13-9 ミレーナの覚悟。②
ミレーナは部屋に逃げ帰ると、ベッドにうつぶせになる。
「うぅぅ、恥ずかしい・・・」
だが、彼女は気が付いたことがある。
ルークの顔を見ると、顔が熱くなり、赤くなるのだ。
前はこんなことはなかった。
レイヴンとサーシャの結婚式の時、ダンスに誘われた後からおかしくなっていた。
もしかして・・・
一つの答えにたどり着き、ミレーナは困惑した。
いや、間違いないだろう。
これは、明らかに、恋であった。
しかも、ルークへの恋だった。
認めざるを得なかった。
じゃ、どうするのか?
このまま逃げていていいのか?
兄にからかわれ続けていていいのか?
彼女は一晩かけて考えることにしたのだった。
そして、結論を出すのだ。
翌日、朝。
ルークはレイヴンたちと一緒に食事を摂ることになった。
ところが、ミレーナがなかなか来なかったのだ。
「何をしているんだ、ミレーナは?
ポール、すまないが呼んできてもらえるか。」
レイヴンはポールに依頼した。
ポールが食堂から出ようとした時、ミレーナが入ってきたのだ。
すぐに、自分の席に着くと、深呼吸する。
そして、大きな声で話し始めた。
それは覚悟のこもった声だった。
「レイヴン兄さん、サーシャ姉さま、ルーク、私はここに宣言します!
私はルークの嫁になることを宣言します!!
だから、ルーク・・・」
ミレーナは、しっかりとルークを見る。
もちろん、その顔は真っ赤だった。
「だから、ルーク、覚悟しておきなさいよ!」
ルークは固まるしかなかった。
数秒の間、静寂が続いた後、レイヴンが笑い出す。
「はっはっは、これはいい。
まさかの結婚宣言か。
これは傑作だ。」
レイヴンは、楽しそうな表情を浮かべる。
サーシャも楽しそうで、笑顔のままだ。
ミレーナは、宣言が終わると、顔を真っ赤にしたまま、うつむく。
ミレーナは一晩考えたのだ、
このまま、レイヴンにからかわれるくらいなら、自分から宣言したほうがいい。
ルークが好きなら、嫁になってしまえばいい、と。
自分で逃げ道を塞いだのだ。
これが、彼女の覚悟だった。
「さて、ルーク。
ミレーナを嫁にもらうことは確定したな。
逃げるなよ、最強の騎士であり、最強の魔導士よ。
逃げたら、最強の名折れだぞ。」
レイヴンは皮肉も込めて言葉にする。
ルークは、もう、本当に困るしかなかったのだった。