2-2 食べ物を増やしてみる。
翌日。
朝食を食べながら、ふと思い出していた。
そういえば、金貨は生成できるけど、食べ物とかはどうなんだろう?、と。
今食べているパンや、野菜、鹿肉なんかも生成できるのだろうか?
試してみようと思ったのだ。
金貨が生成できるのだから、同じように生成できると考えていた。
朝食を済ませた後、早速試してみることにした。
まずは、パンだ。
とても固いパンで、水やお湯につけてないと柔らかくならないパンだ。
机の上で、手を広げて、イメージしてみる。
いつも食べているパンの形を。
すると、手のひらにパンが1つ出現したのだ。
早速、軽く叩いてみる。
固い。
噛んでみる。
固くて食べられない。
どうやら、パンが生成できたようだ。
次に、水につけてみる。
見事にふやけたのだ。
柔らかくなっているのを、切り取り、食べてみる。
味は、いつものパンだ。
ちなみに、この固いパン、味はほとんどしない。
だから、いつもの「味が無い」パンだと思ったのだ。
次に野菜だ。
人参とカブだ。
この地方の人参は非常に細い。
土壌が良くないのが原因なのだが、細い人参が彼らにとっては当たり前なのだ。
カブは、小玉のものが多い。
こちらも人参同様、土壌が良くないのが原因だ。
カブは、葉も食べられる。
だから、人参とカブと葉を細かく切って、塩味のお湯で煮込んで食べるのが、この辺では当たり前の食事だった。
他にも野菜はあるのだが、ルークが育てているのは、この二種類のみだった。
まずは、人参を思い浮かべてみる。
すると、手のひらに人参が出現した
壺に入れてある、人参を取り出し、見比べてみる。
同じ色合いだし、同じ形だ。
とりあえず、生成できたと判断する。
次に、カブだ。
カブを思い浮かべると、手のひらにカブが出現した。
これも、畑からとってきたカブと見比べる。
やはり同じ形、色合いだ。
「よし、試しに今夜の料理に、この2つを使って食べてみよう。」
ルークはそう言うと、早速調理に取り掛かるのだった。
夜。
夕食の時間となり、野菜のスープを食べてみる。
やはりいつもの塩味しかしない、スープであった。
人参とカブもいつもの味だ。
葉物も味に変わりはない。
どうやら、全く同じものが生成できることがわかった。
これなら、野菜を作る必要が無くなることを意味する。
自分の魔力で生成できるのだから、畑で育てる必要が無くなる。
パンもそうだ。
今後、購入しなくても、生成してしまえばいいだけなのだ。
ただ、ルークはその案を不採用にした。
なんか、違うような気がしたのだ。
だから、今後食べ物の生成は、必要になった時にすることにした。
日誌にもそのように記載するのだった。