13-10 帰宅。
その日の昼に、ルークは村に帰還した。
まさかのミレーナの宣言には困り果てるしかなかったが、あれは本気だった。
だったら、真剣に考えてあげないと失礼だと思った。
「だけど、三人から好かれるって、どうすればいいんだ・・・」
ルークは恋愛に関しては素人なのだ。
答えが分からない以上、悩むことしかできなかったのだった。
とりあえず、まずは村長に帰宅報告だ。
村長宅を訪れると、ルドマンが在宅していたのだ。
ルドマンの表情が冴えないのは、気のせいだろうか?
「村長、今戻りました。
どうかしたんですか?」
「ルーク、お前大変だぞ。」
「えっ?」
意味がわからず、ルークは問う。
「何が大変なんですか?」
「おまえの実家が、おまえを探しているそうだ。
親戚からの情報だが、間違いあるまい。」
「実家が僕を探してる?」
「あぁ、注意しろよ。
何してくるかわからんぞ、あの家は。」
「あの、僕の実家って・・・?」
「知らんのか?」
「知りませんよ、前にも言った気がしますか。」
「ワシも知らん。
親戚の連中は、そこまで教えてくれんからな。」
「はぁ・・・」
どうやら、ルドマンも実家のことは知らないようだ。
念のため、“思考読破”で探ってみたが、本当に知らなかった。
ともかく、ルークの実家が動いているらしい。
何のために動いているのか、不明だが。
危険が伴うのであれば、権限を行使してでも成敗する必要がある。
だが、何をしてくるのか、わからない以上、こちらから手は出せない。
そして、自分の実家とはどこの貴族のことなのか、さっぱりなのだ。
とりあえず、問題が増えたことだけはわかったのだった。
帰宅すると、早速日誌をつける。
問題が増えた。
婚約騒動に、実家の不穏な動き。
ルークは、何か大変なことが巻き起こるような予感を覚えるのだった。