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第2巻『帝国の逆襲』〜1 超ホワイト国家誕生

 ◆◇◆


創造(クリエイト)ゴーレム! 創造ゴーレム!」

 灰色のローブ姿のゾフィーの声が谷間に響く。ゾフィーは前髪が顔の上半分を隠すくらい長い。表情がわからないけど、口調は元気いっぱいだ。


 1.5メルトルほどのやや小柄な(ロック)ゴーレムが次々と地面から産み出される。


 岩がごつごつした山々がそびえているこの辺りは、ノルデン王国の鉱山である。


 鉱山の穴に続々とゴーレムが入っていく。


 帝国軍を撃退した後すぐ、俺たちはノルデン王国の主要産業である鉱山の復興に着手している。


 金、銀、鉄などを含んだ鉱石を掘り出してくるのはゴーレムでできる。


 以前は奴隷がやってた仕事だ。鉱山はとても危険なところで、落盤事故や有害なガスが発生しまくる。奴隷たちがどんどん死んでいくから、代わりの奴隷を補充し続けないといけなかった。奴隷が死ぬのは心が痛むし、出費がかさむ。

 

 ゴーレムだったら壊れても差し支えないし、出費がかからない。


「創造ゴーレム! 創造ゴーレム! 創造ゴーレム!」

 ゾフィーは貧しい農民出身だから、単調なゴーレム作りを勤勉にやってくれる。すでに500体くらい作ったが、まったく疲れてない様子だ。


 朝イチで作ったゴーレムは、鉱石をカゴに抱えて帰ってきた。


 王様服の俺はゾフィーの傍で作業に目を細めていた。

「上手くいきそうだな。ゾフィー様々だ。ゾフィーに豪邸を建ててあげないと」


「ほんとに!? おっかあが喜ぶだ」

 親孝行で純朴なゾフィーは小躍りする。


 ぶっちゃけ豪邸なんか安いものだ。

 ゾフィーが国家経済の根幹となるからには、ゾフィーは俺を何でも言いなりにできる立場。あと我が国海軍もゴーレムのガレー船漕ぎに支えられているしな。


 国の半分をよこせとか、俺と閨をともにするのはゾフィーだけとか足元を見そうなものなのに。今のところゾフィー自身からは何も要求してこないから助かる。


 ただしゴーレムが鉱石を掘り出すことはできても、含まれている金や銀を抽出することまではできない。

 抽出には外国から技術者に大金を払って来てもらわないといけないなぁと思っていた。でもこれも自前で解決しそう。


 山のように積まれた鉱石の前に20才前後の女の子たちが立つ。彼女らは紺色のローブを着ている。

 この子たちは俺と閨をともにしたところ、錬金術師系の能力が発現したのだ。


 父親が鉱山で働いていた技術者だったから、もしかしたらと思ったらドンピシャだった。


「よし、やってみて」

 俺は一人の子に声を掛ける。


「は、はい。抽出(エクストラクト)!」

 緊張した表情の女の子が鉱石に両手をかざして唱えた。


 鉱石の一部が光り出す。

 光は粒になって、女の子の手元に飛んでいった。


 女の子は光の粒を右の手の平に置く。

 豆粒ほどの黄金だ。


「おおお、やった。金が取り出せたよ!!」

 俺は大喜び。


「たったこれだけですけど……」

 女の子は物足りなさそう。巨大な金塊が取り出せると思っていたみたいだ。


「大成功だよ。金って、鉱石の中にほんのちょっぴりしか含まれてないものなんだ。だからこそ貴重」

 あまりに大量の金を作り出せたら、インフレになっちゃう。


 この世界には、ただの石ころを金に変えるという錬金術師は存在しないらしい。

 実際にいたら、無限に金を作り出してしまって、金の値打ちが暴落する。


 すご腕の錬金術師がいるファンタジー世界って、お金が紙クズになるハイパーインフレが発生しちゃうよな。

 経済が破綻しちゃう。

 この世界の錬金術師はほどほどの能力しかなくて、むしろOKなのだよ。


「やるな、みんな。これで他所から技術者を呼ばなくていいね」

 ゾフィーも嬉しそう。


「はい。我が国に男の人は王様が一人いて下さればいいですからね」

 女の子たちがニコニコしている。


「うう……技術者を雇う金を外国にお金を払わずに済むのはいいことだけど……」

 俺は、他にも男がやって来てくれることを期待してたから苦笑する。


「やった。今度は銀が取れた」

「私は鉄よ」

 錬金術師の女の子たちがどんどん金属を取り出して喜んでいる。

 

 鉱山からゴーレムが掘り出した鉱石を、錬金術師の女の子たちが精錬していく。

 これで我が国の鉱業を復興させる目処がついた。


 塊にした金や銀、鉄はゴーレムが船に積み込む。ハルザ同盟に輸出して、ガッポガッポと儲ける。

 何しろ元手がほとんどかからない。ゾフィーはじめ女の子たちのお給料くらいだ。彼女らに逃げられたらシステムが回らなくなるから、とても大事にしてあげないと。


「お金もうれしいですけどぉ」

「私は陛下と優先的に閨をともにさせていただきたいなぁ」

「あたし早く子供が欲しい」


 女の子たちがおねだりしてくる。ゾフィーと違って、自分たちの立場の強さがわかっている。


「は、はい」

 俺は断ることができなそう。


「ねえねえ、妊娠の順番をかけて勝負しない。誰が一番たくさん金を取り出せるかで」

「いいね、やろう」

 錬金術師の女の子たちは勝手にとんでもない賭けを始めてしまう。

 

 全員が妊娠しちゃうと、経済が回らなくなる。女の子たちで調整してくれるのは助かると言えば助かるのだが……とても恥ずかしい。



 本当のところ、俺がこの国で唯一の男だから、俺が一番貴重な資源と言えばそうなのだ。

 俺が女の子にえらそーに命令できる立場。


 だが俺は転生前は40代だった。一応大人の男として、女の子には接する。

 女の子のご機嫌をとって、気持ち良く働いてもらう。でもってみんなで豊かになりたい。


 転生元のJ国のように、足を引っ張り合って、みんなで貧しくなる国はもうこりごりだ。


 鉱山で得たお金は国民に分配する。

 俺の脳内では国民全員が働かなくてもいいくらいの額になると計算している。

 ベーシックインカムってやつが実現しちゃったよ。


 ただし鉱山で働いたり、国防に従事する子たちは不可欠なので、いっぱいお給料が払われる。

 彼女らにはブラック労働させるわけにはいかない。超ホワイトな待遇にして、働いてくれていることに多大な感謝が寄せられるだろう。


 働いたら負けなJ国とは真逆の理想国家を作れて、俺はうれしい。 

一巻完結でたくさんのご評価を賜り、ありがとうごさいました。投稿の気合が補充されました。

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