14-10 帰宅と想定外の事実。
その日の昼、ルークは村に帰還した。
特に今回は疲れたかもしれない。
まさかの暗殺劇に、驚かざるをえなかった。
更に、戦争の可能性ときたものだ。
国家を揺るがす事態が発生しつつあるのだ。
そして、頂いたこの魔剣。
今や、二つの魔剣を手に入れたのである。
これをどう扱えばいいものやら、迷うところである。
それはさておき。
ルークは村長の家に寄ったものの、また不在だった。
畑も覗いてみたが、やはりいない。
どこへ行ったのだろうか?
見つからないものはしょうがない。
ルークは諦めると、自宅へと移動するのであった。
自宅に戻ると、まずは日誌をつける。
ともかく、大変なことが起きてばかりだった。
暗殺劇の仔細を、日誌に書き留めるのだ。
そして、皇帝陛下が無事蘇生したことも書き添えておく。
それから、褒美として真紅の剣を頂いたことも、記載したのだ。
日誌を書き終わると、レーヴァテインを抜いてみる。
真紅の鮮やかな剣だ。
レッド・セイバーとは異なる赤だった。
「これから、よろしくな。
レーヴァテイン。」
ルークが、そう語り掛けた瞬間であった。
『はい、こちらこそ、よろしくお願いします、マスター。』
へっ!?
ルークは固まった。
「今、喋った!?」
『はい、私は意思を持っています。
よって、マスターとのみ会話が可能です。』
聞いたことがなかった。
いや、陛下から何も説明が無かったのだ。
これは、想定外だった。
「えっと、明日、色々質問してもいい?」
『はい、何なりと。』
こうして、ルークは、意思を持つ魔剣「レーヴァテイン」を手に入れたことに気が付くのであった。