15-11 魔導士試験。
翌日は、一旦お休みということにした。
フェイドも疲れていたので、ゆっくり休むことにしたのだ。
そして、その次の日。
フェイドは、魔術学院の制服姿で現れた。
一応、都市ラークネス内にある魔術学院に通っていたのだが、授業はサボりがちだったのだ。
普段着ていない制服のせいか、違和感があった。
ルークは準備が整ったと判断すると、声をかける。
「じゃ、行きましょうか?」
「おう!」
ルークの言葉に、フェイドはうなずく。
今日はいよいよ魔導士試験を受ける日なのだ。
「お兄様、無茶はしないように!」
リリアーナはしっかり釘をさす。
「わかってるって。」
フェイドは、あれ以来、リリア―ナに苦手意識を植え付けられたようだ。
少しビビっていたのである。
「じゃ、行ってきます。」
「行ってくるぜ。」
ルークとフェイドは王都に向け、出発するのだった。
王都に到着後、まっすぐに魔導士協会に向かう。
魔導士協会到着後、フェイド一人に受付に向かわせる。
ルークはというと、フェイドが会議室に行くまで、のんびりと待った。
やがて、担当の魔導士に連れられ、フェイドが姿を消すと、受付に行く。
「すいません、ルードベルゼンさん、いらっしゃいますか?」
「は、はい、お待ちください。」
毎回思うのだが、受付の女性は、なぜにそこまで緊張されるのだろうか?
やはり、この制服に、畏怖の感情があるのだろうか?
答えはわからないのだが・・・
やがて、ルードベルゼンが急いで現れた。
「閣下、どうされましたかな?」
「いえ、実は今回、魔導士試験を受けるフェイド殿の実地試験を
見学したいのですが、よろしいでしょうか?」
「無論ですとも。
椅子も用意させましょう。
では、こちらへどうぞ。」
というわけで、前回同様、実地試験会場へと案内されるのだった。
椅子に座ってしばし待っていると、フェイドがやってきた。
「なに休んでるんだ?」
「することがないんだよ。
実地試験、がんばって!」
「おう、任せろ!」
どうやら、気合十分のようだ。
やがて、ルードベルゼン以下、審査官が現れ、いつものやり取りが行われる。
そして、フェイドは結界の中に入る。
「では、まず一つ目の魔法を使ってください。」
フェイドが魔法を唱える前に、ルークはおまけでかかしもどきを出現させる。
フェイドはそのことに気が付いたのか、片腕を上げる。
どうやら、感謝の意らしい。
そして、呪文を唱え、解放する!
「“極大炎熱波動”!!!」
巨大な火球が出現し、かかしもどきにヒットするや、大爆発を巻き起こす!
周囲は火の海と化し、燃え盛る。
「うむ、問題ない。」
ルードベルゼンがうなずくと、火が消える。
「では、二つ目の魔法を使ってください。」
フェイドは深呼吸すると、魔法を唱える。
無論、ルークはかかしもどきを忘れない。
そして、魔法が解放される!
「“煉獄地獄”!!!」
結界内が火炎地獄と化し、炎が燃え盛る!
「うむ、問題ない。」
ルードベルゼンがうなずくと、火が消える。
さあ、いよいよ三つ目の魔法だ。
「では、三つ目の魔法を使ってください。」
ルークは、かかしもどきを先に出現させる。
フェイドは、魔法を唱え、解き放つ!
「“極大爆裂波動”!!!」
かかしもどきを中心に大爆発が巻き起こる!
かかしもどきは跡形もなくなっていた。
「うむ、問題ない。」
これにて、試験は完了だった。
「ルーク様、一つ頼みがある!」
結界から出てきたフェイドが突然、そんなことを言い出したのだ。
嫌な予感しかしない。
「四つ目と五つ目の魔法を見せてくれ!
究極の魔法ってのを見せてくれ。」
ルードベルゼンは、これをしっかり聞いていた。
「閣下、いつでも使って頂いて結構ですぞ。」
どうやら、ルードベルゼンもまた見たいらしい。
ルークは頭の痛い思いだったが、仕方ない。
「わかりましたよ。
やりますよ。」
そう言って、ルークは立ち上がるのだった。
究極の魔法2つ使った後、ルークは結界を出た。
ものの見事に、全員固まっていた。
フェイドですら、固まっていたのだ。
毎度こうなるんだから、どうしたものやら。
ルークは困るのみだった。