33-4 王都へ。①
翌日。
ルークは朝食後に、メイドに魔法騎士の制服を着せられると、王都へと飛んだ。
王都到着後、まっすぐに王城に向かう。
途中で道を変更して、近衛師団の訓練場に向かう。
到着すると、既に訓練が始まっていた。
ルークは、まっすぐ隊舎に向かうと、受付にベルガーとの面会を頼んだ。
すると、すぐにベルガーの執務室に通されたのだ。
「お久しぶりです、ベルガーさん。
魔剣は、使いこなせるようになりましたか?」
「久しぶりですな、ルーク。
魔剣は使いこなせるようになったと、自負しているよ。」
二人は、笑みを浮かべ、握手を交わす。
ルークとベルガーはソファに座ると、本題が始まる。
「さて、本題なのだが、戦争が近いのはご存知かな?」
「はい、クリシュナ殿下から聞いています。」
「我ら近衛師団も出陣の可能性が髙くなった。
陛下は本気で制圧されるつもりのようだ。
陛下自ら出陣されることはないと思うが、
我らが代理で出陣する可能性が髙くなったわけだ。」
「なるほど。
となると、ベルガーさんが指揮をとられるのですか?」
「その可能性はあるが、まだ決まっていない。
もし私が指揮を執る場合、我らは南方より攻めるだろうな。
そして、ルークは、間違いなく北方から攻める形になる。」
ルークは、やはりと思った。
陛下のことだ、ルークに北方を任せる可能性が髙い。
「そうであれば、クロムワルツ侯爵を主体とした軍編成になりそうですね。」
「そうだな、総勢3万の軍となる可能性が髙い。
南方のラインクルド王国と同盟関係にあり、且つかの国は安定しているからな、
更なる大軍になる可能性もある。」
これは、本気でミーディアス王国を滅ぼすつもりで行動する可能性が髙い。
「そこでだ。
近衛師団は軍の練度が低くなってはいないか、心配でな。
一つ、ルークに見てもらいたいと思って呼んだのだ。
軍による戦闘経験は、私よりも、ルークのほうが豊富だ。
それに、兵士へのアドバイスがうまいと評判であるしな。」
恐らくレヴィさんの入れ知恵だろうな。
そんなに、アドバイスがうまいと考えたことは、ルークはない。
だが、ルークが知らないだけで、実際はアドバイスがうまいのだ。
「とりあえず、僕でよければ力になりますよ。
本日より、一週間でよろしいのでしょうか?」
「あぁ、それだけ期間があれば十分だろうと思っている。
それから、たまにクリシュナ殿下が来るかもしれない。
あの方も、近衛師団の活躍を楽しみにされているからな。」
なるほどね。
後で、クリシュナとも会話する可能性があった。
その時は、その時である。
「じゃ、早速、見て回りますね。」
「いや、その前に、兵士たちに説明をせねばならん。
すぐに招集をかけるので、一緒に行動してくれるか?」
「了解しました。
では、参りましょう。」
二人は立ち上がると、訓練場へと足を向けるのであった。
ベルガーが隊長たちに集合をかける。
近衛騎士及び候補生たちが全員集合した。
「全員聞け!
ベルガ―団長より、お言葉である!」
隊長がそう叫ぶと、皆が黙る。
「皆、聞け!
本日より、魔法騎士ルーク様が、我らの訓練を見てくださることになった。
一週間という短期間ではあるが、皆しっかり訓練をするのだぞ。
よいな?」
「「「はっ!!!」」」
「では、ルーク様より、お言葉である!」
ルークは、大きな声で叫んだ。
「皆さん、初めまして、魔法騎士のルークです。
本日から一週間、訓練のサポートをさせてもらいますので、
よろしくお願いします。
何かあれば、遠慮なく質問してくださいね。」
「「「はい!!!」」」
全員が叫んだところで、ルークの言葉は終わる。
「では、全員、訓練に戻れ!」
ベルガ―の号令一下、皆それぞれの訓練に戻るのだった。
「では、ルーク様、頼みますぞ。」
ベルガ―はそれだけ言うと、隊舎へと戻っていく。
ルークは、訓練場全体を見て、早速“情報収集”を開始する。
そして、訓練中の騎士や候補生たちに、アドバイスを開始していくのだった。