1-3 硬貨を生み出す。
気が付いたら、真夜中だった。
窓の外は真っ暗で、部屋の中も真っ暗なままだ。
「あ痛たた・・・
何が起きたんだっけ?」
記憶が混乱しているので、ゆっくり思い出す。
その前に、マッチを探し出し、ランプに火を灯す。
部屋が明るくなった時点で、机の上のものに気が付いたのだ。
「こ、これは・・・!?」
金貨が1枚置いてあった。
「夢じゃなかったんだ!?」
彼は歓喜した。
初めて魔法が使えたのだ。
これほど嬉しいことはない。
でも、何故、ぶっ倒れてしまったのだろうか。
もしかして、魔力切れ?
そう考えるのが正しいことだった。
ルークは考えた。
金貨1枚生み出すのに、大量の魔力を消費するのかと。
いや、これは「創造系魔法」に違いないと。
2つのことに気が付き、喜んでいいのやら、悲しんでいいのやらと複雑な表情になる。
「創造系魔法って、結構魔力を消費するものなんだな・・・
僕には金貨1枚生み出すのがやっとなのかな・・・?」
彼はまだ気が付いていなかった。
自身の魔力が、ロクにないことに。
結構な魔力が残っていれば、彼がぶっ倒れることはなかったのだから。
当然ながら、まだそのことを知らない、ルークであった。
翌日。
朝食を食べ終えた後、ルークは再び、手を握って見せる。
今日は実験だ。
まず、自分の魔力でどれだけ金貨を生み出せるか、調査することにしたのだ。
手の中に意識を集中し、金貨を思い浮かべる。
その途端、手の中に金貨らしい感触が伝わる。
と、同時に、ルークは体がふらつくのを感じた。
途端、またもやルークは椅子から床へ、ぶっ倒れるのだった。
数時間後、ルークは意識を取り戻した。
また、魔力切れが起きたのだ。
魔力切れにより、意識を飛ばされたとルークは考えた。
ルークは立ち上がると、手の中を見る。
何もなかった。
「あ、あれ!?」
慌てて、机の上を見るも、何もない。
今度は失敗か。
ルークは落ち込んだのだ。
椅子を元の位置に戻そうとして、初めてそこで気が付く。
金貨が5枚、床に転がっていたのだ。
どうやら倒れた時に、一緒に床に転がったのだ。
「5枚!?
すごい!?」
ルークは大喜びしたものの、急にふらっと倒れそうになる。
魔力切れを起こしているのだ、すぐに魔力が戻るわけがない。
彼は、金貨5枚を手に取ると、机の上に置く。
そして、昨日創った金貨1枚を加える。
合計6枚の金貨を創ったことになる。
椅子に座り、金貨を調べる。
国内で流通している金貨と全く同じデザインだった。
試しに噛んでみる。
硬い。
歯が痛くなった。
「本物だ!?
ホントに創造系魔法が使えるようになったんだ。」
ルークは大喜びだったが、倒れないように注意した。
机にしっかりへばりついていた。
元気そうに見えるが、実はふらふらしていたのだ。
ちょっとバランスを崩せば、あっという間に倒れるだろう。
ルークは、とりあえず倒れないように椅子にもたれかかる。
そして、日誌を取り出し、書き出す。
今回の成果を。
「金貨は最大5枚生み出せるっと。
・・・となると、他にも色々できるのかな?
これは、色々試してみないとわからないな・・・」
彼は、自身の心の中に湧き出すワクワク感を抑えられなかった。
初めて魔法らしい魔法が使えたのだ。
どこまでできるか、もっと知りたい。
彼の魔法への探求心は、ここから始まったのだった。




