15-2 魔剣を使いこなす。
翌日。
昨日は、夜までレーヴァテインと話し込んでしまったので、今日実践を行うことにした。
腰にレーヴァテインを差し、家から離れた場所に移動していた。
まずは、結界の準備を行い、かかしもどきを出現させる。
『なるほど、この結界であれば、周囲に迷惑もかからないでしょう。』
「とりあえず、魔法の練習をしていた時の実績があるからね。
この環境下ならば、思いっきりできるよ。」
ルークは早速、レーヴァテインを引き抜く。
そして、構える。
まずは、魔力を流す。
途端、真紅の剣がさらに輝きを増し、自然と炎が出現する。
ほんの少しの魔力で、炎が出現したのだ。
その状態で、かかしもどきを斬り捨てる!
途端、かかしもどきが焼失したのだ!
かなりの威力だ。
人間を手加減して斬る際は、魔力を流さないほうがいいだろう。
「ちなみに、手加減はできそう?」
念のため、聞いてみる。
『無論、可能です。
魔力を流さず、剣を軽く当てる程度であれば可能でしょう。
ただ、マスターの膂力はかなり強いほうです。
相手によっては、加減が難しいかもしれません。』
なるほど、膂力も関係しているのか。
「ありがとう。
なるほどね、膂力か。
難しいけど、頑張ってみよ。」
ルークはうなずくのであった。
ルークは、かかしもどきを複数用意する。
「次は、火系統の上級魔法を纏わせる。
無詠唱だけど、いけるかい?」
『問題ありません。
いつでもどうぞ。』
ルークは、火系統の上級魔法を、無詠唱でレーヴァテインに解放する!
途端、強力な炎が巻き起こり、レーヴァテインにまとわりつく!
そして、横薙ぎに一閃させる。
すると、すべてのかかしもどきが斬り裂かれた後、焼失したのだ!
かなりの威力だ。
「これは、かなりの威力だな・・・
使いどころが難しいなぁ・・・
封印かな?」
『そうですね、上級魔法を纏った以上、威力は強力になります。
使いどころは難しいですが、例えば、戦争で先制する際には十分使えます。』
なるほど、戦争ならば、使えるというわけか。
だが、そうそう戦争は起きないのだ。
ということで、戦争が起きた時に使うことにした。
次に、他系統の魔法との組み合わせだ。
まずは、水系統。
剣に水系統の魔法を解放した途端、水と炎の組み合わせが出来上がったのだ。
本来、二つの相性は悪い。
だから、相殺して威力を消し合うのではないかと予想していたのだが、まさかの組み合わせができたのだ。
水炎剣と呼ぶべきか。
その状態でかかしもどきを斬り裂くと、凍り付いて焼失したのだ。
どうやら、双方の効果があるようだ。
次に、風系統を試す。
剣に風が逆巻き、その上に炎も同時にまとって見せたのだ。
かかしもどきを斬ってみると、粉々に斬り裂かれるや、焼失したのだった。
こちらも、水系統と同様の威力だった。
次に、土系統。
これは、少々違った。
まず、土が剣にまとわりつくのではなく、剣が巨大なものに変化したのだ。
無論、炎を纏っている。
どうやら土属性の特徴である広範囲化の影響によるものだった。
土属性の魔法は、そのほとんどが広範囲攻撃だ。
そのため、広範囲に攻撃すべく、土が剣の一部となって硬化し、剣そのものになったのだ。
意味がわからなかった。
「うーん、これはこれで凄いけど、なんか違うような気も・・・」
ともかく、広範囲攻撃には持って来いのようだ。
覚えておこう。
次に、光属性の魔法だ。
これは、剣が光り輝きながら、炎を纏う状態となった。
かかしもどきを斬り裂くと、焼失したのだ。
いや、消失したのか?
どっちかよくわからないが、威力は絶大だった。
次に無属性の魔法。
これは、何も変わらなかった。
剣は炎を纏っているのみである。
ただ、斬ってみてわかった。
明らかに、対象を消失させたのだ。
これはこれで怖いかもしれない。
神聖魔法も試してみようとしたが、どうもうまくいかなかった。
どうやら、魔法陣をうまく剣に適用できないようだ。
とりあえず、これで一通り試したのだが、威力は大きくなるのはわかった。
そして、使いどころが難しいのもわかった。
安易に使えるものではないのだ。
「これは、あまり使わないものばかりだったね。」
『そうかもしれませんね。』
レーヴァテインも同意していた。
夕方になったので、この辺でお開きとなる予定だったが、レーヴァテインが一つ提案してきた。
『私を結界内に置いて外に出てください。
マスターは結界外に出た後、私を呼んでみてください。』
そう言われたので、レーヴァテインを結界内に置いた。
そして、ルークは結界外に出た。
これでOKかな?
「レーヴァテイン、来い!」
ルークが叫んだ瞬間、ルークの手元に、レーヴァテインが出現したのだ!
これには、ルークは驚いた。
『やはりできたようです。
“瞬間移動”が適用できたので、試してみたのですが、うまくいったようです。
これで、私が奪われた場合でも、呼び出すことが可能となります。』
なるほど。
だが、これはかなり便利だ。
何かあれば、すぐに呼び出せるのは利点が大きい。
これにて、実践検証は終了となった。
ルークは結果内容を日誌に書き起こすのだった。