2-8 お昼ごはんを食べる。②
「さて、ルーク。
おまえさんの腕前を見た上で、相談なのだが・・・
騎士団に入らないか?」
「えっ!?」
ルークは唐突な誘いに絶句する。
「腕前は問題なしだ。
お前なら即騎士になれる。
それに自信満々な性格でもなく、控えめな性格のようだ。
騎士としては、個人の性格も重要だ。
それに関しても問題ないと思っている。
まぁ、誘いに乗るか断るかは、おまえさん次第だが。」
ダーナスはあっさりと言い放つ。
さすが隊長だ。
短時間しか見ていないとか言っていた割に、きちんとルークを分析していたのだ。
「そうだな、隊長のおっしゃる通りかと。
ただ、更に訓練や修行を続ければ、俺より強くなる可能性が高くなるが・・・
それを鑑みても、ルークならば騎士になっても問題ないかと。」
カシスも賛成のようだ。
ルークは困った。
まさかのスカウトに、どうしたらいいのかわからないからだ。
魔法使いを目指していた少年が、まさか騎士にスカウトされるなんて思ってもみなかったからだ。
そんな困惑中のルークに、ダーナスが質問をする。
「で、ルーク、おまえさん、幾つなんだ?」
「え、えーと、15歳です。」
「はっ!?
15歳でその強さなのか!?」
カシスは驚きのあまり固まる。
「ほぇ、15歳でその強さかよ。
これじゃ、天才の類じゃねぇか。」
確かにそうかもしれない。
騎士候補生は、12歳からなることができる。
ただ、正式な騎士に叙勲されるには、いかに早くても17歳からだった。
やはり体が出来ていないのと、剣術を習得するのに、時間がかかるからだ。
だが、ルークは違った。
彼は、若干15歳にして、騎士並みの実力を持っているのだ。
騎士に推挙されてもおかしくなかったのだ。
「俺でも17歳で騎士に叙勲できたんですよ。
でも、17歳で今ほどの実力はありませんでした。
それと比較すると、ちょっと・・・」
カシスは困った顔をした。
当時の自分と、今のルークを比較したのだろう。
とてもかなわなかったに違いない。
「まぁ、俺も18歳に叙勲したからな、人のことは言えんが。
最年少記録更新もおもしろいかもしれん。」
ダーナスは笑って答える。
ルークはというと、困り果てている状態が続いていた。
ここで断ったら、二人はがっかりするんだろうなぁという思いがあった。
ルークは意外と他人に気を遣う性格だった。
だから、あまり他人をがっかりさせることが得意ではなかった。
かといって、騎士を目指すわけにはいかない。
自分が目指すのは、魔法使いなのだ。
その夢を忘れてはいけないのだ。
「あのぉ、騎士推薦の件ですが、お断りします。
ごめんなさい、僕には目指す目標があるんです。
だから・・・」
と言ったところで、ダーナスが笑いだす。
突然のことに、ルークは言葉を中断することになる。
「いやぁ、スマンスマン。
まぁ、断られても仕方ない。
すまんな、ルーク。
だが、お前の腕前は俺たちが欲しがるくらい凄いものだ。
それだけは覚えておいてくれ。」
「はい。」
「さぁ、飯を食おう。
すっかり冷めちまった。
すまんな。」
ダーナスはそう言うと、パンにかじりつくのだった。




