2-3 水を生成してみる。
翌日。
次に何の検証を行おうかと考えながら、水汲みを行っていた。
「水、水か・・・」
その時、ふと気づいたのだ。
もし、水が生成できれば、色々便利なのではないか、と思ったのだ。
ルークは一旦水汲みを止めると、家に戻る。
水がめを見つめながら、片手を突っ込む。
そして、水をイメージする。
途端、右手のひらから水が沸き出したのだ!
「へっ!?
すごい!!」
それから、水がめが一杯になるまで水が湧き続けたのだ。
水がめに水が一杯になった途端、水が出なくなったのだ。
「あれ?
そうか、僕が水がめ一杯になるまでって考えたからだ。」
そう、ルークは水がめに水が一杯になるところまでしか想像していなかったのだ。
つまり、水一杯になっても、水を生成し続けることも可能かもしれない。
次に、外に行き、バケツを使って試すことにした。
今度は、水を止めるイメージを持たないようにした。
すると、バケツ一杯に水が溜まった後も、水は出続けていたのだ。
水はバケツより溢れ出し、地面を濡らしている。
「なるほど、コントロール可能なんだね。」
ルークは、水の出し入れがコントロールできることに気が付いた。
そして、水よ止まれと念じてみる。
すると、手のひらから出ていた水が止まったのだ。
再度、水を出してみる。
すると、水が出始める。
まるで、魔法のようだ。
だが、これは非常に便利な魔法であった。
例えば、旅に出た場合、水に困らなくて済むのだ。
水は持っていくと結構な重量になる。
そのため、魔導士によっては、“水生成”という魔法で、水を創り出し、それを飲料とするのだ。
だが、ルークの場合、念じれば水を出せるようになるのだ。
これほど便利な能力はないだろう。
「ところで、この水、飲めるのかな?」
すっかり忘れていたことを、思い出していたのだ。
もし飲んでお腹が痛くなるようなら、水がめの水を全て捨てなくてはならない。
「飲んでみますか・・・怖いけど。」
とりあえず、水を生成し、少し飲んでみる。
味は、いつもの水の味だ。
変な味はしない。
「大丈夫そうだけど・・・
とりあえず、今日一日、何も無ければOKということで。」
結果、何も起きなかった。
お腹も無事であったのだった。