12-2 制服を受け取ろう。
ルークはユーディスと共に、魔導士協会を出る。
そして、ユーディスはルークに感謝を示した。
「君には感謝しかない。
まさか、究極の魔法が、あれほど素晴らしいものだとは思わなかった。
ありがとう。」
「いえ、こちらこそ、お見せすることができてよかったです。」
ルークの笑顔に、ユーディスも笑みを浮かべる。
「そうだ、後程、伺ってもいいでしょうか?」
「あぁ、いいとも。
土系統の上級魔術書だろ?
用意して待とう。」
「はい、お願いします。」
そう言って、2人は別れるのだった。
ルークは“思念連結”にて、レヴィと連絡を取る。
「ルーク様、お久しぶりです。
今、王都にいらっしゃるのでしょうか?」
「はい、以前お願いしていた、制服を受け取りに来ました。」
「ということは、風系統の魔導士試験も受けられたのですね。
では、王城近くまで来ていただけますか?」
「わかりました。
今から向かいますね。」
ルークは“思念連結”を解除すると、王城に向かって歩き出すのだ。
途中、人々の視線が、自分に注目していることに気が付いた。
どうやら、ルークの姿は珍しいようだ。
それもそうだ。
近衛師団の制服は、街中では、そうそう見かけないのだ。
そして、近衛師団は最強を意味する集団でもある。
ここで暮らす人々にとっては憧れの存在でもあり、畏怖の存在でもある。
下手なことをした場合、斬り殺されても文句が言えないからだ。
まぁ、そんな極端なことは起きないのだが。
ルークはあまり視線を気にせず、王城に向かうのだった。
王城に近づくと、見知った顔があった。
制服を抱えたレヴィが立っていたのだ。
「ルーク様、こちらが魔法騎士専用の制服になります。
以前も申しました通り、デザインは近衛師団と変わりないです。
色が少し異なる程度でしょうか。
今度からはこちらを着用してくださいね。」
ルークは、レヴィより制服を受け取ったのだ。
「ありがとうございます。
ちなみに、今着ている近衛師団の制服は、返却しないといけないですか?」
「いえ、返却不要です。
そのまま使って頂いても問題ありません。」
「そうですか、ありがとうございます。」
ルークの返答に、レヴィは微笑む。
「ん?どうかしましたか?」
レヴィの笑みに、ルークは疑問に思ったのだ。
「いえ、なんでもありません。
ルーク様は、下士官に対しても、礼儀正しいのですね。」
「そうなんでしょうか?
その、癖というか、まだ慣れていないというか。」
「それもいいことだと思いますよ。
では、これにて失礼しますね。」
「はい、ありがとうございました。」
レヴィは王城の中へと消えていく。
ルークは大きな袋に制服を詰め込んだ。
「よし、次は本を購入だ。」
ルークはいつもの歩調で、本屋を目指すのであった。