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創造系魔法使いのスローライフ!?  作者: 稀硫紫稀
第33章 戦争の準備に取り掛かりました。
353/526

33-8 冬が明けたら・・・

その日の夕食時。


「皆さんに報告があります。」


ルークの言葉に皆が注目する。


「春が来たら、ミーディアス王国に侵攻することになりました。

 よって、戦争に参加します。

 残り一カ月と少しですが、覚えておいてください。」


「どの程度かかりそうですか?」


リリアーナの質問に、ルークは考える。


「そうですね、早くて三カ月程度でしょうか。

 遅くとも、一年くらいと見積もって頂ければと思います。」


「わかりました。」


リリアーナは納得したようだ。


「ルークは総大将なの?

 それとも別の人?」


アリシアが質問してきた。


「総大将は、クリシュナ殿下です。

 近衛師団と一緒に行動しますので、大丈夫ですよ。」


「そう、お兄様が出陣するのね。」


アリシアは、クリシュナのことを心配していた。


「レイヴン兄さんも出陣するのかしら?」


ミレーナの質問に、ルークは首肯する。


「以前、レイヴンに聞いたところでは、2千の兵を預かっているから、

 出陣することになるだろうとは言っていました。

 ですから、南方から攻めることになると思いますよ。」


「そっか・・・

 サーシャ姉さまが心配だわ。」


「たまに、様子見に行きますか、ミレーナ?」


ミシェリがミレーナに声をかける。


「そうね、そうしましょうか。」


「じゃ、私に任せてください。

 私はルーク様から“瞬間移動(テレポート)”を学んでいますので!」


ミシェリは得意げだった。


「ちなみに、クロムワルツ侯爵も参加されるそうです。」


ルークがミシェリにそう告げる。


「それもそうですね。

 お父様は南の要ですからね。

 私は大丈夫ですよ。」


ミシェリは、特に問題なさそうだった。

ルークは全員の表情を観察する。

皆、一様に心配しているようだ。

メイリアも同様だった。


「家のことは、皆さんに任せますので、心配せずに待っていてください。

 もう少し先の話ですが、覚えておいてくださいね。」


ルークは念を押す。

皆はうなずく。

問題はなさそうだった。



夕食が済むと、ルークはミシェリを執務室に呼んだ。


「ミシェリ、一つ頼みがあります。」


「はい、なんでしょうか?」


「メイリア殿をある場所に連れて行って欲しいのです。

 “瞬間移動(テレポート)”を使えるのはあなただけですから。」


「どのような場所なのでしょうか?」


「明日の午後、教えます。」


「わかりました。」


ミシェリはこくりとうなずくと、ルークの執務室を出て行った。

ルークは、深く息を吸うと、大きくため息を吐くのだった。



翌日、午後。

ルークはミシェリを連れて、ペゾスの村にある元自宅にやってきた。


「ここですか?」


ミシェリは周囲が雪に覆われているのに、驚く。


「いえ、ここから先、小高い場所に、お墓があります。

 そこまで案内しますので、道を覚えてください。」


「はい、わかりました。」


ルークは、火の魔法で雪を溶かしながら進む。

ミシェリはその後ろをついていくのみである。

やがて、小高い場所に到着する。

そして、小さな石の前で止まる。


「ここは・・・?」


ミシェリは道を覚えたようだが、この周辺には何もなかった。

あるのは、小さな石のみだった。


「これは、お墓なんだ。

 僕の乳母であった、ネミアという女性の墓なんだ。」


「ルーク様の乳母・・・?」


「うん、僕は、昔捨てられたって話をしたよね?

 その時、僕を育ててくれたのが、乳母のネミアだったんだ。

 実は、そのネミアは、メイリア殿に仕えていたんだ。

 だから、メイリア殿にとっても大切な方なんだよ。」


「そうだったのですね。」


ミシェリは驚くのだ。


「春が来れば、僕は戦争に行かなくてはならない。

 ネミアが亡くなったのは、春だったんだ。

 だから、僕の代わりに墓参りをして欲しい。

 それに、メイリア殿も、ネミアに会いたいだろうからね。」


ルークは寂しそうに、そう告げる。

ルークは毎年春になると、ネミアの墓標に必ず来ていたのだ。

墓参りにである。

だが、今回は戦争があり、長引く可能性もある。

だから、ミシェリに墓参りを頼むことにしたのだ。

ミシェリは納得したのか、こくりとうなずく。


「じゃ、花嫁みんな連れて来ますね。

 もちろん、お母様も含めてです。

 ネミアさんにも花嫁を紹介しないといけませんよね。

 私がちゃんと報告しますから、安心してくださいね。」


ミシェリは、そう宣言したのだ。

ルークはちょっと驚いていた。

まさか、花嫁全員を連れてくると言い出すとは思わなかったからだ。

だが、賑やかになるのならば、いいのかもしれない。


「あぁ、じゃ、ミシェリにお願いするよ。」


ルークはそう言うと、墓石に向かって手を合わせるのだった。

ミシェリも同じように、手を合わせ、瞑目する。

ルークにとっては、少し早い墓参りであった。

まだ寒い時期であったが、この時ばかりは、日差しも暖かく感じたのであった。

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