13-3 16歳。
翌日。
ルークは、原っぱへと移動し、花を摘み始める。
花は適当なものを摘んでは、手に集めていく。
ある程度集まったのを確認すると、自宅の方へと移動を開始した。
ルークは、自宅を経由し、少し離れた場所に移動していた。
そこには、小さな石が置いてあった。
大人の拳程度の大きさの石である。
その石の前に、摘んだ花を置いた。
そして、しゃがむと、両手のひらを合わせて、祈る。
そこは、ルークの乳母の墓だった。
今日は、乳母が亡くなった大体の日であった。
実は、ルークは、自分の誕生日を知らない。
亡くなった乳母にも教えてもらっていない。
ただ、春が来たら、一つ歳を重ねていた。
だから、特定の日、いわゆる誕生日がなかった。
乳母が亡くなった大体の日に、ここへ来て、お祈りをしていく。
そして、自分の年齢を一つ足すことにしていたのだ。
ルークはポツリと呟いていた。
「ネミア、僕、16歳になりました。
ガリガリで細かった体も、立派になりました。
僕ね、魔導士になれましたよ。
最初は魔法使いが目標だったのに、魔導士にまでなれちゃって、
信じられないですよね。
そして、皇帝陛下にお仕えすることになりました。
魔法騎士になっちゃったんです。
信じられませんよね。
僕も未だ、夢を見ているようですよ。
これから、色々大変なことがあるかもしれないけど、頑張ります。
だから、ネミア、見守っていてくださいね。」
ルークはゆっくり立ち上がると、その場を去るのだった。
こうしてルークは、歳を一つ重ね、16歳となるのであった。