28-6 後片付け。
ルークは、後片付けに動いていた。
まずは、怪我人の手当てである。
都市の中央広場に、怪我をした騎士が集められていた。
前回と同じく、50人ぐらいだった。
「じゃ、そこ動かないでくださいね。
“大規模展開術式・回復”!!!」
瞬間、怪我が治り、皆完治したのだった。
回復は、これでOKだった。
次に、門の修復である。
破壊したのは、城外門のみだったので、「創造系魔法」で修復した。
皆が驚いていたが、ルークはいつものことなので、無視した。
そういえば、逃げていた敵の騎士たちも捕らえておいた。
抵抗するかと思ったら、あっさりと降伏したのだった。
牢屋に放り込んでおいたので、しばらく反省してもらおう。
次に、騎士団長の1人を、都市メアナードの守備に残すことにした。
騎士団長を1人指名し、1000人の騎士を残すことを決定した。
それと、魔法使いたちに命じて、周辺の都市に対して、フェブリゾ公爵の軍勢が壊滅し、公爵本人が捕らえられた情報を流した。
これは、公爵派の貴族たちが王女派に寝返ることを期待した上での行動だった。
前回も同じ手段をとったので、うまくいくといいのだがと思うのだった。
それから、“思念連結”を通じて、エリーシャに戦勝報告を行った。
簡単な報告のみを行い、詳細は戻り次第報告することとなった。
エリーシャはかなり喜んでいた。
これで、南の脅威も消えたのだ。
最後に、フェブリゾ公爵一家の護送準備である。
馬車を2台用意した。
この馬車に、公爵一家を乗せる予定だった。
ここまで準備ができた時点で、夕方になっていた。
急遽、軍議を開くことにした。
「とりあえず、お疲れ様です。
もろもろの準備が整いました。
明日には、王都に向かって引き返します。
メリッサ殿、西の公爵の動きはどうでしょうか?」
「今のところ、動きはありません。」
「となると、王都を攻めるつもりはなさそうですね。
やはり、援軍狙いでしょうかね。」
「恐らくは・・・」
メリッサはコクリとうなずく。
「とりあえず、本日はゆっくり休みましょう。
明日、王都へ引き返します。
オスティア殿、明日護送の件、お願いしますね。」
「了解しました。」
こうして、軍議を終え、食事を済ませた後、皆ゆっくり休むのだった。
翌日、城の地下牢より、フェブリゾ公爵一家が出てきた。
彼らは後ろ手に縛られていた。
フェブリゾ公爵は既に諦めた表情をしていた。
家族もまた、自分たちがどうなるのか不安な表情を浮かべていた。
彼らも北の公爵同様、全員絞首刑に処されるだろう。
貴族として生まれた以上、致し方ないとはいえ、覚悟してもらう必要があるのだ。
それが貴族の責任なのであった。
公爵一家を、2台の馬車に乗り込ませる。
そして、オスティア指揮下の騎士が馬車の御者を務める。
その馬車の周囲を、騎士たちが囲んだ。
護送の準備が整った。
「では、出発しましょう。」
ルークの一声により、1万9000の軍は、王都に向け進軍を開始するのであった。