2-11 神父救出作戦!
ルークは、騎士4名を連れて、カシスの元に戻っていた。
そして、作戦会議が行われていた。
「副隊長、敵の数が多いです。
正面から突っ込むのは愚策かと思います。
夜を待って、奇襲をかけますか?」
「そうだな・・・」
騎士達が相談している間、ルークは考える。
ここにいる6名の内、魔力を持っているのは、ルーク一人だった。
ルークにも、魔力が探知できるようになっていたのだ。
魔法を正しく認識できるようになった結果と、「探知能力の強化」の影響だった。
おそらく、魔法を使えるのもルークただ一人だ。
ここは、やはり自分の出番だ。
「作戦を思いついたのですが、いいですか?」
ルークは挙手した。
「ルークか、聞こう。」
カシスたちは静かにする。
「僕が正面から突っ込みます。
皆さんは神父様の捜索を優先してください。
恐らくですが、奥にあるあの大きなテントの中に、
神父様がいるかと思います。」
これは探索能力の結果だった。
山賊たちは、テントの中や外に関わらず、元気に動き回っていた。
なのに、あの大きなテントの中で一人だけ、全く動かない気配が一つだけあったのだ。
おそらく、それが神父なのだろうと、ルークは判断したのだ。
「おい、待てルーク。
正面から乗り込むのは危険だ。
やるなら、俺たち騎士が受け持つ。」
「そうじゃないんです。
僕が魔法を使って、大暴れします。
そうすることで、山賊たちの目が僕に向きます。
その間に、神父様を助け出し、後方から奇襲して欲しいんです。」
「!?
魔法が使えるのか!?」
「魔法」の言葉に、カシスは驚く。
「はい、初級ですが、魔法が使えます。
爆発する魔法を使いますので、
爆発音で注目を浴びることは間違いないでしょう。
それを使って大立ち回りしますので、その間に救出してほしいんです。」
「・・・わかった。
それが最良の策のようだな。
では、我ら5人は、敵の後方に回る。
1時間後、ルークが敵に攻撃をしかける。
爆発音を聞いたら、我らは、後方より神父様を救出。
救出が確認できたら、奇襲開始だ。
いいな?」
全員、コクリとうなずく。
「ルーク、すまんな、大役を押し付けてしまって。
だが、頼む。」
カシスの言葉に、ルークはうなずく。
「任せてください。」
ルークの言葉に、皆がうなずくのだった。
「おい、アイツ、誰だ?」
「あ?」
山賊の拠点の入り口の見張り達が、ルークの姿に気が付く。
ルークはゆっくりと、山賊の拠点入り口に近づいていた。
「おい、敵だ。
皆を呼べ!!」
見張りは大声で叫ぶ。
ほどなく、山賊が集まり始めるはずだ。
だが、もっと早く集めてもらう必要があるのだ。
ルークは右手に剣を抜き取ると、左手に炎の玉を出現させる。
そして、左手を掲げ、炎の玉を見張りめがけて投げたのだ!!
「“火炎球”!!!」
炎の玉は、見張りたちに炸裂し、大きな爆発音を巻き起こす!
この爆発音に気付いたのだろう、山賊たちがわらわらと集まってきたのだ。
だが、ルークは再び、魔法を唱えていた。
「“火炎球”!!!」
更に爆発音が轟く!
「敵襲だ、敵だぁっ!!」
大声で叫ぶ山賊ども。
ルークは、敵が更に集まるのを待っていたのだった。
「爆発音だ!
行くぞ!」
カシスら5名の騎士はすぐさま動き始める。
山賊のテントは、大きな騒ぎになっているようだ。
カシスらは、一直線に大きなテントに向かっていた。
そして、テント内に入った瞬間、剣を閃かせる。
見張りらしき男を問答無用で斬り捨てたのだ。
そして、倒れている人物に気が付いたのだ。
「神父様?」
その倒れている人物は、神父服を纏った人物だった。
ただ、気を失っているようだ。
「よし、2名は神父様を裏手に運びこむんだ。
安全なところまで運んだら、戻って来い。
それまで、残り3名で奇襲を行う、いいな。」
カシスの即断に、皆がうなずく。
そして、彼らはすばやく動き出す。
カシスは奇襲を行うべく、剣を抜き放つのだった。
ルークは、剣と魔法の両方で、大立ち回りを演じていた。
山賊の大半が、ルークの目前にいるのだ。
完全に囲まれた状態で、戦い抜いていたのだ。
一切の油断はない。
気を抜くことはなかった。
そして、一人ずつ確実に仕留めていったのだ。
敵が離れた瞬間、魔法をくらわせていた。
「“火炎矢”!!!」
複数の炎の矢は、山賊たちに突き刺さり、やけどを負わせる。
「あちちちぃ!!!」
“火炎球”は使えない。
自分を巻き込む危険性があったからだ。
だから、“火炎矢”で牽制していたのだ。
「あいつ、魔法使えるのか!!」
「さっきから使ってるだろ!
気を付けろ、こいつ剣も使いこなすぞ!」
「これだけの人数だ、そのうちへばるって。」
一部舐めている者もいるようだが、ルークの体力は未だ問題なかった。
確かに、カシスと戦ったことで疲れは少しあったが、今はその疲れを感じなかったのだ。
恐らく、緊張感と高揚感のせいかもしれない。
ともかく、今のルークは、万全の状態だったのだ。
一人で、山賊どもを斬り捨てる勢いだったのだ。
また一人斬り捨てた時、山賊たちがざわめきだす。
「おい、後ろからも敵だ!!」
「なんだとっ!?」
山賊たちが慌て始めたようだ。
どうやら、神父救出が成功したようだ。
騎士たちが奇襲を開始したのだろう。
これにより、山賊たちは、混乱しつつあった。
敵の数を測り損ねていたのが原因だったのだ。
そこでルークはカマをかける。
「おまえたちは、既に包囲されている!!
諦めて降伏するか、ここで殺されるか、どちらかを選ぶんだな!!」
この言葉に、山賊たちの大半が疑心暗鬼に晒される。
後ろから奇襲を受けた以上、ルークの言葉が嘘とは思えなかったからだ。
このままでは全滅するかもしれないと思ったのが、運の尽きだった。
山賊たちが慌てだしたのだ。
もう少しだ、もうひと押しで混乱するはずだ。
更に叫ぼうと思った矢先、大きな声が山賊どもを鎮める。
「おまえら、あっさり飲まれるんじゃねぇ。
こいつの言葉ははったりだ。
包囲されるほど、うちはやわじゃねぇんだよぉ!!」
「ボス!?」
その声の主は、山賊のボスだったのだ。




