28-3 会敵と戦争。①
一週間後。
都市メアナードが見えていた。
その前に、3万の軍勢が控えていたのだ。
ルークは進軍を止め、対峙することになった。
さて、作戦を立てますか。
ルークは早速軍議を開くことにした。
集まったのは、オスティア、メリッサ、騎士団長数名だ。
今回は寄せ集めの軍隊ではない。
きちんとした騎士団の軍勢だ。
よって、2万の軍勢は、全員戦闘に問題はない。
「今回も1人で赴くとか、やめてくださいよ。
俺たちの出番もくださいよ。」
オスティアが開口一番、そんなことを言い出したのだ。
メリッサ以外の人間には意味がわからなかった。
当然、前回の戦闘について一切説明していないからだ。
まぁ、説明も面倒だし、説明するつもりもないのだが。
「今回は、全軍で戦うから、安心してほしい。
上級魔法を使う予定はないので、大丈夫だと思いますよ。」
ルークは軽い感じで話す。
メリッサは前回の結果を知っているだけに、本当に大丈夫かと心配していた。
「まず、2万の軍勢に、“軍団魔法”を使います。
この魔法は、ご存じの通り、軍隊に対して使う魔法として有名です。
主に、軍隊の攻撃力や防御力を微々たる程度ですが、強化するものです。
今回、この魔法にとある特性を含ませるので、その説明をまず行います。
僕は、魔法を複合化させる技術を持っています。
まぁ、簡単に言うと、一つの魔法に、複数の魔法を詰め込むといったことです。
例えば、“火炎球”を3つ詰め込むとどうなりますか?」
「・・・えっと、大きな“火炎球”が出来上がるとか?」
オスティアは予想で、そんな答えを述べる。
「残念ながら、ハズレです。
答えは、上級魔法レベルの威力を誇る“火炎球”が出来上がります。
つまり、威力が大きく増すことになります。
これを応用します。
“軍団魔法”には、複数の魔法を組み合わせることが可能です。
例えば、攻撃強化、防御強化、魔術防御強化が一般的なものですね。
この3つを、魔法の複合化を併用して使用した場合、どうなると思いますか?」
メリッサは目を見開き、発言する。
「強力な戦士を作ることができます。
しかも、攻撃力が圧倒的で、剣すら通さない防御を誇り、
魔力を防ぎ切る防御力を得ることができるかと思います。
違いますでしょうか?」
「メリッサ殿、正解です。
威力が強化される分、実力以上の効果を発揮します。
ということで、魔法は完成していますので、これを唱えた後、
敵軍に向かって攻撃を仕掛けます。
なお、魔法効果期間は1日です。
今日は、3万の軍勢を壊滅させるのが目的なので、皆さん、
その認識でいてください。」
「しかし、本当にそれで勝てるのでしょうか?」
騎士団長の1人が、信じられないのか、質問してきた。
「試せばわかります。
恐いことになりますよ。」
ルークのその言葉に、騎士団長は唾を飲みこむ。
「ルーク殿の言う通りにやってみようぜ。
今回は俺たちが前線に立てるんだ。
いっそ、ひと暴れしてやろうぜ!!」
オスティアはやる気まんまんだった。
「ルーク様は、どうされるのですか?」
「無論、前線で戦いますよ。」
ルークには、戦わないという選択肢はなかった。
「では、皆さま、これにて軍議はお終いです。
戦争を始めましょう。」
ルークの言葉に、皆がうなずく。
ルークらは、前線へと移動するのだった。
ルークは早速、魔法を解放することにした。
「“軍団魔法”!!!」
瞬間、2万の軍勢が薄い光に包まれる。
皆、自分の手足を確認するが、変化はない。
いや、変化はこれから確認するのだ。
ルークは、レーヴァテインを引き抜く。
ルークも準備万端だった。
既に結界術にて、全身を防御しているのだ。
一切の攻撃を受け付けない、無敵状態だった。
無論、魔装の鎧も忘れてはならない。
そして、剣を振り下ろして、叫んだ!!
「全軍、突撃!!!!」
瞬間、2万の軍勢が雄叫びをあげながら、3万の軍勢に突撃を仕掛けたのだ!
ルークも突撃を仕掛け、早速3人ほど首を撥ねて見せる。
2万の軍勢は、一気に押し始める。
だが、3万の敵軍も押し始め、互いに均衡しているように見えた。
だが、すぐさま、異変が生じ始めるのだった。