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8 レオーナと閨をともにする

 ◆◇◆


 王様の寝室。

 俺はベッドの中でちょこんと三角座りをしている。バスローブみたいな白い寝巻きを着ている。


 枕元に燭台の蝋燭があるだけだから、部屋の中は薄暗い。


 ベッドの隣に立つのは、歩兵隊長のレオーナ。閨を共にする女性の2番目に、アイリはレオーナを指名した。

 でもレオーナはビキニアーマー姿で腕組みして、俺には背中を向けている。レオーナが機嫌が悪そうにしているいるから、部屋はトゲトゲした空気。


 全身を隠せるほどの大剣は壁に立て掛けてある。危害を加えようとする者がいたら、すかさず一刀両断することだろう。

 

 ドレス姿のアイリがおずおずと話かける。

「あのう……我が国の防衛と治安維持のためにはレオーナさんが能力授与されて、強くなっていただくことが最優先事項なんです。どうかご協力を」


「い、いきなり王様とエッチなことをしろなんて無茶苦茶です。それに今のままで私は十分強いと思います」

 レオーナはプイっと顔を背ける。


 確かに。

 昨日、レオーナが野盗を一人で殲滅するのを見た。

 

「ですが、もっと強くなっていただいた方が……」

「失礼ですが、私は自分より弱い男に抱かれるつもりはありません」


 レオーナはプライドがとても高い女性のようだ。

 軍議では歩兵隊の強化で一致したものの、自身は俺から能力を授与される必要はないと言う。


 外敵の侵入は雪解けまでは無さそうだ。だが国家の存続が危ぶまれる状況とあっては、トチ狂って暴れ出す女性がいないとも限らない。


 また野盗が襲撃してくるかもしれない。

 国家の存立に必要なのは何をおいても、武力だ。


 ノルデン王国最強の戦士のレオーナに真っ先に能力授与する必要があるのは、理屈ではそうなんだろう。だがレオーナは耳を貸さない。


 能力授与するからって、いきなり俺と閨をともにしろというのは確かに無茶な話だ。レオーナが拒否するのは当然だと思う。

 

 アイリは俺に、とほほーな感じな顔を向けた。


「まあまあアイリ、やっぱり無理強いは良くないよ」

 俺は嫌がる女性を押し倒すなんてできない。


 レオーナは俺より強いから押し倒せないけどさ。


「はああぁ、困りました」

 アイリが深くため息。


「全く不愉快です。失礼します」

 レオーナはカツカツと扉の方に進んでいく。


「お待ち下さい。ということはレオーナさんは処女なんですね」

 アイリが呼び止める。


「なっなぜそれを!?」

 レオーナが立ち止まって振り返る。顔が赤い。


「だって、自分より弱い男には抱かれないんでしょ。でしたら誰もレオーナさんを抱けてないってことです。ノルデン王国に男が生きていた時もレオーナさんが最強だったから」

 アイリの話に俺は驚く。

 レオーナはどの男より強かったのだ、女なのに。


 高校トップの成績だったキキィ。百年に一人の天才魔法使いのルナ。


 男がいなくなった国にあって、残っている女の子がいずれも優秀なのは頼もしいことだ。


「だ、だからなんだって言うんですか。男なんかに汚されるくらいなら死んだ方がマシです」


「へぇ意外に純真なんですね。レオーナさんはオラオラ系の人だと思ってました。私を満足させる男はいねーのかよって感じで」

 アイリは悪者な口調で絡んでいく。


 レオーナを挑発して、その気にさせようというのが俺にはわかる。アイリは国のため、あえて悪者になっているのだ。


「ぶ、無礼な。王妃様といえども怒りますよ」

「まあまぁレオーナさん。男性はいいものですよ。私は昨晩、陛下に愛していただいて生まれ変わったような気分です。レオーナさんも経験なさったら」


「けっ汚らわしい」


「すみませんが……催淫っ」

 アイリがレオーナを指さして唱える。


「う、なんですかこれは」

 途端に苦悶するレオーナ。


「ふふふ。エッチな気分になってもらいますね」

「ひ、卑怯ですよ。魔法耐性のない私に」


「だったら、なおさら陛下にいっぱい可愛がってもらわないといけませんねぇ レオーナさんに国の存亡がかかってますから。いつか魔法耐性を授与してもらえるまで何回でも」

 アイリは昼間言ってた仮説をレオーナと俺で実証するつもりなのか……


 レオーナは魔法が弱点らしい。

 最前線で戦う戦士としては、致命傷になりかねない。


 俺と閨をともにしたって、いきなり都合良く魔法耐性の能力は得られないだろう。


 俺が閨をともにする女性を変えてから、またレオーナと抱き合わされる。次でレオーナに別の能力を授与できれば、アイリの仮説は証明される。

 でもってレオーナが魔法耐性を授与されるまで幾晩にも渡って閨をともにする。


「あああ、おかしい。あそこが疼く。止めてくれ、催淫を解除してくれー」

 レオーナは叫びながら、フラフラとベッドに寄って来る。


「レオーナさんにはこっそりと飲み物に避妊の薬草を混ぜてあります。ですから二人ともご心配なく」

 アイリは準備周到。

 避妊の薬草って味がしないのかな。レオーナが気づかなかったことからすると。


「いやいや、薬飲んでればいいってもんじゃなくてさ」

 俺にはアイリのやり口が犯罪の(にお)いがしてならない。


「ああ、熱い。体が熱い。なんだこれは。勝手に体が動く」

 上気したレオーナが、ビキニアーマーの籠手、脛当てを外していく。


「私もつらいんです。陛下にも、催淫っ」

 アイリの右手の指先が向けられる。俺は額を射抜かれたみたいに軽い衝撃を受けた。


 俺はレオーナから顔を背けた。

 だが鼓動がどんどん激しくなる。


「はあっはあっ」

 レオーナの荒い息遣い。

 防具が床に落ちる音がする。


 アイリが扉を開けて出て行こうとする。


「私は我慢しますから……」

 アイリは悲しげな表情で振り返った。


 パタリ

 扉が静かに閉められた。


「へ、陛下ぁ」

 レオーナがベッドに上がる。

 俺に覆い被さるように身を乗り出して来る。


 大きなおっぱいが露わになっている。

 北国の女はみな色白。ビキニアーマーの戦士でも日に焼けてない。


 真っ白なおっぱいで乳首はピンク色。

 見てはいけないのに、催淫のせいで……視線がつい……


「へ、陛下ぁ やさしく……やさしくしてくださいね」

 レオーナの甘い吐息が吹きかかる。


 俺たちは口付けした。


 レオーナは最初は熱にうなされたように俺を求めてきた。

 だが次第に俺に身を任せるようになってきた。

 レオーナの心は女の子なのだ。


 催淫のせいで俺の心の中は嵐が吹き荒れて、レオーナに乱暴したくてたまらない。

 でも優しくしてほしいというレオーナに俺は応えないといけない。精一杯、レオーナを愛撫するよう心がけた。

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