表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創造系魔法使いのスローライフ!?  作者: 稀硫紫稀
第12章 侯爵の娘の家庭教師を務めることになりました。
148/526

12-12 家庭教師終了と帰還。

翌日、夜。

約5週間の家庭教師が終了となった。

侯爵は喜色満面であった。

それは、ミシェリの態度でわかったのだ。

ミシェリは明らかに、ルークを慕っている。

どうやら、ルークに一歩以上、近づけたと思われるのだ。


「ルーク、ミシェリが大変世話になった。

 これは、家庭教師の代金だ。

 受け取ってくれ。」


「ありがとうございます。」


ルークは金貨の入った袋を受け取る。


「娘を魔導士にまで育ててもらったのだ。

 感謝しかない。

 ありがとう。」


クロムワルツ侯爵はルークに感謝していた。

今回は策謀無しだ。

ミシェリがいる手前、そのようなことはしない。

ここは、正直に感謝するのだった。

だが、ルークの反応も確認しておきたい。


「ルークよ、ミシェリはどうだ?

 君の嫁にふさわしいと思わないか?」


侯爵の突然の言葉に、ルークは固まる。


「お父様!?」


ミシェリは、顔を赤くし、困惑する。


「どうだ、ルークよ。

 君が望むならば、ここでミシェリと過ごしてもかまわんのだぞ。

 私は2人の邪魔はしないからね。

 なんなら、特別に屋敷でも用意して・・・」


「ちょ、お父様!!!」


この後、ひと悶着あり、侯爵はミシェリに止められるのだった。



侯爵は居住まいを正すと、言葉を紡ぐ。


「また、何かあればルークを頼るかもしれない。

 かまわないかな?」


「はい、自分にできることでしたら。

 そういえば、ミシェリ殿に“思念連結(コネクト)”を教えてあります。

 何かあれば、ミシェリ殿に相談してください。」


侯爵は、ポンと手を打つ。


「なるほど、それで連絡が可能となるわけだな。

 了解した、ルーク。」


そして、ルークは応接室を去るのだった。



ルークが去った後、侯爵はミシェリに質問をする。


「ミシェリ、ルークはどうだった?」


ミシェリは少し考えた後、答える。


「はい、とてもお優しい方でした。

 私が最初考えていたよりも、ずっと、優しい方でした。

 あの方は、私の頭を撫でてくれたんです。

 とてもやさしく。」


「そうか、それはよかったな。」


侯爵は優しい笑みを浮かべていた。

ミシェリは明らかに、ルークに恋をしていた。

その証拠に、ルークのことを語っている間、とても幸せそうな顔をしていたのだ。


「だけど、しばらく寂しくなりますね。

 ずっと、ルーク様と勉強していましたから。

 明日から、憂鬱になりそうです。」


ミシェリは悲しそうな表情を浮かべた。


「なぁに、大丈夫だとも。

 何かあれば、ルークに相談するといい。

 いつでも、相談できるではないか。」


「はい、そうですね。」


ミシェリは微笑む。


「そういえば、ルーク様の生い立ちを聞きました。」


その言葉に、侯爵は興味を抱く。


「ほう、どのような生い立ちなんだい?」


「はい、何でも、4歳の時、捨てられたと。

 10歳まで乳母と過ごしていたと。

 乳母が亡くなってから、お一人で過ごされていたとおっしゃってました。」


「4歳の時、捨てられた・・・!?

 乳母・・・」


侯爵は、頭の中に何か思い当たることがあった。


「まさか・・・」


「お父様?」


「いや、ありうる。

 彼は、元貴族かもしれん・・・」


「えっ?」


侯爵は、悟っていた。

4歳で捨てられた、すなわち、魔力適性が判別される年齢。

そして、乳母という言葉。

乳母を雇うのは、基本金持ちの商人か、貴族、要職を務める者のみ。

捨てられる可能性が高いのは、貴族だった。


「まさか、いや、ありうるぞ。

 彼は、貴族の子だったのだ。

 となると、どこの貴族だ?

 調査をする必要があるな、これは。

 もし、大物であれば、大変なことになるぞ!」


「お父様・・・?」


侯爵は、周りが見えないほど、熟考していた。

そして、つい口に出していたのだ。

ミシェリには、その意味を理解できなかったのだった。



ルークは夜半過ぎに帰宅した。

流石に村のみんなは眠っているだろうということで、村長宅には寄らなかった。

まっすぐ家に帰ることにしたのだ。

村長への報告は明日朝に行うことにしよう。

家に帰ると、ランプに火を灯す。

そして、本棚より、日誌を取り出す。

約5週間の内容を、思い出しながら記すのだ。



しかし、ミシェリはいい子だった。

今回、侯爵による婚姻の押しつけがなかっただけ、助かったかもしれない。

いや、もしかしたら、ミシェリとくっつけるために、今回の家庭教師を頼んだのだろうか?

だが、ミシェリはきちんと勉強をしていたし、そうとも思えない。

では、侯爵がミシェリの要望を聞いた上で、ルークを巻き込んだのであろうか?

考えてみたものの、回答は出ず。

深く考えてもわからない。

あまり深く考えても意味はないかもしれない。

とりあえず、侯爵の策謀にも注意しなくては。

日誌をつけ終わると、ルークは床に就くのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ