表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創造系魔法使いのスローライフ!?  作者: 稀硫紫稀
第16章 大司教の依頼を受けることになりました。
192/526

16-8 暗雲。

ルークとニコラウスは、講堂を出ると、3階の執務室に移動していた。

2人はソファに座ると、落ち着いて話を開始する。


「なんか、すいません。

 怒ってしまって。」


ルークは反省していた。

勢いとはいえ、講義とは関係ない事を言ってしまったからだ。


「お気になさらずに。

 今回は、いい薬になったことでしょう。

 皆、気持ちが切り替わることでしょう。」


「そうですか?」


「えぇ、私は、そう信じていますよ。」


ニコラウスは笑顔のままだ。


「ルーク様の言葉が、身に染みていると思いますよ。

 ルーク様は、正しいことを彼らに伝えてくださりました。

 だから、私は感謝しているのです。」


「そうでしょうか?

 僕は、当たり前のことを話しただけで。」


「その当たり前が大事なのですよ。」


ニコラウスは、ルークに感謝していた。

ルークの言葉は間違いなく、皆に理解されている。

そして、彼らの心にいくばくかの変化が生まれることを願っていたのだ。

司祭としての心構えが。

もし、彼らが優秀に育てば、それはルークのおかげということになるだろう。


「本日は、誠にありがとうございました、ルーク様。

 また、よろしければ、講義して頂けますか?」


「はぁ、その、魔法の講義であれば、いつでも。」


ルークは、頬をかきながら、了承するのだった。



ルークが去った後、数人の司祭がニコラウスの元を訪れていた。


「どうしました?」


ニコラウスの問いに、皆困っていたが、一人が告げる。


「私は、どうかしていました。

 ルーク様の言葉を聞いて、自分の役割を思い出したような気がします。

 その、ルーク様に謝りたいと思ってきたのですが・・・」


「ルーク様は、ご用事のため、既にここを()ちました。

 ですが、ルーク様は許してくださると思いますよ。」


「そうでしょうか、ニコラウス様。

 かなりお怒りでしたから、我々を許して頂けないかと・・・」


「そんなことはありませんよ。」


ニコラウスは強い口調で言うと、言葉を続ける。


「ルーク様は、君たちに期待しているのです。

 ですから、あのようなことをおっしゃったのです。

 だから、自分を責める必要はありません。

 ルーク様の言葉を胸に刻みなさい。

 そして、自分の役割を全うするのです。」


ニコラウスの言葉に皆うなずく。

ニコラウスはそれを確認すると、笑顔になるのだった。



ルークは、大教会を離れると、まっすぐ王城に向かっていた。

とりあえず、クリシュナへ報告のみ済ませて、帰るつもりだったのだ。

時刻はすでに夕方になろうとしていた。

その時だった。


「ルーク様、聞こえてますか?」


レヴィの“思念連結(コネクト)”での連絡だった。


「はい、聞こえています。

 どうかしましたか?」


「今すぐに、王城に来られますか?

 殿下がお話しがあると。」


何かあったのだろうか?


「了解しました。

 既に向かってますので、お待ちください。」


「了解しました。」


思念連結(コネクト)”が切れると、少し速足で歩き始める。

何か、妙なことが起きていないといいのだが。



王城に到着すると、すぐにクリシュナの執務室に通された。

部屋には、クリシュナ、ベルガー、レヴィが既に待っていた。

ルークが着席すると、話が始まる。


「ルーク済まないな。

 ついさっき情報が入った。

 ミーディアス王国が戦争の準備をしているとのことだ。

 ミーディアス王国の王都には兵が集まりつつあるそうだ。

 当然、こちらに戦争の話は一切無い。

 つまり、条件なしの戦争を仕掛けてくる可能性が高い。」


「となると、本当に戦争が開始される可能性が濃くなったということですね?」


「ああ、そうだ。

 前線となる貴族たちにも通達を入れる予定だ。

 こちらもすぐに軍備を整える必要がある。

 ルーク、済まないが、レヴィとすぐに連絡が取れるようにしてくれ。

 それと、一つ気になる情報を入手した。」


クリシュナは少し苦い顔をしていた。


「どうかされましたか、殿下?」


ベルガ―が気になったのか、問いかける。


「あぁ、かなり厄介な情報なんだが、

 “西の砦”たるフェイブレイン公爵が、どうもキナ臭いらしい。

 レヴィの配下が内偵中なのだが、そんな情報を入手してきたのだ。

 裏切りの可能性もあってな、ミーディアス王国と同調する可能性もある。

 それに、最近、あの公爵はおかしいのだ。

 レヴィ、報告を頼む。」


レヴィはうなずくと、報告を行う。


「はい、内偵の情報によると、最近、公爵家の領内にて、

 行方不明事件が多発しているとのことです。

 その事件を起こしているのは、公爵本人ではないかと目下噂になっております。

 公爵には良くない噂が目立っています。

 最近ですと、不手際を起こしたメイドを斬り捨てたという話も

 挙がっております。」


どうやら、フェイブレイン公爵家は問題ありのようだ。


「レヴィ、それが事実であれば、一大事だ。

 公爵家取り潰しにもつながる案件だ。

 よって、レヴィ、君にも出向いてもらいたい。

 そして、ルーク。」


「はい。」


「君にも手伝ってもらいたい。

 君の力は、犯人を看破できるのだろう?

 それに、君の権限も最大限に利用できるはずだ。

 まずは、行方不明事件について、調査してほしい。

 できればすぐに()ってほしいところだが、準備も必要だ。

 レヴィの準備が整い次第、一緒に向かってくれ。

 場所は、レヴィが知っている。

 レヴィの“瞬間移動(テレポート)”で移動できる。」


ルークは、うなずく。


「わかりました。

 レヴィさん、連絡お願いします。」


「承知しましたわ、ルーク様。」


「済まないが、この件は二人に任せる。

 さて、私とベルガーは、戦争の準備を進める。

 そして、情報収集を引き続き行う。

 皇帝陛下にも情報は伝える。

 頼むぞ。」


クリシュナの言葉に、皆うなずく。

事態は、大きく変化しようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ