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創造系魔法使いのスローライフ!?  作者: 稀硫紫稀
第32章 近衛師団に教官を依頼されました。
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33-5 侵攻の話。

翌日以降、近衛師団の騎士や候補生たちの訓練を見て回る日々が続いた。

ルークは教官として、アドバイスをすることに徹した。

無論、“情報収集(サーチ)”で得た情報の活用を忘れない。

こうして、騎士や候補生たちの動きが良くなっていくのだった。

ルークのアドバイスは非常に丁寧であり、的を射ていたのだ。

彼らに伝わる言葉でわかりやすく伝えていたので、皆、すぐに納得や理解することができたのだ。

そのことにより、皆の行動に変化が生まれていたのだ。

これを知ったベルガ―は、嬉しい反面、自分もそうであらねばと反省するのであった。



四日目。

現場に、クリシュナが来ていたのだ。

ルークは当初気付いていなかった。

何故なら、クリシュナは、隊舎にいたからだ。

隊舎は、“情報収集(サーチ)”の対象外だったため、気付くはずがなかった。

ベルガ―の執務室で、クリシュナ、ベルガー、レヴィの三人が集っていた。


「訓練の状況はどうだ?」


「はっ、ルークのおかげではかどっております。

 騎士も候補生も動きが良くなっておりました。」


その回答に、クリシュナは笑みを浮かべる。


「やはり、ルークに任せて正解だったな。

 それにしても、彼はうらやましいものだ。

 内政に軍事、双方をうまく回せる人材はなかなかいない。

 公爵にするのがもったいなかったかもしれないな。」


クリシュナは何となく、ルークを公爵にしたのがもったいないと感じていた。

もし、近衛師団にスカウトできていれば、近衛師団が更に強化されていた未来が視えたからだ。

だが、それは今更の話である。


「殿下、ルークにお会いにならないのですか?

 今なら呼び出せますが。」


ベルガ―の言葉に、クリシュナは首を横に振る。


「いや、今は会わないでおこう。

 夕方、訓練が終わった時点で会おう。

 その時、少し話がしたい。

 夕方にもう一度来る。

 ルークをとどめておいてくれるか?」


「わかりました。

 では、ここで待たせることにしましょう。」


「あぁ、頼む。

 じゃ、王城に戻る。

 レヴィ、いくぞ。」


「はっ!」


クリシュナとレヴィは、執務室を退出していった。


「相変わらず、お忙しい方だな・・・」


ベルガ―はポツリとそんなことを呟くのだった。



夕方になった。

訓練に疲れた騎士や候補生たちは、隊舎へと戻っていく。

ルークも隊舎に寄ってから、ミルドベルゼ子爵の屋敷へと向かおうとしていた。

その時、一人の騎士がルークの元にやってきた。


「ルーク様、ベルガー様がお呼びです。」


何かあるのかな?

そう思いつつ、隊舎へと向かうことにした。



ベルガ―の執務室に入ると、クリシュナとレヴィが待っていた。

ルークは敬礼をすると、二人も敬礼を返してくれた。


「ルーク、よく来た。

 さ、座るといい。」


クリシュナの言葉に従い、ルークはソファに座る。


「以前、君には手紙で送った内容だが、来年春に侵攻が行われる可能性がある。

 これは、ほぼ決定事項と思ってもらって構わない。

 実はな、ミーディアス王国で内乱が発生しているのだ。」


「なるほど。

 内乱に乗じて、攻め込むというわけですか?」


「それもある。

 内乱の内容だが、単純な後継者争いだ。

 国王派と皇太子派で、王位継承で争いが発生したそうだ。

 国王は皇太子を廃嫡し、皇太子の末弟に、王位を継がせるつもりらしい。

 それを知った皇太子が、反乱を起こしたそうだ。

 ところが、この皇太子も阿呆なのだ。

 よりによって、我が国に侵攻せよなどと言いおったのだ。」


意味がわからない。

何故、皇太子が侵攻を許すのだ?


「簡単な話です。

 皇太子は圧倒的に不利な状況にあります。

 おそらく内乱も、冬の間に終結するのではないかと見込んでいます。

 皇太子派は、そのほとんどを攻略されてしまっております。

 そんな中、我が国に助けではなく、侵攻を許したのです。

 噂では、元々馬鹿者で有名だったそうですが、

 今回の件でそれが露呈したというところでしょうか。」


レヴィは少々呆れながら話していた。


「では、その侵攻を許したことを名目に、動くということですね?」


「まぁ、そうなるな。

 皇太子派については、助けるつもりはさらさらない。

 むしろ、皇太子派を滅ぼして、疲弊したところを、

 我らの軍勢が叩くという形になりそうだ。

 そして、一気にミーディアス王国を滅ぼす。

 これは、父上の考えでもあるはずだ。」


なるほど、内乱の終結後に、軍勢を派遣し、一気に滅ぼす算段か。


「では、春になれば、我らはすぐに動く形になりそうですね。」


「そうだな、きちんとした宣戦布告は我が国から出されるのは、

 恐らく春前となるだろう。

 春になった時点で、軍勢を派遣する形となるだろう。

 無論、北と南の二方面から進撃することになる。

 君には、北から攻略してもらう予定だ。」


クリシュナの言葉に、ルークはうなずく。


「敵の軍勢はどうでしょうか?」


「疲弊しているとはいえ、6万程度の軍勢を出すことは可能かと思われます。

 無論、寄せ集めを含めての話ですが。」


レヴィの報告はある程度正確なので、信じても問題ない。


「王都を攻め落とせば、他は烏合の衆に等しい。

 これは、ルークが先に攻略するか、

 近衛師団が先に攻略するか次第になってくる。

 ミーディアス王国の西側は小国が控えているから、

 こちらは戦争に加担することはまずないだろう。」


ミーディアス王国の西側は小国連合となっている。

小さな国々が、連合を作っているのだ。

ルーニア皇国とケンカを売るだけの実力はないに等しいのだ。

よって、ミーディアス王国に援軍は存在しないのだ。


「なるほど。

 では、ちょっと競争になりそうですね。」


「まぁ、どちらが先に落としてもかまわん。

 落とした時点で、抵抗力は大幅に落ちる。

 それだけのことだ。」


クリシュナの言葉通りだった。


「ともかく、戦争の準備は、騎士団に指示しております。

 こちらも、いつでも動けるようにしておきますので、ご安心を。」


ルークの言葉に、クリシュナはうなずく。


「後は、父上次第だ。

 すぐに動けるように、頼んだぞ。」


クリシュナの言葉に、ルークとベルガ―はうなずく。

戦争は、確実となった。

後は、皇帝陛下の命令次第だったのだ。

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