14-3 王都へ。
翌々日。
ルークは王都へ向かって移動していた。
目的は、御前試合の護衛役である。
そのため、きちんと魔法騎士の制服を纏っていた。
バッジも忘れずに、右胸に2つつけている。
マントは暑いので、着てこなかった。
無くても問題ないだろう、と判断したのである。
巨大な門を抜けると、まっすぐ王城に向かって歩き出す。
王城が近くなると、今度は王城裏手にある近衛師団の訓練場へと移動した。
やがて到着すると、訓練場には、騎士たちが集まっていた。
今回は、皇帝陛下主催の御前試合であるが、貴族の姿は一切ない。
これは皇帝陛下の計らいであった。
皇帝陛下は、騎士たちを見世物にするつもりは、一切なかった。
だから、貴族を一切呼ばないのだ。
なぜならば、騎士たちがどの程度の力量なのか、推し量るための試合であったからだ。
良い騎士がいれば、その騎士団は良い成長を遂げていると判断できる。
逆に、悪い騎士がいれば、その騎士団の評価が下がるだけだ。
皇帝の目的は、あくまで騎士団の状態確認であったのだ。
よって、強かろうが弱かろうが、実力は関係なかったのだ。
騎士団の良し悪しを確認するためだったのだ。
そういう理由があるため、貴族は一切呼ばれることがないのだ。
貴族たちもまた、御前試合が予定されていることを知る者は、ほとんどいないのだが。
さて、肝心の皇帝陛下の姿はなかった。
皇帝専用の豪華な椅子が用意されていたが、誰もいない。
ちなみに、クリシュナ、ベルガ―、レヴィといった主要メンバーの姿もなかった。
ルークは仕方ないので、知っている騎士がいないか、探してみることにした。
騎士の数はおよそ50名。
決して多くはないが、半数程度の騎士団から出席したと見て取ってよい。
ルーニア皇国には、騎士団が約100存在する。
無論、古参の騎士団から、新規の騎士団までそれぞれである。
不参加を決め込んだ騎士団は、おそらく腕の立つ騎士がいなかったのだろう。
場合によっては、騎士団長が強い騎士団もいる。
今回は、騎士団長の参加は認められていないのだ。
よって、参加しないケースもあるのだ。
ルークは、ちょっと小高い位置から、騎士達を眺める。
すると、知っている人物が、2名いた。
クーラク騎士団のカシス副隊長と、ラークネス騎士団のレオン隊長だ。
2人は、並んで何かを語らっているようだ。
ルークには気が付いていないようだ。
どうやら、2人とも参加することになったようだ。
2人とも実力に申し分はない。
今回、いい試合を見せてくれることだろう。
その時だった。
1人の騎士が暴れ出したのだ!