12-5 弱点克服。
翌日の午後。
ルークはミシェリの部屋の中に結界を創った。
ミシェリはその結界の中に入る。
そして、その中で、魔法力を意識することを優先したのだ。
いわゆる、魔法力を意識して、呪文を何度も使うのだ。
呪文解放を行わず、長時間かけて、魔法力のコントロールに意識を向けさせたのだ。
ルークはその間も、“情報収集”にて、魔力の流れをしっかり観察していた。
偏ったり、魔力が小さい場合は、注意する。
全て均等になった時点で、魔法を解放させていた。
それを何度も実行した。
だが、すんなりとうまく行かず、時間がかかることが見込まれるのであった。
そして、3日経った。
「よし、ミシェリ殿、もう一度試してごらん。」
ミシェリは、魔法力を集中させた後、魔法を唱える。
魔法力を一定にして、そして、呪文を解放する!
「“水流切断波”!!!」
呪文が解放され、水の刃が、かかしもどきを斬り裂く!
ルークは解放された後まで、“情報収集”にてきっちり観察していた。
魔法力は均等であった。
そして不足なく、魔力は解き放たれたのだ。
「よし、うまくいったようだ。
これで、魔法力を意識した修行は完了です。
ようやく、次のステップに進めるよ。」
「ホントですか!?」
ミシェリはすごく嬉しそうだ。
「とりあえず、今日はここまでです。
次に明日からは、水系統の上級魔法の魔術書の説明をしながら勉強です。
まずは、3つ覚えてもらいます。
3つ使いこなせるようになったら、魔導士試験という流れになりますね。」
「四つ目と五つ目は?」
「うーん、ミシェリ殿には難しいと思うんだよね。
魔力を確認した限りだと、呪文が発動しない可能性が高いんだ。
魔力が足りないんだよ。
僕並みに魔力が無いと、発動することもできないと思うよ。」
それを聞いて、ミシェリはがっかりする。
「えっと、なぜ、四つ目と五つ目にこだわるんだい?」
ルークはあえて聞いてみた。
「だって、ルーク様が使えるから、
私にもできるかもしれないって思ったんです。」
僕基準だったのか・・・と納得した。
「うーん、僕基準は普通じゃないから、いけないよ。
僕は異例な存在だからね。
だから、学院の先生とかを基準にするといいよ。」
「そうなんですか?」
「うん、そうなんだよ。」
これは、しばらく納得しないかもしれない、ルークはそう思うのだった。
その後、6日かけて、水系統の上級魔法の魔術書を読みながら、上級魔法の説明を行った。
魔力量や、制御手段など、細かく教えていく。
ミシェリは勉強熱心だった。
わからないことはどんどん質問してくる。
そのたびに、ルークは丁寧に答えていく。
勉強に熱中しすぎて、夕食の時間が過ぎている日もあったくらいだ。
そして、ミシェリは、呪文を理解していく。
いよいよ、実践段階にステップアップしていくのであった。