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創造系魔法使いのスローライフ!?  作者: 稀硫紫稀
第12章 侯爵の娘の家庭教師を務めることになりました。
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12-3 偶然の出会い。

ルークは本屋に到着すると、ドアを開ける。

すると、ユーディスが待っていたのだ。


「用事は済んだかね?

 最後の魔術書はこれだ。」


それは、土系統の上級魔術書だった。

ルークは袋からお金を取り出し、金貨50枚を用意する。

そして、ユーディスに渡すのだ。


「値段を言わずとも、わかっているようだね。

 ちょうど50枚だ。」


ユーディスはルークに本を差し出す。

ルークは本を受け取ると、大きめの袋に詰め込む。


「ありがとうございます。」


「これで、君は土系統をマスターすれば、名実共に“大魔道士”となれる。

 今まで、誰も極めることができなかった四系統の魔導士になれる。

 恐らく、未来永劫、君一人しかマスターしていないかもしれないな。」


そう言って、ユーディスは笑みを浮かべる。


「それはそれで、ちょっと困るんですけど。」


ルークは困り顔だ。


「いや、それだけの大偉業を為そうとしているのだ。

 これは君以外にはできないことだろうな。

 私も昔は、色々な魔法に手を出したものだ。

 だが、風系統以外は、からっきしダメだった。

 才能とは残酷なものだ。」


ユーディスは昔を振り返り、そう呟く。


「だが、君は違う。

 極めてみたまえ。

 そして、“大魔道士”となり、この国を支えてくれたまえ。

 今の君なら可能だろう。」


そう言って、ユーディスはルークに頭を下げていた。


「あ、その、はい、わかりました。

 ですから、頭を上げてください。」


ルークは慌てていた。

まだ、頭を下げられるほど、大したことはしていないのだ。


「ふっふっふ、君には期待しているよ。

 では、またいつか会おう、ルーク閣下。」


ユーディスは笑顔になっていたのだった。



ルークは本屋を出ると、ゆっくりと巨大な門を目指して歩いていた。

今日はもう用事はない。

そういえば、レイヴンに挨拶しておくべきか?

そんなことを考えながら歩いていると、一台の馬車が、ルークの隣で止まったのだ。


「ルーク閣下ではないか!」


「この声は?」と思って見上げると、馬車からクロムワルツ侯爵が降りようとしていたのだ。

侯爵は、馬車を降りると、恭しくルークに頭を下げる。

周囲の人々は、ルークと侯爵の行動を注目していた。

なんか、目立っているなと思いつつも、ルークは侯爵に声をかけることにした。


「クロムワルツ侯爵、お久しぶりです。

 どうしたんですか?」


「いや、閣下、ここで会えたのもなんという偶然!

 実は、ご依頼がありましてな。

 詳細は馬車の中でお話し致します。

 ささっ、どうぞお乗りください。」


ルークは、勧められるがままに馬車に乗り込む。

侯爵も乗り込むと、馬車は巨大な門を目指して突き進む。

馬車が動き出すと同時に、ルークが侯爵に話しかける。


「侯爵、2人きりなので、閣下と呼ばなくてもいいですよ。」


「はっはっは、ルークは人が良いのですな。

 助かります。」


どうやら、侯爵は上機嫌のようだ。


「そういえば、依頼と言ってましたが、どういった内容なんでしょうか?」


ルークは早速、依頼の内容を聞き出す。


「実は、私の娘のミシェリが、どうしてもルークに

 魔法を学びたいと言い出しましてな。

 近々、レイヴン殿経由で呼んで頂こうと思った矢先だったのですよ。

 いや、偶然出会えて、本当によかった。」


ルークはミシェリという少女のことを思い出してみる。

そう言えば、明るい笑顔の子がいたなと思い出していた。


「そのミシェリさんは、系統は何でしょうか?」


「ミシェリは水系統です。

 ルークは既に魔導士となっておりますから、教えて頂くことは可能でしょう?」


魔法を教えるのか・・・

果たして自分にうまく教えることができるのだろうか?

騎士たちにアドバイスしていた内容とまた違うのだ。

魔法の理論を説明したりしないといけない。

うまく理解させられるかどうか、疑問だった。


「娘には、専属の魔導士はおりません。

 都市内の魔術学院で学んでいるのですが、

 上級魔法だけはどうしてもうまくいかないと言ってましてな。

 そこで、ミシェリに家庭教師は誰がいいかと要望を聞いてみたところ、

 ルークの名前が挙がったのです。

 ものは試しに、家庭教師を引き受けてくださらないか?」


各都市内には、魔術学院が一つある。

ルークは王都にしかないと思い込んでいたが、これは誤りである。

魔術学院では、入学者が上級魔法を扱えるまで居続けることが可能なのである。

だから、高齢の魔法使いも在籍していたりする。

ミシェリも、魔術学院に通っているから、魔術の才はあるのだろう。

ただ、学院では、上級魔法がうまく使えないという。

家庭教師をつけるのはいいことだが、まさか自分が指名されるとは思わなかった。

侯爵から、試してみないか?と問われているので、試してみてもいいかもしれないと思ったのだ。

そして、返答することにした。


「わかりました。

 大したことはできないかもしれませんが、家庭教師の件、引き受けます。」


これには、侯爵は大喜びであったが、あまりはしゃがないようにした。


「おおっ、ありがとう。

 では、城に戻りましたら、詳細を娘から説明させましょう。

 よろしく頼みますぞ。」


侯爵からかなり感謝され、ルークはちょっと困り顔だった。

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