12-10 魔導士試験を受ける。②
これで終わればよかったのだが、そうは問屋が卸さなかった。
ミシェリは、ルードベルゼンに挨拶を済ませると、そのまま質問をしたのだ。
「一つお願いがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「ふむ、何かな?」
「ルーク様に、四つ目と五つ目の魔法を見せて頂きたいのですが、
こちらの環境を使ってもよろしいでしょうか?」
「えっと、ミシェリ殿・・・!?」
ルークは、まさかのリクエストにびっくりしていた。
これには、ルードベルゼンも乗り気だった。
「かまいませんぞ。
ルーク様も結界を強化してくださるでしょうし。
使って頂いてもかまいませんぞ。」
そして、ミシェリは、ルークの元まで来ると、お願いをしてきたのだ。
「ルーク様、ここの環境を使っていいそうなので、是非とも、
四つ目と五つ目の魔法を見せてください!」
「あ・・・、はい、わかりました。
ルードベルゼン殿、お借りしますね。」
「どうぞ、どうぞ。」
明らかに、ルードベルゼンも、また見たかったに違いない。
ミシェリの要望を通じて、ルークにもう一度見せてもらおうと思っていたのだ。
しょうがない、やりますか。
ということで、ルークは立ち上がると、結界の中に入るのだ。
「ミシェリ殿、よく見て、覚えておいてください。
いずれ、あなたも使えるようになるかもしれない。
今は無理でも、いずれという可能性がありますからね。」
「はい!」
ミシェリが元気よく返事をする。
「結界!!」
途端、結界が強化される。
そして、かかしもどきを出現させる。
「では、四つ目、行きます!」
ルークは呪文を唱えると、解放する!
「“絶対零度破”!!!」
かかしもどきが一瞬にして凍り付いたのだ!
そして、結界内の気温も、絶対零度まで引き下がったのだ!
ミシェリは、あまりの凄さに固まっていた。
これが究極の魔法の一つ目。
「結界内を整理してください!」
ルークの言葉に反応して、凍り付いたかかしもどきが消える。
そして、再度、かかしもどきを出現させる。
「では、五つ目、行きます!」
ルークは呪文を唱えると、解放する!
「“氷結地獄”!!!」
瞬間、結界内自体が凍り付いたのだ!
かかしもどきもまた、氷漬けとなっていた!
結界は強化されていたため、ヒビははいっていなかった。
「凄い、これが究極の魔法・・・」
ミシェリは感動していた。
そして、願った。
いつか、ルークと同じ高みに立てるように、と。
ちなみに、ルードベルゼンら審査官たちも、二度目が見れて感激しているのだった。
試験が終わり、魔導士協会を出る。
「さて、ようやく終わりましたね。
最後のはちょっとサービスでしたが。」
「はい、ありがとうございました。
究極の魔法を見る事が出来て、感激でした。」
ルークは頬をかきながら、参ったといった表情をした。
「さて、では、お昼を頂いてから帰りましょうか。
大衆食堂って行ったことありますか?」
「いえ、ないです。」
ミシェリはぷるぷる首を横に振る。
「では、行ってみましょう。
珍しいものが食べられますよ。」
「珍しいものってなんですか?」
「例えば、麦ごはんとか・・・」
そんな会話を交わしながら、2人は、大衆食堂へと向かうのだった。
食事を済ませた2人は、王都を出た後、“瞬間移動”にて、都市グルードへ帰還するのだった。