12-10 魔導士試験を受ける。①
翌々日、朝。
1日休みをいれた後、魔導士協会にて試験を受けることにしたのだ。
ミシェリは、午前中の花嫁修業はお休みにした。
ミシェリは、魔術学院の制服を纏い、準備完了となる。
廊下に出ると、ルークと合流した。
「さて、では、行きましょうか?」
「はい、ルーク様!」
ミシェリは気合十分だった。
ルークたちは、王都まで“瞬間移動”で飛ぶと、王都内に移動する。
巨大な門をくぐり、魔導士協会を目指す。
歩きながら、ミシェリがルークに声をかける。
「私はルーク様のおかげで、魔法が使えるようになりました。
だから、今日は頑張りますね。」
「あぁ、頑張ってね。」
ルークの笑顔にミシェリは癒されるのであった。
魔導士協会に着くと、ミシェリのみが受付へ行くことになった。
ルークは手持ち無沙汰になる。
そういえば、ルードベルゼンさんはいないかな?と思い出していた。
ミシェリが会議室へ移動したのを見計らって、受付の女性に聞いてみることにした。
「あの、すいません。」
「は、はい、なんでしょうか、閣下?」
相手に緊張されるのは、どうも慣れない。
「ルードベルゼンさんはいらっしゃいますか?
先ほどの女の子の実地試験を見学したいんですが・・・」
「少々お待ちください。」
数分後、ルードベルゼン本人が急いでやってきたのだ。
「ルーク閣下、どのような用件なのでしょうか?」
ルードベルゼンも緊張しているようだ。
「実は、今日魔導士試験を受けに来た、
ミシェリというお嬢さんの実地試験を見学したいのですが、可能でしょうか?」
「なるほど、それは可能です。
ついて来てください。」
ルークは、ルードベルゼンについていく。
やがて、実地試験会場の、広い庭のような場所に到着する。
「こちらでお待ちください。
おっと、椅子を用意させましょう。」
ルードベルゼンはいそいそと姿を消す。
完全に貴族待遇である。
まぁ、貴族同然の身分なのだが。
そこそこ豪華な椅子が運ばれ、座って待つこと数分。
ミシェリが姿を見せた。
すぐにルークに気が付いたのだろう、手を振ってきたのだ。
ルークも小さく手を振り返す。
そして、ルードベルゼンら審査官が姿を現す。
「ミシェリ殿、今日は三つの魔法を使用するで、問題ないか?」
「はい。
よろしくお願い致します。」
ペコリとお辞儀をする。
そして、ミシェリは結界の中へと入っていく。
すると、ルードペルゼンが、ルークに近づいてきた。
「閣下、一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「はい、なんでしょう?」
ルードベルゼンは声を潜めながら、ルークに質問をする。
「あの子、ミシェリ殿とはどういうご関係なのでしょうか?」
ルークは、一瞬困ったが、正直に答えることにした。
「実は、彼女の家庭教師をしておりまして、上級魔法を教えたんですよ。」
「ほう、なるほど。
となると、閣下の弟子ということですな?」
「まぁ、そうですね。」
「うむ、理解しました、ありがとうございます。」
弟子という言い方は、正しいのだろうか?
ルークは疑問に思うものの、今はミシェリを見守ることにした。
「では、一つ目の魔法を使いなさい。」
ルードベルゼンの声に、ミシェリがうなずく。
ルークはここはおまけで、結界内に、かかしもどきを出現させる。
ルードベルゼンがぴくっと反応したが、何も言わなかった。
ズルをしたわけではなかったからだ。
ミシェリはかかしもどきを見るや、呪文を解放する!
「“極大水冷瀑布破”!!!」
極大の水流が発生し、かかしもどきが四散する!
「うむ、問題ない。」
ルードベルゼンがうなずくと、結界内の水流が消える。
「では、二つ目の魔法を使いなさい。」
ルークは、またもかかしもどきを出現させる。
ミシェリは呪文を唱え、解放する!
「“水流大変動波”!!!」
瞬間、大量の水が出現し、大津波を巻き起こす!
かかしもどきは津波に飲み込まれていく。
「うむ、問題ない。」
ルードベルゼンがうなずくと、結界内の水が消える。
「では、三つ目の魔法を使いなさい。」
再び、ルークはかかしもどきを出現させる。
これで最後だ。
ミシェリは呪文を唱え、解放する!
「“氷結晶冷破”!!!」
かかしもどきは、凍てつき、粉々に砕け散った。
全ての魔法が決まった瞬間、ミシェリは、ガッツポーズをしていた。