13-2 畑作業と狩り。
翌日。
朝のルーティンをこなした後、畑を見に行ってみた。
案の定、草まみれになっていた。
「あぁ、また留守中に・・・」
ルークはガックリする。
こればっかりはしょうがない。
約5週間も留守にしていたのだ、こうなっても致し方ない。
「草抜きしましょうか・・・」
そんなわけで、草抜きが開始されるのだった。
昼過ぎには草抜きが完了した。
その後は、水を撒いてお終いであった。
そういえば、昨日村長へ報告に行くのを忘れていた。
ということで、村長宅に出向いた。
ところが、ルドマンは不在だった。
村長の奥さんにも聞いてみたが、どこに行ったのかわからないとのことだった。
珍しい。
畑にもいなかったし、どこへ行ったのやら・・・
そんなことを考えながら、自宅に戻ろうとした時、声をかけられる。
「おい、ルーク、狩りにいかないか?」
エドガだった。
手には弓と矢を持っている。
そして、数人の狩人がいた。
「あぁ、うん、行くよ、ちょっと待って。」
ルークは急いで、弓矢を取りに自宅に戻るのだった。
ルークは自宅に戻ると、弓矢を手にして、引き返していた。
ちなみに、ルークの服装は、普段着であった。
魔法騎士の制服は、村の外に行く時だけ着ているのだ。
だから、今は普段着で過ごしていたのだ。
村の中央広場に戻ると、エドガたちは待っていた。
「弓矢を持ってきたよ、じゃ、行こう!」
皆、森に向かって歩き出すのだった。
この時期、鹿は村の近くまで降りてくる。
冬の間は、村は雪で埋まるため、鹿は山で餌を求めて過ごすのだ。
春になれば、雪も溶け、草花が顔を出し、餌となる植物も生える。
それにつられて、鹿は山を下りてくるのだ。
また、鹿の子育ても始まる。
そこを狙って、狩りを行うのだ。
ルークは魔法の“情報収集”を常時起動させ、鹿の居場所を特定する。
そして、見事、鹿の群れを見つけたのだ。
皆、思い思いの鹿を標的に、弓と矢を構える。
そして、狙いを定めて、矢を放つ!
ルークは、一匹の鹿の喉に矢を命中させ、絶命させていた。
結果、全員で合わせて三頭の鹿を仕留めていた。
「よし、持って帰ろうぜ。
肉は村のみんなに山分けだ!」
皆嬉しそうに、鹿を引きずりながら、村に帰るのだった。
村に戻ると、村長のルドマンがいた。
「おぉ、鹿を三頭も!?
こりゃ、大量だな!!」
ルドマンは大喜びである。
「村長、切り分け頼むよ。
みんなにも配るからさ。」
「よし、任せろ!
ルーク、手伝え!」
「はい。」
皆で鹿を吊るして、内臓を抜き取り、皮と肉を切り分ける。
肉はそれぞれ持っていき、村のみんなに配り歩いた。
こうして、ちょっとした贅沢が皆に行き渡るのだった。
ルークも、肉を頂いて、ほくほくであった。
ちなみに、ルークはルドマンに、帰還報告をしたものの、特に何も言われなかった。
ただ、聞いているだけだったのだ。
関心がないのだろうか?
だが、ルークはあまり気にしなかった。
ルークは肉を持って帰り、今夜食べる分を残して、あとは塩漬けにするのだった。
今夜は、久々の焼肉であった。