33-2 ショートソードを直してみる。
翌日。
まずは、マクドフェルド伯爵に手紙を送った。
打ち合わせを要望する内容を書いておいた。
メリッサから得られた情報を元に、戦争に関する相談をするつもりであった。
それから、仕事に取り掛かる。
仕事が終わる頃に、マクドフェルド伯爵から手紙が届いたのだ。
ルークは早速、手紙の中身を確認する。
明後日に打ち合わせの場を用意するとあった。
明後日までに、都市メリアードに移動する必要がありそうだ。
明日には、出発しないと間に合わないので、ルドルフに馬車等の手配をお願いすることにした。
それと、騎士団長二名にも同行願うことにしよう。
ルークは“思念連結”にて、二名の騎士団長に、明日城に来るよう通達した。
無論、マクドフェルド伯爵支配領の都市メリアードへ行くことも伝えておいた。
それと、ルドルフに、ガイマンとメルディナにも明日と明後日、不在にする旨の伝達も依頼した。
これで、一通り完了だった。
持ち物として、メリッサの報告書も一応持っていくことにした。
これで良しということで、手が空いたのだ。
さて、何をしようかと紅茶をすすっていると、布で巻かれたショートソードが目に入ったのだ。
そういえば、購入しておいて、修復をしていなかったのだ。
ルークは口の中の紅茶を飲み込むと、ショートソードを手に取る。
そして、布をはぎ取り、確認する。
刃先は完全にボロボロだった。
だが、魔力はしっかりと残っている。
まずは、修復だ。
『魔剣生成』を使って、修復を開始する。
すると、刃先が修復されていき、綺麗な剣となる。
ただ、華美な装飾はなく、普通のショートソードと遜色はなかった。
次に、『魔剣進化』を施す。
すると、声が聞こえ始める。
『ワタシハ・・・』
「おまえの名は何だ?」
ルークが問いかけるも、返答が無い。
これも、名無しの剣のようだ。
次に“情報収集”で調べてみる。
やはり、名無しの剣だった。
属性も無い、無属性の剣だった。
名前を付けてやらないとな。
剣をよく見てみると、柄の部分に月の紋章が施されていた。
柄に紋章を施すとは、珍しいことだった。
この剣もまた、儀礼用として使われていたものかもしれない。
安易だが、名を決定した。
「おまえの名は、ムーンライトだ。」
途端、剣が淡く輝き始め、魔力が満ち始める。
そして、美しい刀身へと変わったのだ。
やや紫がかった刀身となったのだ。
『私は、ムーンライト。
主より、賜った名前です。』
「よろしくな、ムーンライト。」
刀身が短いとはいえ、他の魔剣にも劣らぬ魔力を持っていた。
かなり良い魔剣となったようだ。
ルークは、ルドルフに鞘を手配してもらうのだった。