17-10 帰宅。
その日の夕方。
ルークは、ペゾス村に帰還していた。
とりあえず、村長宅へ向かうことにした。
村長は在宅していた。
ルドマンは、ルークに気が付くと、すぐに声をかける。
「おぉ、帰ったか。
で、会ったのか?」
「はい、会いました。」
「・・・それで、実家に戻る気になったのか?」
「それはありません。
僕は死んだことになっています。
今更、家に戻るつもりはありませんよ。」
「・・・そうか。」
ここで、実家に関する話は、打ち切られることになった。
ルドマンとしても、ルークが決めたことに反論や反発するつもりは一切無い。
ルークの意思を尊重するつもりであったのだ。
無論、ルークは、実家に戻るつもりは一切無い。
よって、実家の話は、ここまでとなるのであった。
夜。
ルークは自宅に戻り、ランプに火を灯す。
日誌を手に取り、ここ数日起きたことを日誌につける。
まさか、実の母親に会うとは思わなかった。
母は、ルークを見て、喜んでいたかもしれない。
ルークは、母親に対する恨みや憎しみは、一切無かった。
逆に、生かしてくれたことに感謝していた。
母とネミアが行動しなければ、今は亡き父親に殺されていたのかもしれないのだから。
今回、再会できただけでも、良かったかもしれないと思うのだった。
そして、今回の事件で、実の兄を逮捕した。
赦しがたい行為を行っていたのだ、逮捕されて当然であった。
そんな兄は、王都での絞首刑が確定した。
もはや、生きて会うこともないだろう。
最後まで、兄弟であることを名乗ることはなかった。
いや、名乗る必要はない。
今の自分は、フェイブレイン公爵家の人間ではないのだから。
それから、フェインブレイン公爵家の今後について、ルークは一切関心が無かった。
自分が、既に死んだことになっているからだ。
メイリアには申し訳ない話であるが、家が取り潰しになろうとも、ルークは一切関知しない。
ルークにとって、フェインブレイン家とは、一切関係ないという立場であったのだから。
ルークは、日誌を纏めると、日誌を閉じ、本棚に戻す。
そして、ベッドに潜り、眠りにつくのであった。




