2-6 魔術書を購入する。
翌日。
宿屋をチェックアウトすると、本屋に向かう。
本屋の場所はよく知っている。
何度も来たことがあるからだ。
本屋にたどり着くと、中に入る。
相変わらずのかび臭さに、懐かしさを思い出す。
この本屋は、主に魔術書や歴史書を専門に置いている店である。
だから、初心者から中級者向けの魔術書が置いてあった。
上級者向けは置いていない。
正確には上級者向けは高価すぎて、王都でないと手に入らないのだ。
そんなわけで、ルークの目的は、中級者向けの魔術書の入手である。
出来るだけ、精霊魔法に属する魔術書を入手するのが目的だ。
そのためには、いちいち中身をチェックする必要があるのだ。
店員に聞けば早いように思うが、店員も中身まで確認していないのだ。
店員は魔法使いではないので、本の内容に興味がないのだ。
だから、結果的に、自分で本の中身を確認しないといけないのだった。
パラパラめくって、中身を軽く読んで、閉じて次の本に・・・という具合で、ルークは本を調べまくっていた。
今の彼には、「学習能力の強化」がある。
軽く読んだだけで、自分の欲しい本かどうかすぐに判断できるのである。
ただ、本屋の本をすべてチェックするのは、かなりの労力が必要だ。
以前のルークの体力であれば、途中で断念していただろう。
現在のルークは、筋肉がある。
だから、多少の疲れでへこたれることはなかった。
ただ、量が量である。
時間がかかるのは致し方ないのであった。
目当ての本が1冊目、すぐに見つかった。
それはよかったのだが、2冊目がなかなか見つからない。
「うーん・・・これも違う。」
本を本棚に戻し、次の本を手に取る。
ルークは作業自体、苦ではなかった。
ただ、なかなか見つからないことにやきもきしていたのだ。
投げ出したくなるようだが、ここで諦めるわけにはいかないのだ。
そんなわけで、黙々と作業を繰り返すのだった。
興味深い書籍が見つかった。
神聖魔法の教書だ。
初心者向けであり、主に載っている魔法は、回復魔法だ。
果たして、回復魔法も使えるようになるのだろうか?
神聖魔法の類は全然詳しくはない。
だから、興味を抱いた。
そして、ちょっと試してみたくなった。
「よし、これも購入しよう。」
ルークは即断で、購入を決めるのだった。
日が傾きかけた頃に、ようやく2冊目の魔術書を発見する。
とりあえず、時間も時間なので、この3冊にしようとルークは決めた。
書籍3冊をもって会計を済ませる。
金貨30枚と高価だった。
1冊金貨10枚は、普通に高い代物だ。
ルークは金貨30枚を支払い、店を出た。
大きな袋に3冊の魔術書を放り込むと、大衆食堂に向かう。
今日もこの街に泊まることになった。
だが、目的の書物が手に入ったのだ。
ルークの心はほくほくであった。