2-14 村に帰る。
「ルーク、渡すものがある。」
突然、ダーナスから呼び出され、ダーナスの執務室にルークは移動していた。
「コイツをお前にやる。
受け取ってくれ。」
小さな袋だ。
ルークは手に取った瞬間、貨幣であることが分かった。
袋を開き、中身を確認する。
数十枚の金貨が入っていた。
「これは、受け取れませんよ!」
ルークは慌てて返そうとするが、ダーナスが手で否定してきた。
「そいつは正当な報奨金だ。
実は、あの山賊のボスは賞金首だったんだよ。
俺たちでも手を焼いていた連中を、おまえは倒したんだよ。
たいしたもんだ。
だから、そいつは、お前のものだ。」
騎士団は基本、警察の役割も担っている。
だから、賞金首の情報ももちろんあるし、報奨金もきちんと用意されていたのだ。
ダーナスは、事前に担当者に掛け合い、賞金を受け取っていたのだ。
そしてその賞金を、ルークに渡したのである。
「ルーク、その賞金は受け取っておけ。
お前の活躍なくば、あの山賊は壊滅できなかったんだ。
そして、おまえは山賊のボスを倒した張本人だ。
その賞金を受け取る資格があるのは、おまえだよ、ルーク。」
カシスも後押しする。
ルークは困ったが、とりあえず受け取ることにした。
ここで断るのも難しいような気がしたからだ。
「ありがとうございます。
大切に使います。」
「適当に使え、そんな金。
大切にする必要はないぜ。」
ダーナスはにやりと笑みを浮かべる。
「それにしてもだ、魔法も使えて、剣技も一流。
山賊を壊滅に追い込んだとなりゃ、こりゃ、
更に騎士団に誘いたくもなるわな。」
「そうですね。
あれだけの度胸と、剣の技量に魔法を使えるという両刀使い。
なかなかいない逸材ですよ。」
ダーナスとカシスが、昨日の話を持ち出し始めていた。
そう、騎士団勧誘の件だ。
ルークが困った表情を浮かべると、ダーナスとカシスは笑い出す。
「おまえはすぐ顔に出るのだな。
わかってる、無理に誘うつもりはないよ。」
カシスは笑って答えるのだった。
昼前に、ルークはクーラクの街を発った。
村に到着するのは夜になるかもしれない。
だが、長居は無用だった。
今回は、ただ買い物するだけだったはずなのに、色々なことに巻き込まれた。
まさか山賊討伐することになるなんて思ってみなかったのだから。
そして、クーラク騎士団に知己を得た。
あと、ルーゼニア教会の方々にもだ。
次、また街に寄った際には、挨拶して回ろうと思うのだった。
夜、村に到着すると、まずは村長の家に寄った。
帰還を報告すると、ルドマンに夕食を誘われたのだ。
「何も食ってないんだろ?
うちで食ってけ。
で、何でこんなに帰宅が遅れたんだ?」
「あ、それはですね・・・」
ルークは事の次第をルドマンに話した。
ルドマンは、話を聞くうちに、顔色を変えていた。
「おいおい、山賊倒したのかよ!?
ルーク、おまえ、すげーことしてるんだな!?」
「凄いんでしょうか?
ただ、人助けしただけなんですけどね。」
「大したもんだ。
昔のおまえさんとえらい大違いだ。
何か、あったのか?」
何かあったかと言われると、あったと答えるしかない。
そう、一つの魔法との出会いだ。
それが彼の人生を大きく変えたことに変わりはない。
だが、ルークはあえてその話は伏せておいた。
この話は、正しく理解できる人に話すべきだ。
ルドマンさんは信用できるが、理解できないだろう。
そんなわけで、ごまかしたりぼかしたりしつつ、話すことにするのだった。
自宅に戻れたのは夜半すぎだった、
ルドマンに色々聞かれたため、戻るのが遅くなったのだ。
ランプに火を灯すと、早速日誌に、街で起きた出来事を記載する。
そして、得た能力のことも。
ルークはようやくゆっくり休めるのであった。




