3-8 戦争前夜。
翌日、戦争前日。
2700の軍が到着したのだ。
率いるのは、ウォーザード伯爵だ。
戦争上手と噂される貴族だ。
これで、3000の軍勢が揃ったことになる。
皆、表情が緊張していた。
いよいよ明日なのだ。
夜。
ルークは食事を済ませていた。
後は、寝るだけだったのだが、来客があったのだ。
「よう、ルーク。
元気か?」
なんと、ダーナスだったのだ。
しかも、一人で来ていたのだ。
「ダーナス隊長!
どうしたんですか?」
ダーナスは、ルークの隣に座ると、話し始める。
「今回の戦争について、ちょっと教えておこうと思ってな。」
「今回の戦争?」
ダーナスは一息つくと、言葉を紡ぐ。
「今回は、防衛戦なんだ。
うちらは攻められる側ってことさ。」
「どういうことですか?」
「簡単に説明すると、前回の戦争で、こっちが敵さんの領土を奪ったんだ。
それを取り返そうと、ラインクルド王国が戦争を仕掛けて来たんだよ。」
つまり、今回の戦争は領土争奪戦ということになる。
条件は、前回の戦争で奪われた土地の奪還にある。
戦争に負けた場合、その領土が取られるということを意味していた。
「つまり、領土を守るための戦いということですか?」
「まぁ、そういうことだ。
相手からしたら、理不尽な話だろうが、ルール通りにやっている以上、
文句は言えない。」
「じゃ、僕たちは、貴族か王族が作ったルールに沿って、戦うわけですね?」
「その通りだ。
まぁ、これを聞いて、理不尽に思うヤツもいるだろうがな。」
確かに理不尽と言えば、理不尽だった。
だが、このルールを逸脱することは許されていない。
根底から変えるのならば、国自体を変える必要があるのだ。
だが、ルークやダーナスにはそんな力はなかった。
「確かに、理不尽かもしれませんね。
でも僕たちはルールに従わないとダメなんですよね?」
「そうだな。
ルールは絶対だ。
破ることも逸脱することも許されていない。」
まるで確認するように、ダーナスは語る。
「というわけで、明日の戦争は、守る戦争だと思ってもらえればいい。
難しく考える必要はない。
勝っても負けても、俺たちには、あんまり関係ないってことだ。」
「そう、なんですか?
確かに、皆、戦争の内容には興味なさそうだし。」
「そういうことだ。
皆、生きる事に必死なだけだ。」
ダーナスはそこまで語ると、立ち上がる。
「じゃ、明日、活躍を期待しているぜ、ルーク。
それから、お前の村15人はお前が指揮しろ。
許可は俺が出す。」
「はい!?」
突然のことに驚く。
聞き返そうとしたが、ダーナスはさっさと去っていった。
「僕が指揮を執る・・・」
ルークは思わず反芻していた。
しばらくの間、ルークの思考は停止するのだった。




