33-6 魔剣の修行の成果。①
翌日、午後。
ルークは仕事が終了したので、のんびりと過ごしていた。
そういえば、魔剣を渡して時間が経ったが、あの二人は扱えているだろうか?
ちょっと気になったので、様子を見に行ってみようか。
それに、魔剣ムーンライトの具合も確認したいと思ったのだ。
ちょうどいい機会なので、二人の状況確認と、魔剣ムーンライトの確認を行うとしよう。
ルークは、魔剣ムーンライトを持ち出すと、ルクサスメリル騎士団へと赴くのであった。
ルークは、ルクサスメリル騎士団の隊舎に到着すると、訓練中の騎士に声をかけ、クロウとゼルディアを呼び出してもらった。
二人はすぐにやってきた。
ルークを見るや、同時に敬礼をする。
ルークも敬礼を返す。
「魔剣を渡してから、だいぶ経ちますが、使いこなせるようになりましたか?」
ルークの質問に、二人はうなずく。
「はい、私は、魔剣の力をある程度引き出すことに成功しています。
自分に魔力がないので、全力とはいきませんが。」
クロウは自信があるようだが、自分に魔力がないことを悔やんでいるようだ。
「自分は、風を使いこなすことに苦労しました。
ですが、だいぶ引き出すことができていると自負しております。」
ゼルディアも自信があるようだ。
「じゃ、確認させてもらいましょうか。
結界を創るので、ちょっと待ってくださいね。」
ルークは、誰もいない訓練場の一角に、結界を張る。
四角い箱状の結界が形成される。
すると、結界の中に、かかしもどきが出現する。
それも、多数である。
「では、かかしもどきを敵に見立てて、試し斬りを行ってください。
かかしもどきは、次々に出現しますので、気にしないでくださいね。
では、まずはクロウ殿から。」
「はい、では参ります!」
クロウは結界の中に入り、剣を引き抜き、構える。
「グラスフィア、行くぞ!」
『承知!』
瞬間、グラスフィアの刀身に水が走る!
剣を振るった瞬間、水の刃が多数のかかしもどきを斬り裂く!
攻撃範囲が一気に広がったのだ!
しかも、クロウの流麗な動きに従い、かかしもどきが綺麗に刈り取られたのだ。
クロウは、右、左と順に斬り裂いていき、双方のかかしもどきを綺麗に斬り裂いたのだ。
素晴らしい動きだった。
クロウは一旦下がる。
ルークはかかしもどきを元に戻す。
クロウは大きく振りかぶった状態で、叫ぶ!
「グラスフィア、斬り裂くぞ!」
『承知!』
瞬間、刀身に水が纏わりつき始める。
クロウが剣を振りかぶった瞬間、大きな水の刃が、刀身から射出されたのだ!
そして、かかしもどきを斬り裂いていくのだ!
クロウの振りかぶった先にあったかかしもどきは、綺麗に斬り裂かれ、道が出来上がっていた。
十分な威力であった。
クロウは一息つくと、剣を収める。
そして、結界を抜け出し、ルークの元に戻る。
「今のところ、こんな感じです。
さすがに、ルーク様のように全身に水を纏うことは無理でした。」
クロウはそう告げると頭を下げる。
「いえ、十分に扱えていると判断できました。
水を纏うには、魔力が必要ですからね。
そこを抜きにしても、十分ですよ。」
「そう言って頂けると、助かります。」
クロウは笑顔で答えた。
ルークの目から見ても、十分に使いこなせていると判断できていた。
魔力が無くとも、これだけ扱えれば、十分であった。
クロウはそういう意味で合格であった。