軍勢を撃破!②

レヴィは“情報整理(オーガナイズ)”で戦場を見ていた。

そして、彼女も気が付いたのだ。


「これは、一方的すぎます・・・」


思わず出た言葉がこれだった。


「何が一方的なんだ?」


クリシュナの問いに、レヴィは答えられなかった。

いや、正確にはクリシュナの声が聞こえていなかったのだ。

ちなみに、クリシュナは、最も後方にいるため、前衛の状況が全く分からないのだ。

つまり、勝っていることも、殲滅戦となっていることも一切知らないのだ。

クリシュナは、レヴィが返答しないため、もう一度問う。


「レヴィ、何か起きたのか?」


「は、はい。

 いえ、その、簡単に説明しますと、既に殲滅戦と化しています。

 こちらの軍が圧倒的に強すぎるのです。」


レヴィが額に汗をかきながら、そう告げる。


「どういうことだ?

 まだ敵兵も多く残っているのに、殲滅戦などありえないのではないか?」


クリシュナの視点からでは、確かに、敵兵はまだ随分と残っていた。


「殿下、敵兵の攻撃がこちらに一切通じていないのです。

 そして、こちらの攻撃が、一方的に敵に通用している状態なのです。

 どういうことかわかりますか?」


その言葉に、クリシュナは気が付く。


「つまり、一方的な殺戮が行われているということなのか?」


「はい、その通りです。」


レヴィが肯定したことにより、クリシュナは戦場を見る。

だが、クリシュナにはわからなかった。


「まさか、これが、ルークの魔法の効果なのか・・・!!?」


クリシュナは、戦慄した。

ルークは恐ろしいことを考えることはわかっていたのだが、これほどとは思わなかったのだ。

彼は、味方が勝つためなら手段を選ばなかったのだ。

例え、敵を全滅に近い状態に追い込もうとも。

例え、一方的に殺戮行為を行うことになろうとも。


「いや、これがルークなのだ。

 だからこそ、彼は最強なのだ・・・

 忘れてはならない、彼は最強の騎士だということを。」


最強ゆえ、手を抜くことは一切ないのだ。

クリシュナは、初めてルークが恐ろしいと感じたのだ。

だが、敵でなくてよかったとも安堵した。

手の中の宝珠を眺める。

今や、何の力もない宝珠だが、この中に封じられた魔法が、圧倒的な勝利を呼ぶことになるとは。


「これは、軍議が静寂で包まれることになるかもな。

 皆、ルークの恐ろしさに、畏怖の念を抱くことなるだろうな。

 全く、彼は恐ろしくもあり、頼りにもなるよ。」


クリシュナはそんなことを呟きながら、戦場を見つめるのだった。



戦争は完全に一方的に進んでいた。

南方侵攻軍の軍勢は、一切欠けることなく、敵軍を屠っていく。

やがて、敵軍は崩れ始め、都市に逃げ出す兵士も現れた。

だが、その数はごくわずかのみであった。

レヴィが調べた限りだと、300程度の兵士が都市内に逃げ込んだのだった。

こうして、敵軍3万3千の軍は、壊滅したのだった。

クリシュナは、すぐに城外門の包囲のみを指示するのだった。



包囲が完了した時点で、軍議が行われた。

クリシュナの予想通り、静寂に包まれていた。

歓喜する者はいなかった。


「さて、全員、ご苦労であった。

 敵軍は壊滅し、残りは都市の制圧のみとなった。

 制圧戦は明日行う。

 今日は疲れただろうからな、兵を休ませよう。」


「そうですな、そのほうがよいでしょうな。」


クロムワルツ侯爵も賛成する。


「殿下、お聞きしたいことがあります。」


1人の騎士団長が手を挙げる。


「何かな?」


「いえ、その、今回使われた魔法は一体何だったのですか?

 その、敵があまりにも弱く感じたのですが。

 それに、こちらに敵の攻撃が全く通用しませんでした。

 これは、どのような魔法なのでしょうか?」


「これは、“軍団魔法(コープス)”だよ。

 出撃前にも説明した通り、魔法騎士ルークが創り出した魔法だ。

 私も最初、その効果は全く知らなかった。

 だが、諸君らはその効果をはっきり体感したのであろう?

 これが、魔法騎士ルークの実力の一端だと思って欲しい。」


クリシュナは、嘘偽りなく告げる。


「これが、ルーク様の実力の一端・・・!!?

 では、ルーク様は遥かに強い存在ということなのでしょうか?」


「あぁ、彼は強い。

 少なくとも、この魔法が無くとも、我ら全軍を

 殲滅するだけの実力を備えているだろうな。」


答えたのはベルガ―だった。


「なんと!!?」


全員がざわつき始める。

だが、そこでレイヴンが一喝したのだ。


「諸君、落ち着け!

 魔法騎士ルーク様は、今や我らの英雄であることを忘れていないか?

 その英雄の実力を恐れていかんとする!

 ルーク様を信じよ。

 あのお方は、我らルーニア皇国の最強の騎士なのだぞ!!」


その言葉に、皆が黙る。


「そうだな、ミルドベルゼ子爵の言う通りだ。

 ルークは、この国の英雄であることを忘れてはならない。

 英雄が強すぎるのだ。

 その力の一端を我らに与えてくださったと思えばよい。

 我らは英雄によって守られていることを忘れてはならない。」


クリシュナの言葉は的を射ていた。

その言葉に、皆が納得したのだ。


「皆の者よ。

 ここはルーク様に感謝せねばなりませんぞ。

 でなくば、我らは、敵軍に殲滅されていたやもしれません。

 今回は、英雄の策あってこそ勝利できたのです。

 英雄であるルーク様を敬うことはあっても、蔑むことは許されませんぞ。」


クロムワルツ侯爵はそう述べる。


「そうですな、ルーク様のおかげで我らは生きている。

 ルーク様に感謝せねば、罰が当たるというものですな。」


騎士団長はそう述べて、非礼を詫びた。

クリシュナは場が落ち着いたのを見計らって、声をかける。


「さて、話を戻そう。

 今日は一旦休みとする。

 明日より都市を制圧するため、動く。

 よいな。」


「「「はっ!!!」」」


全員の返答に、クリシュナはうなずくのだった。

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