3-2 神聖魔法の教本を読む。
翌日。
魔術書の一冊目はクリアした。
次に二冊目に挑戦しようかと思ったが、そこでふと思い出していた。
神聖魔法の教本があったことを。
果たして、神聖魔法が使えるのか、わからなかった。
そこで、こちらの教本を先に読んでみることにした。
教本は、魔術書に比べれば薄い。
ただ、一日はかかるだろうと思った。
開いてみたところ、こちらも字が細かいからだ。
もうちょっと、大き目の字で書いてよと抗議したくなる気持ちだった。
しかし、初心者向けとは思えないくらい、きっちりと書かれているようだ。
とりあえず、読んでみることにしたのだった。
夕方。
なんとか読み終えた。
そして、目が痛かった。
書いている内容は理解した。
後は実践だけだったが、大半は難しいと思われた。
書かれていた内容の大半は回復系だったのだ。
単純な怪我を回復するとかなら試せるが、毒を消すとか、マヒを直すといった類は試しようが無かったのだ。
とりあえず、回復魔法と、攻撃魔法を明日試してみようと思うのだった。
翌日。
まずは、回復魔法の確認だ。
ナイフを取り出すと、指を傷つけてみる。
痛みが発生し、指から血が流れ始める。
そこで、回復魔法を解放する。
「“癒し”!!!」
途端、血が止まる。
血をふき取ると、切り傷はなかったのだ。
「・・・使えた!?
神聖魔法も使えるんだ!?」
ルークはびっくりしていた。
神聖魔法のイメージは、基本教会の人間にしか使えないという認識だったからだ。
実は誰にでも使えるのだが、あまりそのこと自体、知られていなかった。
だから、神聖魔法を使うのは、教会関係者が圧倒的に多い。
よって、一般的に魔法使いは、神聖魔法を使うことはない。
だが、ここでルークは気付いていなかった。
攻撃魔法と回復魔法の両方を使いこなせるようになってしまったことに。
本人は知らず知らずのうちに、大魔導士へと一歩足を踏み入れていたのだ。
今はまだ、本人が気づいていなかったのだが、それはさておき。
ルークは他の確認できる回復魔法を試す。
といっても、残り1つのみだったので、使ってみる。
再び、指をナイフで切り、傷をつける。
そして、呪文を解放する!
「“回復”!!!」
指から流れていた血は止まる。
血をふき取ると、やはり傷はなかったのだ。
「よし、回復魔法はこれでOKだ。
うんうん、これで戦闘で傷ついても、回復できるぞ。」
ちなみに、この“回復”、初級の神聖魔法ではない。
なのに、何故かこの教本に載っていたのだ。
その理由は不明だが、この魔法は基本、何でも回復させるのだ。
ただし、死者は蘇生できない。
それ以外は、回復可能なのだ。
例えば、右腕を斬られて失った場合も、右腕が復活できるのだ。
それくらい上位に位置する回復魔法なのだ。
ルークはそのことを理解していたものの、誰かを傷つけてまで確認するつもりは一切ない。
だから、指を切った程度で確認するほかなかったのだ。
それでも、これで十分すぎるほどの術士となっていたのである。
どこまで呪文を覚えていくのか、それはルーク次第なのだが。
次に外に出る。
既に昼を回っていた。
今使える攻撃魔法も1つのみだった。
神聖魔法は、攻撃系の呪文が少ない。
そのため、魔導士からすると使い勝手が悪いのだ。
ルークはその辺は気にしていなかった。
両方使いこなせるようになれば、関係ないのだ。
かかしもどきに手のひらを向け、呪文を解き放つ。
「“光収束弾”!!!」
複数の光の弾丸が、かかしもどきにヒットする!!
かかしもどきが大きく揺れるが、壊れてはいないようだ。
「貫通するって書いてあったけど、鋼は貫通しないのかな?」
ルークは本に書かれてあった内容を思い出してみる。
教本を確認するが、細かくは書かれていない。
つまり、相手が剣士だった場合、剣で弾くことができるということだ。
念のため覚えておこう、ルークはそう思うのだった。
結果、神聖魔法は3つのみ確認できただけだが、使えることが確認できた。
ルークは神聖魔法が使えたことに、嬉しさを感じたのだった。
あとは、残り一冊の魔術書を読んで使いこなすだけだった。




