15-9 フェイドの上級魔法の取得。(その三)
翌日。
フェイドは疲れていたが、修行を続けていた。
ルークもフェイドの疲れに気が付いていたが、フェイドのやらせたいようにさせていた。
今の彼ならば、三つ目の魔法も習得できるだろう。
ならば、そのために努力する勢いを、ここで止めないようにしないと。
ルークは、フェイドのサポートに徹するのだった。
夕方。
「お兄様の状況はどうでしょうか?」
リリアーナはいつものように質問してきた。
「そうですね、少し疲れていますが、相変わらず、
集中を切らさずに修行していますね。
おそらく、2~3日の内に、
三つ目の魔法もマスターできるのではないかと思います。
心配ですか?」
ルークの質問に、リリアーナはコクリとうなずく。
「大丈夫ですよ。
僕がサポートしてますし。
何かあれば、僕がすぐに対応しますから、安心してください。」
そう言って、リリアーナの頭を撫でてあげる。
リリアーナは、このルークの行為に、安心感を得るのだ。
それに、ルークは嘘をつかない。
何かあれば、必ず助けてくれると信じているのだ。
だから、不安な時、ルークの言葉が欲しくなるのだ。
ルークの言葉は、まるで安心を与えてくれる薬のようなものだった。
だから、ルークと会話している間、リリアーナは安心していた。
これは既に、リリアーナはルークに恋している状況だった。
伯爵の狙い通りなのだろうが、リリアーナ自身はルークとの結婚を強く望むようになっていた。
これは、揺るがぬ事実である。
そして、当の本人であるルークは、そのことにまだ気づいていなかったのだった。
翌々日。
フェイドは、三つ目の魔法を見事に制御してみせていた。
ようやく、上級魔法3つを使いこなすことに成功したのだ。
「よし、明日は四つ目だ。」
フェイドの言葉に、ルークが反対する。
「それは却下です!
今のフェイドでは魔力が足りないのです。
つまり、魔法が発動しない可能性が高いんですよ。
それに四つ目は、今までの魔法とは異なり、異常なほど難易度が高いんです。
下手をすると、魔力暴走する可能性があるんですよ。」
「そうなのか?
3ついけたんだ、四つ目もいけるんじゃないのか?」
「四つ目と五つ目は難易度の桁が違うんです。
勉強の時も説明したけど、安易に扱える魔法ではないんです。
そこは認識しておいてください。
暴走なんてしてしまえば、洒落にならないんです。
ということで、却下です。」
「ちぇっ・・・」
フェイドが諦めたので、今日はここまでだ。
ようやく、三つ目の魔法も制御できるようになった。
後は、魔導士試験を受けるのみだった。