12-6 魔力の暴走。
6日後の翌日、午前中。
ルークは王都に向かった。
風系統の魔導士試験の結果を聞くためだ。
結果、合格だった。
証書を預かると、外に出る。
残り一系統のみとなった。
ルークは嬉しさをかみしめると、巨大な門へと急ぐ。
そして、侯爵の屋敷へと戻るのだった。
午後。
ルークとミシェリは魔術学院に来ていた。
時間短縮のため、“瞬間移動”を使ったのだが、ミシェリはとても感激していた。
これは、そのうち、“瞬間移動”も教えないといけないかもしれない。
その後、学院に入ると、先生に許可をとり、練習場へと足を向ける。
ただ、この練習場、一人分の結界範囲は狭いのだ。
屋内練習場全体としては広いのだが、一人分のスペースは決して広くない。
結界内に、9人大人が入ってしまうと一杯になる程度だったからだ。
ルークはここでやるべきかどうか、考えていた。
今のミシェリであれば、魔法をきちんと理解している。
だから、早めに使いこなすことは間違いない。
だが、この結界のスペースでは、狭すぎると感じたのだ。
そんなことを考えている間に、ミシェリは結界内へと入っていく。
そして、呪文の詠唱を開始していた。
詠唱を完了した途端、解放する!
「“極大水冷瀑布破”!!!」
極大の水流を発生させたまでは良かった。
途端、水流が暴走し始めたのだ!
破壊の水流が、ミシェリに襲い掛かる!!
「きゃあぁぁぁっ!!」
ミシェリの悲鳴が上がった瞬間、ミシェリの前にルークが出現したのだ!
「結界!!!」
ルークとミシェリを囲むように結界が張られ、水の暴走から防ぐ!
続けて、ルークは叫んでいた!
「凍てつけ!!!」
瞬間、水流は凍り付き、全て粉々に砕け散ったのだ!
ルークは、無詠唱で上級魔法である“氷結晶冷破”を使って見せたのだ!
これには、ミシェリは驚いていた。
周囲の魔法使いたちも驚いていた。
ルークは魔力暴走が収まったのを確認すると、結界を解く。
そして、ミシェリに向き直る。
「大丈夫か?
怪我はないか?」
「は、はい、大丈夫です。
ルーク様が守ってくださいました。」
「ふぅ、よかった。」
ルークは深く息をつくと、安堵する。
「ルーク様、今の、無詠唱で上級魔法を・・・」
「え、ええ、使いましたよ。
水を止めるには、あれしかなかったからね。」
「・・・カッコよかったです。」
「えっ?」
ルークは、ミシェリの反応に困るのだった。
その後、練習を中止し、城に戻ることにした。
そして、ミシェリの部屋へと移動したのだ。
そこで、今後の練習方法について、ルークは自分の考えをミシェリに教えることにした。
「考えたんですが、魔術学院の練習場では狭い上、
結界の強度に問題があります。
それに、魔力暴走が発生した場合、逃げ場がありません。
そういうことで、もっと広く結界が張れる場所で練習しようと思うのですが、
どうでしょうか?」
「そのような場所、あるんですか?」
「うん、あるよ。」
「どちらに行くのでしょうか?」
そこで、ルークは考えるも、まぁいいかと判断する。
「僕の自宅だよ。
ちょっと離れたところで練習していたんだ。
広い場所だから、十分練習できると思う。」
「ルーク様のご自宅近くですか!!?
・・・よろしいのでしょうか?」
「うん、かまわないよ。
都市グルードから離れるけど、問題ないかい?」
ミシェリは考えるも、すぐに返答する。
「ありません。」
「よし、じゃ、明日からは練習場変更ということで。
よろしくね、ミシェリ殿。」
「はい、ルーク様。」
こうして、練習場の変更が決まるのであった。