表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創造系魔法使いのスローライフ!?  作者: 稀硫紫稀
第13章 四系統の魔法をマスターしました。
156/526

13-7 “大魔道士”と無属性の魔法。

2人が応接室へ行くと、既に皇帝陛下は在席していた。

その隣には、クリシュナもいたのである。

そして、クリシュナの背後に、レヴィが控えていた。

ルークは、応接室に入ると、頭を下げ、挨拶をする。


「皇帝陛下、クリシュナ殿下、お久しぶりです。」


「うむ、ルーク、ルードベルゼン、よく来た。

 さあ、座るといい。」


陛下に勧められ、ソファに2人とも座る。


「さて、2人が来たということは、良い知らせなのだろうな?」


どうやら陛下は見抜いているようだ。

少し笑っていたのだ。


「まずは、ルードベルゼン殿より、ご説明させていただきます。」


ルークはそう告げると、ルードベルゼンに話を促す。

ルードベルゼンはうなずくと、言葉を紡ぐ。


「陛下、本日、ルーク様が土系統の魔導士試験を合格されました。

 この結果をもちまして、ルーク様は四系統の魔法を

 マスターされたことになります。

 そして、四系統の究極の魔法すらも扱って見せたのです。

 史上初の快挙でございます。

 そのことをご報告に参りました。」


陛下はにやりと笑みを浮かべると、ルークを見る。


「とうとうやりおったか。

 さすが、最強の騎士にして、魔導の天才よ。

 大儀である。」


「ありがとうございます。」


ルークは頭を下げる。

陛下は上機嫌だった。


「クリシュナよ、汝はどう見る?」


クリシュナはまだルークを取られたことが悔しいのか、不機嫌そうだった。

だが、きちんと答える。


「はい、見事というべきでしょう。

 しかも我が国史上初の魔導士というべきでしょう。

 彼に匹敵する魔導士は存在しないでしょう。」


「うむ、その通りだな。

 だからこそ、ルーク、貴殿に“大魔道士”の称号を与えよう。」


「おおっ・・・」


ルードベルゼンは感激していた。

ここに、この国初の“大魔道士”が誕生したのである。

最強の魔導士の誕生の瞬間であった。


「ありがとうございます、陛下。」


ルークは再び、頭を下げる。

ちなみに、レヴィは、ずっとルークを見ていた。

この方は、見事に成し遂げたのだ。

最強の騎士であり、最強の魔導士となったのだ。

これは、尊敬というレベルでは済まされない。

崇拝に近いものかもしれない。

とにかく、騎士にとっても、魔導士にとっても、憧れの存在となったのだ。


「さて、ルークよ。

 貴殿は既に我が騎士だ。

 “大魔道士”となったとしても、そこに変わりはない。

 ただ、受け取って欲しいものがある。

 ここへ持ってまいれ。」


陛下の言葉に、執事と思われる男性が、大事そうに何かを載せたトレイを持ってくる。

そして、陛下とルークの間にあるテーブルの上に、トレイを置いた。

そのトレイの上には、魔術書が一冊とバッジが1つ置いてあったのだ。


「まずは、“大魔道士”を示す、バッジだ。

 今後、これを身につけよ。

 貴殿は最強の魔導士でもあるのだ。

 威を示す必要がある。

 そして、この魔術書を受け取るといい。」


陛下は自らの手で、ルークに本を渡す。


「これは?」


「無属性という魔法があるのは知っているか?」


「いえ、知りませんでした。」


「であろうな。

 この世界には、精霊魔法、つまり四系統の魔法の他にも魔法が存在する。

 回復魔法もそうだが、他に三つ存在する。

 一つ目は、光属性の魔法。

 二つ目は、暗黒魔法。

 三つ目は、無属性の破壊魔法。

 魔術書が存在するのは、光属性の魔法と無属性の魔法のみだ。」


ルークにとって、暗黒魔法と、無属性の破壊魔法は初耳だった。

まだまだ、魔法が存在していたのだ。

ルークはそのことに驚いていた。

ルードベルゼンは何も知らないのか、驚愕していた。


「この書物は、写本であるが、無属性の破壊魔法が書かれている。

 これをルーク、貴殿に渡す。

 使いこなして見せよ。」


「よろしいのでしょうか?」


「かまわん。

 使い手がいなければ、ただの書物だ。

 使ってやってくれ。」


「では、ありがたく頂きます。

 そして、使いこなして見せます。」


その言葉を聞き、陛下はにやりと笑みを浮かべる。

その時、クリシュナがルークに質問する。


「ルーク、私から聞きたいのだが。

 光属性の魔法を使いこなせるのか?

 先ほど陛下の話を聞いていた時、君の表情に変化がなかったからね。」


クリシュナは、ルークの表情の変化を見逃さなかった。

だからこそ、知っている可能性があると思い、質問したのだ。


「はい、光属性の魔法は使えます。

 ただ、破壊力が強すぎるので、使いどころが難しいのですが。」


「なんと!?」


ルードベルゼンは驚き、声を漏らす。


「さすが、ルークだな。

 まさか、既に知っているとは。」


クリシュナは脱帽していた。


「ならば、暗黒魔法以外は、使いこなせるようになるだろうな。

 ふっふっふ、これでは、敵が存在せぬな。」


陛下は上機嫌で、笑い出す。


「ちなみに、暗黒魔法とはどういった魔法なのでしょうか?」


これは、ルードベルゼンも知らない情報だった。

だから、ルークは、皇帝陛下に質問してみることにした。


「残念ながら、余も詳しくは知らぬ。

 ただわかっていることは、人外の悪魔が使う魔法と聞いている。

 この世界に悪魔は存在する。

 南にある大陸に、悪魔族というのが存在しているそうだ。

 彼らに聞けば教えてくれるかもしれぬが、

 基本悪魔族は人間とは敵対関係にあるそうだ。

 だから、話が通じぬ可能性は高い。

 まぁ、悪魔がここに来るかどうかはなんともいえぬがな。」


どうやら、恐ろしい種族が存在するようだ。

ルークは南の大陸にも興味を抱いた。


「ありがとうございます。

 とりあえず、暗黒魔法は保留ですね。」


「ふっふっふ、もし暗黒魔法の使い手がいれば、覚えるつもりだったのか?」


陛下の質問に、ルークは首肯する。


「はい、実際に戦ってでも、覚えるつもりです。

 その悪い癖なのかもしれませんが、やはり魔導を極めたいので。」


ルークの回答に、陛下は更に笑い出す。

クリシュナは、陛下の態度に驚くのだ。

クリシュナにとって、ここまで笑う陛下は初めて見たのだ。

いつもは厳格で笑うことも少ないのにだ。

そして、ルークに会った時から、やけに上機嫌だった。

ルークには、陛下の機嫌を良くする力があるのかもしれないと思うほどだ。


「そうか、その時が来ればよいがな。

 さて、ルークよ。

 余からの話は以上だ。

 魔法騎士としてこれからも活躍を期待しているぞ。」


「はっ、ご期待に沿えるよう、努力致します。」


こうして、皇帝陛下との謁見は終了するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ