10-9 皇太子からの手紙。
翌日。
朝のルーティンをこなすと、椅子に座る。
風系統の上級魔術書の勉強を始めようとしたところ、机の上に手紙が置いてあったのだ。
はて、いつ届けられたものだろうか?
昨日はなかったはずだが・・・
その手紙を手に取ってみると、かすかにだが魔力の気配があった。
どうやら、魔法で手紙を届けたようだった。
知らない魔法なので、返書のしようもない。
とりあえず、中を確認することにした。
送り主は、クリシュナだった。
内容は簡潔だった。
皇帝陛下にルークを取られたことが残念だったようだ。
しっかりその辺が、長文で書いてある。
それから、何かあれば協力して欲しいと書いてあった。
協力できることであれば、協力は惜しまないつもりだ。
それと、魔法騎士の叙勲の件で、正式な使者はレヴィに決まったそうだ。
そのうち、こちらに来るだろうから粗相のないようにと書いてある。
ちょっと信用がないようだ。
手紙はそこで終わっている。
ルークはそこで、紙と羽ペンとインクを用意する。
こちらからの返書を書くことにしたのだ。
手紙はレヴィさんにお願いすれば、届けてくれるだろう。
その日、手紙を書くことに一日費やすことになるのだった。
ルークが誰かに宛てて手紙を書いたのは、今回が初めてのことであった。