9-8 ルーク暗殺。②
ルークは城を出ると、ゆっくりと城外門に向かって歩いていた。
中央広場を抜け、城外門を視界に納めていた。
その時だった。
ビュッ!と、ナイフのようなものがルークを狙って飛んで来たのだ。
ルークは素早く回避すると、周囲を警戒する。
そして、“情報収集”にて、周囲を探る。
暗殺者らしき者が6名、ルークに向かって近づいてきていたのだ。
どうやら、手練れのようだ。
さて、どうするか?
ルークは考えた結果、この都市にある大きな広場に向かって走り出していた!
できるだけ、遮蔽物の無い場所へ行くことにより、こちらが有利になると考えたのだ。
暗殺者たちも、ルークの姿を追う!
やがて、大きな広場に着いた。
ただし、人が多くいた。
ルークは、できるだけ人がいない場所へ移動し、そこで待ち構える。
すると、剣を引き抜いた暗殺者たちが、堂々と近づいてきたのだ。
「きゃぁぁぁっ!!」
暗殺者たちが引き抜いた剣を見て、悲鳴を上げる人々。
突然のことに、皆広場から離れる。
ルークにとっては、これでよかった。
無関係な人間を巻き込むわけにはいかない。
さて、といったところで、ルークは“思考読破”を発動させる。
主犯を特定するための措置だ。
そして、相手の動きを見抜くことも兼ねていた。
暗殺者6名は、ルークを取り囲んでいた。
一般人は、遠く離れたところから様子を伺っている。
そのうち、民衆が通報し、騎士がやってくるだろう。
それまで持たせるつもりは、ルークにはなかった。
一斉に斬り捨てるのみである!
ルークは剣を引き抜くと、構える!
暗殺者たちは、言葉を発することなく、一斉に斬りかかる!
だが、次の瞬間、ルークの姿が掻き消える!
「「「!!?」」」
ルークが姿を現した瞬間、1人を斬り捨てていた!
突然のことに、暗殺者たちは狼狽する。
だが、次の瞬間には、2人目が倒れる!
ルークは凄まじい速度で、次々と暗殺者たちを斬り伏せていく!
そして、騎士たちが駆けつけて来た時には、暗殺者たち全員が倒れているのだった。
「ルーク、無事か?」
クロムワルツ侯爵は、すぐに駆けつけてくれていた。
そして、騎士団に命じ、周囲の警戒を行わせていた。
「はい、無事です。
暗殺者たちは、全員生きてます。
犯人は、ヒューゼという魔導士です。」
侯爵はヒューゼの名前を聞いて、すぐに納得する。
「なるほど、対戦相手だった魔導士か。
それについては、私に任せてほしい。
ヒューゼは、我が騎士団にて捕縛する。」
「はい、お願いします。」
「しかし、君は強いな。
どうやって倒したのだ?」
「その、“思考読破”と“瞬間移動”の魔法を駆使して、倒しました。
敵に剣の手練れがいないことが幸いでした。」
「ほう、たいしたものだ。」
侯爵は関心していた。
「ともかくだ、城外門まで護衛をつける。
城外門を出たら、すぐに帰宅するといい。」
「はい、ありがとうございます。
では、これにて。」
ルークは頭を下げると、数名の護衛の騎士と共に、城外門に向かって歩いて行った。
侯爵は、騎士たちにヒューゼ逮捕を命じるのだった。