2-1 弓矢の使い方を復習。
翌日。
朝のルーティンが済むと、ルークは弓矢を手に、外に出る。
昨日覚えたばかりの弓矢の使い方の復習をするためだ。
昨日は、練習で1回、狩りで1回、イノシシ退治で2回使ったぐらいだ。
特にイノシシ退治で、2回目に放った矢は、イノシシの頭部ではなく、前足に当たったのだ。
まだ、弓矢の精度が悪いと考えたのだ。
かかしもどきに板を張り付けると、少し離れた距離で、弓矢を構える。
そして何回か、矢を放ってみる。
すると、板に当たったり、外れたりすることがあったのだ。
どうやら、精度が良くないようだ。
「うーん、コツでもあるのかな?」
昨日の説明を思い出してみたものの、そこまで細かい話はしていなかった。
力任せに放てば、まっすぐ飛ぶのだが、それではいけなかった。
やはり、狙った位置に、当てられるようになりたかった。
では、どうするべきか?
また、考えてみる。
何を強化すれば、狙い通りに当てることができるようになるのか?
精密に射撃できる能力が欲しかった。
「そうか、集中して射撃する力か!」
そこで、ルークは思いついた。
言葉通り、集中力が足りなかったのだ。
ルークは自宅に戻ると、ベッドに横になり、いつものように手のひらを胸に当てる。
そして、願う。
「集中力の強化」を。
30分後、ベッドから起き上がり、立ち上がる。
体に変化はない。
早速試してみようと思い、弓と矢を手に取る。
板とかかかしもどきに刺さった矢を抜き取った後、先ほど弓を放った位置に移動する。
今度は全弾、板に当てることを目標にする。
弓に矢をつがえ、良く狙いを付けた後、放つ!
矢は早い速度で、板に命中する!
「よし、次!」
更に矢をつがえ、放つ!
また、板に命中する!
「よし、次だ!」
・・・という具合に、矢が尽きるまで試した結果、全て板に命中したのだ。
もはや、必殺必中の勢いだった。
「よし、これなら、狙い通り標的に当てることができるようになるぞ!」
ルークは喜んだ。
もはや力任せに放たなくても、標的に当てることができるようになっていたのだ。
精密射撃の完成である。
「これなら、次の狩りでも一撃で仕留められるようになるな、きっと。」
ルークは狩りのことしか考えていなかった。
実は、この能力が後々、他のことにも影響することに、今は気がつかないのであった。
ルークは、結果に満足すると、板に刺さった矢を回収するのだった。
夜、日誌に今日の結果を記載する。
「これで、狩りが更にうまくなると思う、と。」
ルークにとっては、日常でできることが増えるのが嬉しいのだ。
だから、些細なことであれ、できるようになればいいなと思うのだった。