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5 新婚旅行

 ◆◇◆


 戦いが終わったら新婚旅行に行くんだ、というアイリとの約束。

 幸いにして死亡フラグにはならなかった。


 俺とアイリはノルデン湾の港に停泊した船に乗り込む。

 先代の王様が外遊に行く時に使ってた豪華な帆船である。


「わーいわーい、先生と新婚旅行」

 アイリはルンルン気分で船内を歩く。


 新婚旅行は船旅だ。


 行先はハルザ市。

 新婚旅行で用事を兼ねるのは無粋なのだが、ハルザ市には早急に行っておかねばならない。


 帝国軍とのノルデン湾海戦に勝利できたのは、ハルザ同盟が援軍の艦隊を寄越してくれたからだ。

 とにもかくにもハルザ市長に御礼を伝えねばならない。


 またハルザ同盟との貿易で、ノルデン王国は鉱物を輸出し、食料を輸入する。

 ハルザ同盟は経済的にも生命線なのだ。市長と仲を深めて、末永い友好関係を維持していきたいところである。


「やったやった、先生と二人っきり」

 アイリはご機嫌なまま。船室でメイドさん達に指示して、荷物の服や小道具を配置する。新婚旅行が外遊とセットなことに不満はないようだ。


 メイドさんが2名が付き添うが、旅行中に閨をともにする女性はアイリだけに決めている。


 同じ女性と連続して閨をともにしても新しい能力を獲得できない。

 能力獲得目的で閨をともにするのは楽しくないし、心が折れそうだった。


 ついに、能力獲得とか気にせずに愛しの教え子にして、妻のアイリとイチャラブができる日が訪れたのだ。


「俺もうれしいよ」

 ソファに座ってしみじみする。


 思えば死ぬほど忙しかった。

 帝国軍を撃退した後は、鉱山の復興、そして子作り。


 子作り希望の女性が殺到して、俺は毎晩相手をしないといけなかった。1か月ほど集中的に、排卵期だという女性と閨をともにさせられた。

 その数約500人。

 ほとんど寝ることができない、狂乱の世界だった。


 女性に「子供が生まれたら、亡くなった恋人を忘れられます。ありがとうございます」なんて感謝された。俺は寝とったみたいで、複雑な気分。

 

 とまあ、子づくり希望の順番待ちが続いているけど、ハルザ市を訪問することも国家安全保障上の重大事項。なんとか女性達を説得して抜け出すことができた。


(いかり)を上げろー (もやい)をとけー」

 甲板で作業する女性の声が響く。


 船が出航する。


 帆船の操船ができる男は死滅しているので、使い方を工夫する必要がある。

 歩兵隊員3名と、魔法使い隊員2名に同行してもらう。

 

 順風の時は帆を張って、普通に進む。

 風がない時や逆風の時は帆を畳む。そして風魔法が得意な魔法使いの子に船の後ろに向かって風を放ってもらうのだ。これでどうにか進む。


 帆の上げ下ろしは、歩兵隊員に練習してやれるようになってもらった。


 問題はナビゲーション役だ。航海士の男も死んでしまった。陸から離れてしまうと、海の上でどこを進んでいるかわからなくなる。だから陸沿いに行くし、昼間しか航海しない。


 途中、ハルザ同盟に加入している都市に寄港して行く。ほぼ毎日上陸して、宿屋に泊まる。でもってその都市を見物してから、また船に乗る。

 ゆっくりした旅程で、ハルザ市到着は10日後くらいだ。


 我が国最強の戦士レオーナと魔法使いルナは国に残る。ないとは思うが、外敵の侵入に備えてもらうのだ。俺自身がそこそこ強いから、護衛の者が少なくても大丈夫だろう。


 ◆◇◆


 夜。

 今晩は一つ隣の都市に停泊して、宿屋に泊まる。


「わーい、久しぶりに先生に可愛がっていただける。うふふっ」

 バスローブ姿のアイリがベッドの上で飛び跳ねている。


 俺もバスローブ姿。

 新婚旅行で出掛けてようやく夫婦水入らず。アイリは妻だというのに、閨をともにするのがひと月ぶりくらいになってしまった。


 室内の蝋燭を消して回る。

 ちょっと離れたテーブルの上の蝋燭一本だけを残す。


 ほのかな灯に照らされたアイリは艶かしい。


「愛してます」

 アイリが唇をすぼめる。


「俺も」


 唇を重ねた。


 ◆◇◆


「新しい能力【超絶(トランセンデンス・)性技】(セクシャルテクニック)を獲得しました。女性または自分に授与してください。考慮時間は3分です。時間を過ぎた場合は自分に授与されます」

 久しぶりのアイリとの閨だから、能力を獲得。


 【超絶性技】は字面からして、相手を気持ち良くさせる能力だろう。

 なんでまたエロスキルなんだよ。アイリと閨をともにした時だけ、エロスキルを獲得する。

 まあアイリは清純なようで、実はエッチな子というのを俺だけが知っているけどさ。


 女性に使ったらメロメロにさせてしまうという、男にとったら夢のような技術なんだろう。

 だけど俺は、女性を狂わせて得意げになるみたいな悪いことはできない性格だ。

 扱いに困る能力だな……


「どうしたんですか。新しい能力を獲得したんですよね」

 アイリがカバーで顔の半分を隠した状態で聞いてくる。


「【超絶性技】ってのを獲得したんだけど……正直要らないんだよね。捨てられないかな」

 言うのが恥ずかしい。


 アイリに【超絶性技】を授与して、俺を気持ち良くさせる……

 いやいや、妻にそんなことさせちゃいけないでしょ


「能力を捨てることはできません。必ず自分または相手に授与して下さい」

 女性の声がまた聞こえた。


 俺に【能力授与】のギフトを授けた神様みたいな存在はおせっかいだ。


「あ、あの……先生ご自身に授与なさってはいかがでしょうか」

 アイリが呟く。


「え、俺ってやっぱりエッチが下手なんだ!?」

 ショック。

 いや、まあ、前世で童貞だったし、社交的な性格じゃないから不思議じゃないんだけど。


「い、いえ、そういうわけではなくっ むしろとても上手ですよっ 私、とろけちゃってますっ」

 アイリが真っ赤な顔で、わちゃわちゃする。


「俺に授与して、【超絶性技】をアイリに使っていいの?」

「は、はい……そ、その……私、もっと気持ちよくなったらどうなるんだろうって思って……エッチでごめんなさい」

 アイリの顔をカバーで隠す。恥ずかしくてどんどん小声になっていき、終わりらへんはよく聞き取れなかった。


「じゃあ俺に授与」

 唱えた瞬間、体が光に包まれる。


「ドキドキ。早速、使ってみていただけませんでしょうか」

 アイリはカバーから顔を出して興味深々な様子。


「う、うん、でもちょっと休ませてよ」

「私、長いことご無沙汰でしたので、すみませんが【精力回復】」

 アイリが右の人差し指を俺に向けて唱える。


「なっ――」


「さらに【催淫】」

 アイリの連続攻撃。


 ドクンドクンドクンドクン

 俺の心臓が跳ねまくる。


「本当にいいのか、【超絶性技】を使って……」

 俺は残った理性をかき集めてアイリに確認する。


「は、はい、ぜひっ」

 アイリがコクリとした。


 ◆◇◆


「はあはあ。凄すぎます」

 アイリが隣でうつ伏せになって、荒い息をしている。


 俺は仰向けに寝そべっている。

 呼吸は平静。

 余裕なたっぷりな感じ。


 【超絶性技】を発動したら、俺の体が勝手に動き始めた。

 指でアイリを翻弄しまくる。


 アイリが乱れまくり、絶頂に達する様を俺は冷静に傍観してた。

 ベッドの上で女に対して圧倒的に優勢という男の理想像を実現しちゃったかもしれない。


 アイリが裸で俺にしがみついている。

「【超絶性技】は他の人に使っちゃダメですっ 私だけですよっ」


「言われなくても使うつもりはないって」

「絶対に絶対、約束ですよっ これを使われたら、どんな女の人でも先生なしではいられなくなりますからねっ」


「ほんとに……」

 俺は半信半疑だけど、アイリは真剣。


 まあアイリが満足したみたいなのは良かった。


 これまで【能力授与】ギフトで獲得した能力は、戦争で使う目的ばかりだったからな。

 【超絶性技】が、夫婦円満という平和目的の初めての能力になる。


 新婚旅行で、アイリとまったりできるのは素晴らしい。

 平和っていいな。

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