28-3 会敵と戦争。②
オスティアは、剣を振るい、1人倒す。
その時、上部から矢が降り注いだのだ。
防ぎきれない!?
オスティアは当たるのを覚悟で、剣を振るう!
だが、矢が体に触れるや、あっさりと弾かれたのだ。
「こりゃ、一体!?」
次に、敵の剣士が剣を突き付けてきたのだ。
オスティアは回避し、思いっきり剣を振るう!
途端!?
「ズブリッ!!!」と鈍い音を立てて、敵兵を一刀両断してみせたのだ!
「!!?
おいおい、ありえないだろう!!?」
そう、人間をあっさりと一刀両断するなど、簡単にできることではないのだ。
だが、今、目の前で実際に起きたのだ。
そして、それを自分が起こしたことに、オスティアは信じられなかったのだ。
「・・・これが、魔法の力だってのかよ!?」
オスティアは信じられない思いだったが、ルークの魔法の威力に驚くしかなかった。
「こりゃ、やばすぎだろ!?
一方的な虐殺になるんじゃねぇか?」
その言葉は現実となるのだった。
メリッサは、機動力を生かし、敵を屠っていた。
メリッサも最初こそ驚いていたものの、これが魔法の効果なのだと納得していた。
彼女が敵を胴薙ぎした途端、敵が上下真っ二つに分かたれたのだ!
最初はあまりの威力に驚いていたが、今は驚かなくなっていた。
「これが、ルーク様の魔法の威力・・・」
ルークの魔力は、常軌を逸していた。
あまりの破壊力に、戦慄するほかなかった。
しかし、今はありがたかった。
これならば、圧倒的な力で、敵軍を屠れるのだ。
王女派が勝てる見込みが立ったも同然であった。
メリッサは、剣を構え直し、次の敵へと狙いを定める。
そして、どんどん斬り裂いていく。
今は、戦争中なのだ。
敵を倒すことに集中するのみだった。
王女派の騎士たちは、自分たちの変化に戸惑っていた。
剣を振るえば、敵が紙を斬るがごとく、スパッと斬れたのだ。
逆に敵の攻撃は、一切通用しない。
敵の攻撃が当たったと思った瞬間、体を纏っている薄い光が、防いでいたのだ。
完全に無敵状態だったのだ。
“軍団魔法”の魔法の効果に気づいた者達は、どんどん進撃していった。
敵を斬り裂き、更に前に進む。
そうすることで、敵は崩れ始めていたのだ。
騎士たちは、自分たちが強くなったことを信じて、更に前進する。
これにより趨勢が見え始めてきたのだった。
オスティアとメリッサと騎士たちが活躍している頃、ルークもまた、敵大将を目指して進撃していた。
ちなみに、“軍団魔法”はルークには適用されていない。
理由は至極簡単で、この魔法は、術者には適用できないという欠陥があったからだ。
よって、ルークのみ、自身の実力で敵を屠っていたのだ。
だが、ルークは圧倒的に強かった。
敵の攻撃をことごとく回避し、剣でもって敵を倒していく。
まるで、優雅に踊るかのように、敵を倒していたのだ。
その強さは、まさに一騎当千であった。
やがて、敵軍は崩れ始めていた。
2万の軍は、一切欠けることなく、敵軍を押し始めたのだ。
3万の軍は、次第に兵士の数を減らし、押され始めていく。
ルークの思った通りに、戦局が流れていく。
「さて、大将はどこにいるかな?」
ルークは剣を振るいつつ、さらに進撃するのだった。
3万の公爵軍は、崩れ始めていた。
たった2万の軍勢相手にである。
これには、フェブリゾ公爵は焦りを隠せなかった。
「閣下、城にお逃げください!
既に我らの軍は、崩れております。
このままでは、壊滅するのが必定。
お逃げください!!」
腹心の言葉に、フェブリゾ公爵は唾を飲みこむ。
「どうしてこうなった?
何故、こうなった?
何故なのだ!!!」
フェブリゾ公爵はやり場のない怒りを、ぶつけていた。
完全に計算が狂った。
このままでは、隣国の援軍も得られずに、負けることになる。
捕らえられれば、死罪だ。
こうなったら、籠城するしか手が無い。
「ええい、一旦城に引く。
体制を立て直すのだ。」
フェブリゾ公爵は馬に乗るや、急いで城へと引き返すのだった。
ルークは、都市メアナードに逃げる一団を確認していた。
どうやら、軍勢が崩れたことを悟り、逃げたようだ。
あの中に大将がいたに違いない。
まぁ、構わないだろう。
もはや、逃げ場はない状態だったのだから。
ルークはバッサバッサと敵を斬り捨てながら前に進むと、輜重隊を発見していた。
よし、兵糧や物資を確保しよう。
ということで、輜重隊を殲滅するのだった。
こうして大将を失った公爵軍は、あっさりと瓦解したのだった。
敵兵のほとんどが斬り捨てられ、生き残った者達は、隣の都市や森の中へと逃げ込んでいくのだった。
都市メアナードへ逃げ込もうとした者もいたが、城外門が完全に閉じられていたため、逃げ場を失い、自死する者も現れる始末だった。
こうして、公爵軍は壊滅し、残ったのは、無傷の王女派の2万の軍勢だった。
既に夕方となったため、一旦、戦闘は中止となるのだった。